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芥川龍之介さんの思いびと

「われをこえるただ一人の女」

今年1月
新聞のコラムに
載っていた文章中の言葉です

芥川龍之介さんが
「片山廣子」さんについて言った言葉だそうです

しばらくして
本屋さんで
偶然
「片山廣子」さんの随筆集を発見


興奮のるつぼです。

例えば
スポーツ関係に疎い自分でも
野球の大谷選手のお嫁さんになる方は

一体どんな方なのだろう〜?などと
どうでもいいことを
ぼんやりと
気になるなぁ〜なんて思ったりしていたけれど

芥川龍之介さんが
「われをこえるただ一人の女」と
言わしめたお方とは??

芥川龍之介氏に絶賛片想い中な訳では無いのですが



ぼんやり気になるなぁなんて呑気な気分を超えて


むき出しの好奇心であります


「われをこえるただ一人の女」



何と気になるお言葉でしょう


そう言われたお方は

片山廣子さん

1878ー1957
東京生まれ

歌人、随筆家、翻訳家
東洋英和女学校卒業
佐佐木信綱に師事し歌人として活躍
歌集「翡翠」「野に住みて」を出版
松村みね子の筆名でシング、イエーツなどのアイルランド文学の翻訳を手掛け
坪内逍遥、森鴎外らに高く評価された。1953年刊の随筆集「燈火節」
(暮らしの手帖社刊)は第3回日本エッセイスト.クラブ賞を受賞。
芥川龍之介の思い人としても知られ、「阿呆の一生」に登場する。
                             ちくま文庫より


こちらでは「思い人」と言われている

どんなお方なのだろう?

どんなところが芥川龍之介氏にそう言わしめたのかしら?


本の帯に
「虹色の宝石のような一冊」と書いてあります


例えばこんなところかしら?


古歌は

色で言えばすべて淡く

一つの色ではなくいくつもの

陰影や感じが含まれ別の色に見え

織物の玉虫色に似ている

といわれるところかしら?


それとも
聖書は学ばされ過ぎて

おそらく

私の体臭の一部

ともなっているだろう
と言われる、そおいうユニークな所かしら?


それとも
昔から言葉の天才と言われ
詩の国と呼ばれたアイルランド文学を
学んでおられたところかな


それともそれとも
スイカの事を

グラジオラスの花に似た
うす紅色でとろけるような味覚

と表現されるところかしら?


それとも
黒猫の事 「黒にゃあにゃ」と名付けて

ぽやぽや動く

なんて可愛い表現をしてしまう
ところかな



それとも
17歳で卒業 

時々

父さんの香水をちょろまかしては頭にふりかけていた(原文です)

なんてちょっぴり不良な事
言えちゃうところかな



悲しみの最中に

私はもう
二百五十歳ぐらいの年になったのかも知れない
なんて言ってしまうところかしら


それとも
ご主人を亡くされてしばらく経ち
詩を作った時

飛行機の詩などを作るほどに浮気な心になりました
と ほとけさまにむかってはなしかける
ところかな


赤貧は大変だけどならば

「赤色」ではなく

「ピンク色ぐらいのびんぼう」

と、言ってしまうところかな


ご友人が、ハイカラそうなお話しをしていらっしゃる時
私だけは遠くの方で日本人くさい顔をして座っていた
なんて言ってしまうところかしら?


宝石がザクザクであります

言葉の宝石を拾い集めて
サンタクロースのお持ちの白い袋ならば
もうパンパンです

聖書が体臭と言われるくらいなので
ベースに聖書の知識が無い私には読み取れ無いところもあり
読みはじめてすぐに、解説をみました

編者の解説には
芥川龍之介の「阿呆の一生」の中の「越し人」に
片山廣子さんについてのことを言われている一文があると紹介されております

その一文は、ここでは秘密にしておきます

そして「花屋の窓」の中で
「静かなおちつきの世界を芥川さんも私もおのおの違った時間に
覗いてみたのであろう」と抑制の利いた芥川氏とのひと色の重なりが
綴ってあると編者は言います


作品の中で私が1番心動かされたのは

「むかしの人」

夏目漱石が「あるほどの菊なげ入れよ棺の中」と
おなげきになったという大塚楠緒さんという方を
しのばれる作品です。

若くして亡くなられた大塚楠雄さんについての
片山廣子さんの文章を二つ

     その故郷に愛する人のひとりがいないことは

     そこに永久にその人のための空虚があるほかに

     誰がいようと何があろうとその人のいないことは寂しい



     それでもやっぱり私は寂しい

     死んだ人もある時は寂しくなって

     私どもの事を

     想い出すのではないかと折々私は考えている

そんなふうにしのばれるところが
片山廣子さんの魅力ではと
私は感じました

編集の早川茉里さんの情熱溢れる文章にも心打たれました

ウビガンの香水のような文学遺産を
次の世代へと
つないで行って頂けますように
遠い未来においてもこの香りに気づいてくれる読者が
きっと、きっといますように
心からそう願っている


そして
もうひとつ
片山廣子さんの言葉

12月のいろは黄色い それは赤や白のあひだに来る


芥川龍之介氏が「われをこえるただ一人の女」と言われた
片山廣子さんの見た
その12月の色はどんな色だったのかな

よろしければ虹色の宝石を集めに行かれませんか?


そしてそして
大谷選手と奥様はお顔が似ていて?
なんてなんて
素敵なおふたりなのでしょう

最後まで読んで頂きありがとうございます。😊
今こうして好きな事出来ている事に感謝です。



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