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昔読んだ本の中から・・「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の中に出てくるエンパシーとシンパシーの話


HSPの方々に向けた活動を続けて、もう12年以上たつのだけれど、「ニュースを見ていても、自分の事のように辛くなってしまう」「周りの人の表情で自分の気持ちが左右されてしまう」というようなエンパスの方にもよく出会います。相手の立場になり切って、その考えや感情を無意識に想像し理解してしまう。。その共感性は「あの人、かわいそう~」とか、「その状況なら辛いよね」とかいうものではなく、自分の感情がそのまま揺さぶられてしまう事にも繋がります。

わたしもHSPでありエンパスなので、その傾向は強いのですが、今はそれを能力として受け入れ、カウンセリングなどでも活かせている気もします。

日本では共感というと、シンパシーとエンパシーが一緒くたにされてしまっているような感じもあります。

HSPの方々が気質の特徴として持つ共感性はエンパシーであることをなんとなく書いてみようと思い、本から引用したいと思います。

エンパシーとシンパシー

ちょっと誇らしげに顔をあげてから息子は続けた。
「EU離脱や、テロリズムの問題や、世界中で起きているいろんな混乱を僕らが乗り越えていくには、自分とは違う立場の人々や、自分と違う意見を持つ人々の気持ちを想像してみることが大事なんだって。つまり、他人の靴を履いてみる事。これからは「エンパシーの時代」、って先生がホワイトボードにでっかく書いたから、これは試験に出るなってピンときた」
 エンパシーと混同されがちな言葉にシンパシーがある。
 両者の違いは子どもや英語学習中の外国人が重点的に教わるポイントだが、オックスフォード英英辞典のサイト(oxfordlearnersdictionaries.com)に寄れば、シンパシー(sympathy)は「1.誰かをかわいそうだと思う感情、誰かの問題を理解して気にかけていることを示すこと」「2.ある考え、理念、組織などへの支持や同意を示す行為」「3.同じような意見や関心を持っている人々の間の友情や理解」と書かれている。一方、エンパシー(empathy)は、「他人の感情や経験などを理解する能力」とシンプルに書かれている。つまり、シンパシーの方は「感情や行為や理解」なのだが、エンパシーの方は「能力」なのである。前者はふつうに同情したり、共感したりすることのようだが、後者はどうもそうではなさそうである。
 ケンブリッジの英英辞典のサイト(dictionary.cambridge.org)に行くと、エンパシーの意味は「自分がその人の立場だったらどうだろうと想像することによって誰かの感情や経験を分かち合う能力と書かれている。
 つまり、シンパシーのほうはかわいそうな立場の人や問題を抱えた人、自分と似たような意見を持っている人々に対して人間が抱く感情の事だから、自分で努力をしなくとも自然に出てくる。だが、エンパシーは違う。自分と違う理念や信念を持つ人や、別にかわいそうとは思えない立場の人々が何を考えているのだろうと想像する力のことだ。シンパシーは感情的状態、エンパシーは知的作業とも言えるかもしれない。
 ・・・中略・・・ありとあらゆる分断と対立が深刻化している英国で、11歳の子どもたちがエンパシーについて学んでいるというのは特筆に値する。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとだけブルー
ブレディみかこ

英国の公立学校教育ではシティズンシップ・エデュケーション(日本での定訳はなく、政治教育や公民教育と訳され方がバラバラ)の導入が義務付けられているそうで、その中で「エンパシーは何か」という問題が期末試験にでたといいます。

自分で誰かの靴を履いてみること・・英語の定型表現で他人の立場に立ってみるという意味・・そう息子さんは答えたというのですが、『エンパシーについて』のような私が講座でお伝えしているようなことを、中学校で学んでいるって見習うべき事だなって思います。

そういう心の仕組みや心理学などを子どもが(親もですが)学べる機会が、日本では少ないですよね。

この本によれば英国の子どもたちは幼いころから子どもの権利についても繰り返し学ぶそうです。

この本は、英国での中学校生活の最初の一年半を描いたものですが、思うところも多く是非一度は読んで欲しいなと思う本です。

また、エンパシーというワードもHSPの方であればなんとなく耳にすることも多いのではないかなと感じますが。。
HSPであったり、エンパスが強い方が自然とやってしまうこと・・相手の立場で考えがちで、近くで誰かが怒られていても、自分が言われているように心がざわめいてしまう。それがエンパシー

アーロン博士がHSPの方の基本の特徴として挙げている
DOESのEの部分がエモーショナル&エンパシーなのですが、その部分を講座で説明するときにいつも、このエンパシーとシンパシーの話を思い出すこともあり、何度か読み返している本のひとつがこの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」

HSPの方の基本の4つの特徴D・O・E・S


Depth  深く受け止める
Overstimulation  過剰に刺激を受けやすい
Empathy&Emotional 全体に感情の反応が強く、特に共感力(まるで自分のことのように感じる力)が高い
Subtlety 些細な刺激を察知する(ちょっとした部屋の変化や、表情の変化など)

アーロン博士の定義ではHSPであれば、この4つが当てはまり、揃っていないのであれば敏感なタイプではあってもアーロン博士が定義しているHSPではない・・・

思考が深いゆえに、ひとつひとつ丁寧に受け止め考えてしまうので刺激過多になってしまうんですよね。
最近よく聞く壊れ物のような繊細すぎるハートというよりは
思慮深く、小さなころから大人びていたり、しっかり考えるゆえに正義感も強い。だからこそ長いものには巻かれろ的な考えが苦手で世渡り下手になりがちな事で苦労してしまう。そんな悩みが多いように感じています。

また基本、相手を煩わせるようなことを嫌うので(困った表情など読み取ってしまうので)、できることは自分でやらなきゃと甘え下手だったりもします。それが子どもらしくないという印象を与えてしまって、可愛げのない子どもと思われてしまった・・というような思い出を持つ方も多いように感じます。

能力なんだと気づくことで、私たちが『なぜ、私は人の表情に影響されてしまうのだろう』と弱みとして捉えていたことの意味合いが変わってきます。

正しく自分を知ることは簡単なようで案外難しいですよね。
私たちはマイノリティー側なので、違う価値観の中で、違う感性の人たちが作り上げた規則の中で生きているので自分の感覚が間違っていると感じやすいようです。少数派なので、理解されずに、何かと否定されることが多くなりがちですよね。神経質なわけではなく、ただいろんなことに気づいてしまうという特性を「気にしすぎ」と言われてしまったり、一生懸命になりがちなだけなのに「そんなに真面目にやらなくても」「いい子ぶって」などと言われることが多かったのではないでしょうか?

講座にいらっしゃる方も、最初は自分の性質を否定的なものと捉えてしまっている方が多いのですが、自分と向き合い、特性を知り、受け入れていくことで徐々に気持ちが軽くなってくようです。
その気持ちの変化がとてもわかりやすく書かれていたので
先日のマンツーマン講座の修了生の方の感想をシェアしたいと思います。



多くの人が、本当の意味での多様性を受け止めていく・・そんな時代になっていくといいなと思います。


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