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1996年6月13日(木)《BN》

【冒険者組織会議室:倉本 憲伸・高倉 蘭馬・塚越 実紗・築山 正憲・野本 侑花・佐村 亜香里】
「では探索は27日開始にしたいと思います。各自準備に余念がないようお願いします」
 隊長の倉本 憲伸が、全員の顔を見渡しながらこのように言葉を発した。ここは冒険者組織会議室。14期のやっぱりサンデーサイレンス部隊の面々は午前中の鍛錬を少し早く切り上げて、この会議室に集合し、部隊会議を行っている。主な議題としては、鍛錬の進捗と、探索開始日をいつにするかというものであった。探索する曜日は木曜日と決まっていたので、選択肢的には6月20日、27日、7月4日の3択だったが、一番無難な27日に探索開始することに決まったのである。ここに向けて、一層鍛錬に集中するということを決め、本日の会議は終了する。この後は一緒にご飯を食べようと決めていたので、『南地区レストラン』に移動しようとしたが、ふと思いついた質問を野本 侑花が口にする。
「今更なんだけど、この部隊名って誰が名付けなんだっけ?」
 自分には意味のわからない部隊名について確認すると、堂々と築山 正憲が右手を大きく上げる。
「俺っす」
 本人的には部隊名が非常に気に入っているらしく、自信満々に右手を大きく挙げている。それを見て軽くため息をついた野本が質問する。
「サンデーサイレンスって何?」
 この声を聞いて、塚本 実紗と佐村 亜香里もわかっていないらしく、同調するような表情を浮かべている。一応倉本と高倉 蘭馬は名前ぐらいは聞いたことあるらしく、何となくは理解している。これを聞いて築山は軽く息を吐いて、質問に答える。
「ヘイローの子供だよ」
 本人としてはわかりやすい回答だったのであろうが、特に女性3人には全く通じていない。少しイラついている野本が質問を続ける。
「ヘイローって何?」
「え?ヘイルトゥリーズンの子供だよ」
 わからないから聞いている質問に対して、築山は何当然のことを聞いているのかという感じで返事を返す。それに対して野本のイライラがピークに近づいている。
「だからヘイルトゥリーズンって何なの」
「ターントゥの子供だろ」
「知らねえよ!」
 あまりにも当然な質問の連続に少し声が大きくなった築山の言葉に、怒りはピークを迎えた野本は大声で言葉を吐き捨てたのである。

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