見出し画像

1999年5月13日(木)

【戦士鍛錬場②:鳥海 新一・高嶋 美樹】
「さて本日は2次試験6日目です。いよいよ今日と明日の2日を残すのみ。ポイントが不足している方は頑張ってポイントを稼いでください。では鍛錬開始!」
 鍛錬場に高嶋 美樹の元気な鍛錬開始の合図が響いた。ここは戦士鍛錬場②。本日は2次試験の6日目である。ここまで実質4日間模擬戦を繰り返してきている戦士希望者たちであるが、上位のポイントと下位のポイントではかなりの差がついている。もちろんまだ後2日間あるので、物理的には順位をひっくり返すことは出来るのであるが、そもそも現在の順位は、戦士としての実力を表しており、後2日模擬戦を繰り返したとて今以上のペースでポイントを稼ぐことができるかと言えば普通に考えれば無理である。こうなるとポイント以外で合格に結びつく何かを見せる必要があるが、そのようなものは基本的には存在しないので、結論ポイント下位のメンバーはほぼ諦めている状況である。問題はポイントが中位の合格ライン前後にいる冒険者たちであるが、ここのメンバーは合格するために必死であり、特に直接対決ともなれば、全力を出してポイントを稼ぎにいっているのである。こうなると、かなり上位の相手にはどうせポイントが稼げないので体力を温存し、下位のメンバーについても出来るだけ省エネでポイントを稼ぐような戦いになっている。このような戦いは見ていてあまり面白い物ではないので、高嶋はそれに気づいた時には一応減点対象としている。
「何かつまらなそうね」
 模擬戦を終えて休憩をしている鳥海 新一に高嶋が声をかけた。すると鳥海が軽くため息をついて返事を返す。
「いや、下手に2位に名前があるので、中位下位のメンバーが本気で模擬戦してくれないんですよね。仕方ないとは思うんですけど、数戦続くといやになります」
 こう話したタイミングで休憩時間が終わったので、次の模擬戦へと向かう。そして模擬戦が開始した後、対戦相手があまりやる気を見せなかったので、鳥海は大きくため息をつき憮然とした表情で模擬戦を続けたのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?