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キャバ嬢が黒服を好きになった話⑥【最終話】

⑤の続きです。

私はユウ君にお金を渡しました。50万円。これで
家を借り、仕事を探し、やり直せと。

私は人にお金を貸すのはやめなさい。貸すくらいな
らあげなさい。と親から教えられ、育ちました。な
のでそのくらいの覚悟で、借用書は書いてもらいま
せんでした。

この人がこの金額を返せるとも思っていなかったし
とにかく顔が大好きだった元カレがホームレスにな
ってしまったこと、放っておくことができなかった
のです。

東京で、50万円で何ができる?って、足りないっ
て思うかもしれませんが、キャバクラを辞めたただ
の会社員が人にあげられる金額にしては多いかと思
います。

ユウ君は泣きながら何度も頭を下げて『必ず返しま
す。』と言って受け取りました。

それから2週間後、ユウ君から仕事が見つかった。
口座を教えてほしい。と言われました。

2週間で仕事が見つかり、すぐ振り込むってことは
まずちゃんとした仕事ではないだろうけど、とにか
く働こうとしたことで安心しました。

でも家の写真が送られてきてめちゃくちゃいいとこ
借りてて、『はぁ?』って思いました。

そして振り込まれた金額は2万円でした。これから
毎月2万円ずつ返済するとのことです。単純計算で
2年はかかります。まぁでも私もお金に困っていた
わけではなかったので返す意思があったんだ。と感
心しました。

ですが、その振り込みはたったの2か月で終わりま
した。問い詰める気もなかったので放置していまし
た。でも、ユウ君のほうから電話が来ました。

『アイちゃんごめんなさい。』

また心配を煽るような言い方で・・・。お金を振り
込めないなら無理しなくていいからとりあえず生活
を安定させなさいと伝えました。が、違いました。


ユウ君はさらにお金が必要だと言ってきたのです。


呆れました。


そして、私の渡したお金では全然足りなかったと。
親にも送ってしまってまたお金がないと。

私はいい鴨にされていることなど分かっていました。
でも責めることなく話を聞きました。本当なのか噓
なのかも分からない話を。

『それで、いくら必要なの?』

私がそうきくとユウ君は黙り込んでしまいました。

いやいや、罪悪感でもあるわけ?もう50万も借りと
いて。と思いましたが、甘やかしたのは私です。

『いらないのね!?じゃあ忙しいから切るわ。』

そう言って切ろうとした途端

『10万円・・・・。』と返事が返ってきました。


そして私が10万円を振り込んだあとユウ君は音
信不通、消息不明です。すでに7年が経過しました。


私は元居たキャバクラに戻り、週2出勤で60万
円を2か月で手に入れました。若さとやる気さえ
あればお金はすぐに手に入ります。でもお金でこ
じれてしまった人間関係は二度と戻りませんね。

あんなに大好きだった元カレなので今どこかてしっ
かり生きていてくれるといいなと思います。

以上、【黒服を好きになった話】改め、
【本当にあった怖い話】でした。

おわり


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