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2024年7月3日(水)《GB》

《今日は年に1回の定期健診日でした。だいじょうぶだボクの心臓はまだこわれちゃいないんだby淳》
【熊大第5迷宮:黒髪アッカーマン部隊】
「一応流れの確認をしておく」
 隊員全員に向かって富田 正継が言葉を告げた。ここは熊大第5迷宮。黒髪アッカーマン部隊は本日も地下1階を訪れている。いつものように村川 学が迷宮探知を行い、ボス部屋の場所を探っていたが、なんとなく周りのイメージとは違う場所があることを感じる。これが本当にボス部屋なのかどうかは、まだそれを体験していない村川には判断することが出来ない。実際にその場所まで移動してその場所を見ることでそれが判明するのである。そこで慎重にその場所まで移動すると、いかにもボスが奥にいるような扉を発見したのである。そして先程村川がその扉の罠の解除にも成功したので、今からボス戦を行うことになり、その前にボスの情報と戦闘についての再確認を行うことにしたのである。
「敵は何かロボットのようなもので、それを操作している人型が1体いる。だがその人型には攻撃が通らないらしいので、戦うのはそのロボットになる」
 あらかじめ調べておいたボスの情報について富田が説明する。もちろん富田以外も予習はしているので、わかっている情報ではある。
「ロボットは攻撃や魔法が通っているのか非常にわかりにくいらしいけど、ダメージが蓄積すればいずれ消滅するらしい。ただ、初回で倒せるほど甘くはないので、タイミングを見計らって静馬の瞬間移動で撤退することになる」
 続けて富田がそのロボットの情報についてと、本日の戦闘の着地点について説明する。第5迷宮のボスはそのタイミングの冒険者よりもかなり強く、何度か戦闘を繰り返さないと勝つことが出来ない。勝つまでは即ち負けるということなので、退却のことまできちんと意識しておかないといけないのだ。
「まあ、やってみないとわからんこともあるから、やってみようか」
 軽く笑顔を浮かべて富田がこう口にし、全員が頷くことで意思を伝える。そして原田 祐一が扉を蹴破って全員でボス部屋へと侵入した。部屋の中には話に聞いていた通り、人間の女性をイメージしたようなロボットと、その後ろに老人のような男性がこちらを見つめている。今の所そのロボットは動く気配はないが、不気味な雰囲気は漂っている。
「TNT爆発」
「無効」
 戦闘開始の合図としてTNT爆発の呪文を中尾 静馬が、無効の呪文を前田 綺羅が詠唱する。そのタイミングで、その老人のような男性は自分の左腕に注射のようなものを打ち込み、それに反応するかのようにロボットの瞳に薄く光った。
「行くぞ!」
 大声で指示を出した富田の声を聞いて原田と大塚 陽菜がロボットに突っ込んでいく。ロボットの動きは非常に素早く、攻撃を避けるのにも一苦労である。また、攻撃が当たってはいるが、剣が跳ね返されるような感覚があり、ダメージを与えている感触が感じられない。この後、中尾のTNT爆発や、前田の天罰の呪文の連打を行ったが、ロボットは全くひるまずに攻撃をしてくる。そして次第に旗色が悪くなってきたと判断した中尾が瞬間移動の魔法を唱えて、本日のボス戦は撤退という結果で終了したのである。

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