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キャバ嬢が黒服を好きになった話⑤


④のつづきです。

『アイちゃん、助けて。』

私は一瞬でいろんな最悪のパターンを想像しました。なぜ
ならユウ君はこれまでにドラッグ、自殺未遂などの過去が
あったからです。

それに助けてなんで言われたのはそれが初めてだったから。

『なにがあった?』と聞くと会って話したいと。正直怖い
気持ちもありましたが、元カレなので会いに行くことにし
ました。

指定された場所は家ではなく、彼が好きな浅草でした。

久々に会ったユウ君は今度は痩せていて、むしろやつれて
いるくらい・・・。どこかお店にはいるわけでもなく、暗
くなった外で話を聞きました。


ユウ君は仕事を辞めていました。

家賃を滞納していて追い出され、家もありません。

お金もありません。

つまり現在ホームレスです。

手元に残った少しのお金で漫画喫茶に泊まる生活をして
いるようでした。

私『今まで働いていたお金はどうしたの?』

ユウ君『育ての親が病気でお金送ってしまった。』

ユウ君には両親がいなく、親戚のところを転々とし、施
設にいたこともあり今の両親とは血が繋がっていないこ
とは聞いていました。でも、病気のことは知りませんで
した。 

聞くと、今まで育ててもらった恩があるからいつもお金
を送っていたとのこと・・・ホームレスになるまで送る
もんか?と思いました。でもいろいろな家庭があると思
いとにかく話を聞きました。

家がない彼を自分の家に連れて行くのは絶対に違うと思
いました。でも、そのまま放っておくわけにもいかず、
カフェに入ってこれからどうするつもりか話を聞くこと
にしました。私のおごりで。

ユウ君の考えは、もう日雇いでもどんな仕事でもやって
元の生活に戻りたいと。今のままでは漫画喫茶のお金も
なくなってしまう。親が心配だが帰るお金もない。どう
にか生活を立て直したい。とのことでした。

つまり、私への助けてほしい内容というのは
『やり直すためのお金を貸してほしい』ということでし
た。

私は一旦家に帰って考えることにしました。どこまでが
本当で、私がどこまでしてあげられるのか・・・

でも私が見捨てたら?私のせいで彼がまた自殺行為をし
たら?私はきっと後悔する・・・

その日はベッドの中でずっと考えていました。友達に相
談したらやめろと言われるのは分かっていたので誰にも
話すことなく一人で考え、ほとんど眠れなかったのを覚
えています。


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