見出し画像

心を動かすという贅沢

表題の写真は、五島美術館のお庭です。「一味爽涼」をテーマにした展示が行われています。今月28日(日)まで。https://www.gotoh-museum.or.jp/event/open/

暑い日が続きますね。上野毛の駅からほど近い場所にあるのですが、やっとたどり着いた、と感じるほどの厳しい日差し。

まぶしい日差し
逆さの虹のようなものが。

こちらは、書や偈(げ https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%81%88/)、陶磁器や絵画等々が、夏をテーマに編集された展示です。作家の顔ぶれも素晴らしく、こんなに幅広い作家が集まるのは、このキュレーションならではだと感じました。
「なつの夜は、夜の川辺に舟をこぎ出す」という意の屏風の書や、瀧の絵、本日がそうですが七夕を題にした色紙、涼やかな色味の陶磁器、水差しに魅入っているうちに、気持ちがそれぞれの作品テーマに飛んでいき、楽しい時間を過ごしました。
日本画の青の色は、青緑でまさに今の季節に目にしたい色ですね。「夏ってイイな」としみじみ感じたくらいですから、アートに触れるというのは精神的に非常に効果が高いと言えます。

そういえば、美術館や博物館見学は健康に確かな効果があると立証されたそうですよ。こちらの記事https://www.asahi.com/articles/ASQ813329Q7MOXIE00B.html
は日本ですが、確かヨーロッパでも研究結果が出ていると聞いたのが最初です。
展示や作品を理解することとは無関係で、副交感神経に効くのだそうな。ヨーロッパの研究では、時間も長く必要ではなく、10分くらいでも良かったはずです。ポイントは「通う」ということ。なので、あちらでは2回目以降の来場や時間帯で無料サービスを始めていた、はずです。(ソースが張り付けられず、すみません。。。)

これをわたくしなりに考えてみると、自由に気持ちを動かせる場所が大事なのかな、となります。ただ目に留まるものだけをひたすら追い求めても良いですし、展示に向き合って感じてみても良い。
いずれにしても、ぼ~っとしている楽な状態というわけではなく、自分流に心を水中で泳がせているような、浮力の助けを借りながら能動的である場所です。
情報の刺激に脊髄反射している日常とは違う空間。自分の心の筋力を使います。それが、にんげんを元気にするのかもしれませんね。
ですので、感動する作品に出合えたら幸せ、というより機嫌が良い、という方が近い気がするのはわたくしだけでしょうか。

今回は、1点だけ挙げるとすればこちらの作品です。

《蘭渓道隆墨跡 「風蘭」偈》五島美術館公式サイトhttps://www.gotoh-museum.or.jp/2020/10/19/08-097/より  (2024年7月7日閲覧)

渓谷の底に咲いた蘭は誰にも見られないが、その高貴な香りは谷底から風に乗って運ばれ、存在が知られるものだ、というような意味だったはずです。それに人格者をなぞらえていたかもしれません。
、、、なんという風景、状況でしょう。風を想像してしまいました。
まさに、涼を得た。

世の中に無尽蔵にある魅力的な作品に、今わたくしたちは完璧な保存状態で美術館や博物館で出会うことができます。これは、考えようによっては自分が感動する作品を、世の中が用意して差し出してくれているともなります。いつでも、観たいときに観たいものを観に行けばよいのです。
そして、その時の自分の気持ち次第で国宝級の作品の前でも通過してかまわないし、誰も足を止めない作品の前で佇んでも自由なのです。
そんな贅沢を、あなたの心にも味あわせてみませんか。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?