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カラフルな角野栄子さんの本の中のカラフルな人々。

カラフルに華やかな笑顔で頬杖をついて笑っておられる角野栄子さんの
2✖️3センチの本の帯の写真を見つけて読んだ
「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出 KADOKAWA
の中にはカラフルな登場人物で溢れていました。

いきなりですが今日は
そのカラフルな中で私の気になった3名。を紹介したいです。
いや、3名という言い方はちょっと‥
御三方。違う
三人の方‥
三人の素敵さん?

その一人目の素敵さん
角野さんの子供の頃に自宅に往診に来ていた
お医者さんの和光堂さん。
異常な怖がりだったという角野さんに
「じぇったいに痛い事はしないからね」と言って
ゆらら〜ゆらら〜と大きな体を揺らして自転車で来てくれたそう。

昔 グリコのオマケ欲しさで食べたキャラメルで虫歯だらけの私の鼻をつまんで 和ませてくれた歯医者さんを思い出して 懐かしくて暖かな気持ちになった多分ちょっぴり太めな和光堂さんがゆらら〜ゆらら〜と自転車に乗って来てくれる姿を想像していいなあと思う。
だって「じぇったいに痛い事はしないから」

そういえば私の鼻をつまんだ先生は何て名前だったのだろう
いつも鼻をつまみながら何て声をかけてくれていたのだろう
何だかでも優しくされたあったかい雰囲気だった事を思い出す。

二人目の素敵さん
クラリッセ
あ 呼び捨てにしちゃった
クラリッセさん

角野さんがブラジルに住んでおられた時に出会った
魔女?
クラリッセ
赤毛で
ちょっと離れた目は翡翠の緑色
タバコで燻されたハスキーボイス
コピーライターだという

もう!何だかカッコいい!

まさに この「作家」と「魔女」の集まっちゃた
みたいに土曜の夜に
あなたは偏見なさそうだからと招待され
彼女の居間にさまざまな人々が集まって過ごした時間が
彼女の持っていた緑色のクリスタルガラスの食器が昼の輝きと夜の輝きの移ろいと折り合わせて紹介されている。
全文素敵でどこも切り取れ無いのです
クラリッセさん。

三人目の素敵さんは
ある日角野さんが見かけた芝生の上で足を投げ出して酒盛りをしていた方。
名前はわからない。
ひげぼうぼうで髪の毛はよれてつっぱっていて破れた下着から方を半分のぞかせてカップの酒をあおっている。
そしてそばの木の枝には汚れた背広の上衣がハンガーに吊るされていて、その人の無頼な姿から見ると上衣はずいぶんお行儀よくつりさがっていた。という

そしてそれを見た瞬間に角野さんは
この人に会えて良かったって思うのです。
角野さんは
その人はこの世の中ではずれてしまった人かも
本人も自分の存在をもてあまして昼間からすさんだ心で
お酒を飲んでいるのかも

でも 吊るされた上衣
ハンガーにちゃんと吊るされた上衣に
角野さんはフォーカスするんです。

お母さんに「ちゃんとかけるのよ」って言われて育ったのかもしれない。
そしてその上衣は優しい心を表していた。と
その人の中に光るものがあると見るのです。

何て素敵な眼差しなのだろうと感動しました。
感動しました なんて語彙しか無くて残念なのですけど

角野さんには幼い頃にお母様を亡くされて思い出が一つも無いそうなのですが
でも人は必ず死を迎えるのだという事の意味を贈り物として残してくれたと考え人は生きている間誰かに贈りものをしながら生きていると言われています。

正確に言えば
三人の素敵さんが素敵というよりも
角野さんの見え方が素敵だからって事になるのかなとも思いますが

こんなふうに優しい眼差しを送って下さった
角野さんお母様もきっと素敵な方だったのだろうなぁ

他にも
素敵なお話が詰まっています。

最期まで読んで下さってありがとうございます。

こうして好きな本の事考えていられる今に感謝です。






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