見出し画像

「ドキメキダイアリー」の歌詞の良さを語るだけ

〇はじめに

2023年4月14日よりスタートするアニポケ新章。そのOP曲である「ドキメキダイアリー」が3月31日の「アニメポケットモンスター音楽祭」にて初公開されました。

作詞作曲はボカロPであるChinozo氏が手掛け、歌唱はシンガーソングライターのasmi氏が担当。私は最近のボカロはあまり詳しくないのですが、音楽祭で「ドキメキダイアリー」をはじめて聞いた時から大ファンになってしまいました(これから代表曲の「グッバイ宣言」を聴こうと思います)。

そんなニワカが何を語るかというと、この「ドキメキダイアリー」の歌詞について「ここがいい!」「ここが好き!」「ここが物語に繋がる!?」のような妄想を書き散らす記事となっています。

音楽的な良しあしは批評できるような素養もないのでせめて歌詞だけでも語りたいというにわかオタクの思いつきにお付き合いください。なお、JNのOPである「1・2・3」についての歌詞考察も以前記事にしましたので興味がある方はリンクからどうぞ。

前置きが長くなりましたが、早速語っていきたいと思います。なお、歌詞については「音楽祭」で披露されたものを書き起こしたものです。

〇歌詞全文&ここすき・解釈ポイント

作詞・作曲:Chinozo
引用部分が歌詞、矢印以下がここすき・解釈ポイント
※チャンク分けなどは素人判断なのであしからず

ドッキドキメキ気流に私は乗っている
きっとね

→新シリーズの特徴的な舞台装置である「飛行船」になぞらえている?「ドキメキダイアリー」というタイトルなのに「ドキメキ」にかかるのが「気流」なのがオシャレでよき!

なんか言葉にできないこと
ちょっと心の臓騒がすこと
なんとなく今日を照らすこと
ちょっと好みの花 見つけた

→「心の臓」「好みの花」って言い回しにボカロを感じる…。脱線するけどボカロってちょっと背伸びをしたい年ごろの人間に刺さる気がしていて、新シリーズもそういう視聴者を対象にしているのかなと思いました。

白い霧ばかりエブリデイ
探したいものさえ探せないよ uh
わくわくしたそうなダイアリ
知らんぷりして放り出すなんて

→霧がかった日常…「ドキメキダイアリー」は新主人公のリコをイメージしている印象ですが、煮え切らない毎日を送っているのでしょうか?ぱっと思い浮かぶのは直近のヒロインであるコハルですが、主人公となるとまた違った描かれ方をするのかもしれません。

ライヤイヤイヤイヤ…
やるせなかったハート
WOWOW

「でも、だけど」→「きっと、可能性あり」
気持ちいい風に浮遊して
うんとすっとちょっともっといつかは
飛べたらいいな!

→「でも、だけど」→「きっと、可能性あり」っていう一見字面先行に見える歌詞が歌ってみるとリズムがあって気持ちよくなるのがすごい。「飛べたらいいな」というのは飛ぶ主体≒リコに寄り添った視点で、これまでのアニポケのOPだったら「飛んでみなよ」って感じになりそうで新鮮!

ドッキドキメキ気流に私は乗っている!
きっとね イエイエイ
分からない物語にビビらないで

キラキラ空想に世界が踊る!
笑って イエイエイ
縮こまってる時間はないな

→「分からない物語にビビらないで」…ここが強烈なパンチライン!ビビってるのは誰?冒険に踏み出す前のリコ?それもあるでしょうが、何よりもサトシの冒険を見届け終わったばかりの視聴者ですよね。サトシが映らなくなったアニポケを「ビビらないで」。突き放すようでもあり、寄り添うようでもあり…絶妙な温度感には脱帽です。

私を知りたい!
何もかもがまだ分からないないないない

私を見つけたい!
いってきますを声にできたなら
ちょっとだけ大人になったかもね

→リコの旅の目的は「自分探し」でしょうか?JNのゴウ・コハルらの物語にも少なからずこの自己存在について触れる要素がありましたが、リコの物語においても核となる予感があります。

→「いってきますを声にできたなら」…これは解釈としては二通りあると思っていて。一つは冒険に出る合図、もう一つは保護者に黙って出ていかないというメッセージ。先にも述べたボカロの視聴者の特徴である「背伸び」をしたい時期というのはそういうことを黙っていることが多いですが、それを乗り越えて!というメッセージだったり?

ちゃっちゃかちゃかちゃか深呼吸
優しくあるたびに失速
つまんない筆跡は夢がない
ちょっと嫌いな自分 見つけた

→「優しくあるたびに失速」「つまんない筆跡」…少なくともサトシをイメージしたら絶対に出てこないような歌詞ですね。これもやはりリコのキャラクター像を表現しているものと考えると本当に身近で現実世界にもいそうな女の子が主人公になるんだ…という感慨深さがあります。

黒い霧覆うエブリデイ
雨に打たれて帰りたくなるの oh
わくわくしたそうなダイアリ
少し浮かれて走り出すなんて

→一番の「白い霧」の対句になっている「黒い霧」。ただ、「白い霧」に関する描写がポジティブではないため「黒い霧」がネガティブなイメージかどうかは判断しにくい。「黒い霧」のほうがアクティブな歌詞になっている印象。逆境を跳ね返していくイメージ?

まぁいいやいいやいいやいいや
シャカリキでいくハート
WOWOW お気にのアクセはなくしたくないの
WOWOW まだ何もわかっちゃいないんだ
WOWOW 好きって気持ちに向かいたい
あの星のように輝きたい ah

→この辺りはかなり抽象的な内容になっていますが、リコの「アクセ」がキーアイテムであることは事前情報で明らかになっています。それが何なのかは分からないけれども自分の気持ちに素直になりたいっていうエネルギッシュさを感じますね。

ドッキドキメキ気流に私は酔っている!
やっぱね イエイエイ
答えのない世界で生きてるせいです

未来は優秀にあっても変わんないし
叫んで イエイエイ
私らしく体現!

ドッキドキメキ気流を乗り越えた先には
イエイエイ
分からない物語が待っている

→「答えのない世界」、「私らしく体現」、「分からない物語」…いずれもポストモダン的な価値観を表現する言葉です。定まった答えがなく、自分自身で価値を決定する時代。そこに待っているのがどんな世界かは誰にも分からない…..。リコとロイが生きる世界も私たちが生きる世界も同じこと。

小さな勇気で何かを変えよう!
ねえ、大切な話があるんだ
此処にない探しものがあるんだ
だから旅に出ます
そのうち帰ります

→注目すべきは「だから旅に出ます」と「そのうち帰ります」がセットになってるところです。サトシの旅は帰る予定は立てずに気づいたら行っちゃう感じでしたが、「帰る」のが既に織り込んであるんですよね。逆説的に言えば「帰る」ための旅ともいえるわけです。これは非常に示唆的というか、目的意識がはっきりした旅が展開されることが予想されます。

ちょっとだけ大人になったかもね

→「ちょっとだけ大人になったかもね」…ここの部分について私は「1・2・3」の以下の歌詞に対するアンサーだと解釈しています。

君は 君は いつの間にやら
大人になっちゃいないかい?

「1・2・3」作詞・作曲:まふまふ

詳しくは「1・2・3」の考察記事をみてほしいのですが、簡潔にいえばサトシの物語において「大人」になることは決してポジティブなイメージではなく、大人になっても子どものようであることが大事なステータスとされてきました(代表例:ダンデ)。

しかし、今作は違うようです。「帰る」ことがゴールに置かれた自分を探すための旅において「大人になる」ことはポジティブなイメージを含みます。一人の少年少女が「大人」になるまでのストーリーとしてみたら新しい世界が広がっているような気がします。

〇まとめ

以上、雑多ではありますが「ドキメキダイアリー」のここすき・解釈でした!文字にして書き起こしてみると、新シリーズの物語を想起させワクワクさせるような歌詞だったんだなあということに気づかされます。

また、音楽的な部分については一切触れませんでしたが、やはりこれもぶっ刺さっております。気だるいような、軽いような、芯があるような…、「こういう歌だ!」と断定させない複雑な曲に仕上がってるのが最高です。

事前に騒げるのもあと少し!アニポケにおける新しい「物語にビビらないで」楽しみに待ちましょう。ご清聴ありがとうございました。

(了)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?