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1996年7月8日(月)《BN》

【新迷宮:黒髪てへトリオ部隊】
「見たことある」
「見たことはあるけど、何だ」
 目の前に現れた変な姿の亜獣を見つめながら原田 公司が漏らした言葉に、前田 法重も同じようなセリフを続けた。ここは新迷宮。黒髪てへトリオ部隊は本日も地下6階の鏡の部屋を訪れている。そして1回目の罠解除を行い、出てきた亜獣を見て2人が声を上げたのである。その亜獣はイケメンが赤と黄色をベースにしたコスチュームを見にまとい、その頭に何か見たことあるものを大きくしたものが乗っている。
「あれ、カップ焼きそばじゃないっすかね?」
「あ、ヤキソバンだ」
 亜獣の頭に載っているものを見つめながら中尾 智史が口にした言葉を聞いて、大塚 仁がその正体を叫んだ。この亜獣は昔CMで流れていたUFO仮面ヤキソバンにそっくりであり、仮面の下からのぞくイケメンフェイスが爽やかな笑顔を浮かべている。
「相変わらず出展が謎だな」
「UFOとか焼きそばの話とかしてないですよね」
 疑問の声を上げる中島 一州に、本田 仁が返事をする。鏡の性質上、何かしら関係する話題を最近話したはずである。だが、UFO、焼きそば、日清などの単語を最近話題にしたことはないのだ。
「考えててもしょうがない。行くぞ」
「TNT爆発」
「無効」
 戦闘開始の合図を告げた前田の声に合わせて本田 仁がTNT爆発、中島が無効を唱える。そして戦士3人は亜獣に向かって突進していく。TNT爆発に耐えた亜獣は向かってくる3人に対して、両手を前に出す。よく見ると手に何か握っているようだ。
「ソースビーム!」
 亜獣が握っている何かから黒い液体が発射される。それを前田と中尾は華麗に避けたが、原田は直撃を喰らってしまう。ただ、ダメージは特にないようだ。ソースビームが当たったことに少し喜びを感じている亜獣は今度は手に持った何かを捨て去り、手のひらを3人に向ける。
「揚げ玉ボンバー」
 亜獣の体の中心から何かの固形物が発射され、また前田と中尾は交わしたが、原田だけがそれを喰らった。だがやはりあまりダメージないようである。この2つの攻撃に満足した亜獣はその後は特に抵抗することなく戦士3人の攻撃を喰らって消滅した。
「物質回収します。焼きそば臭いっすね」
 こう言いながら大塚が物質を回収する。
「原田、何か喰らったけど大丈夫」
「大丈夫っすけど、ちょっと鎧がソースくさくなったっす。何か悔しい」
 先程の攻撃の心配をした前田の声に原田が返事を返す。この後は大塚の物質回収が終わるまで、先程の出展が何かについて話し合う。最終的な結論としては先日の飲み会で『ニチイ』が『マイカル』に変わるという話題を話したが、そのマイカルからマイケル冨岡→ヤキソバンという流れが1番可能性が高いという結論に落ち着いたのである。

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