「太陽が見るもの」【詩】
「太陽が見るもの」
戦乱の中で夢破れた将軍のように
今日全てを賭けた戦いに敗れた
地平線の見える平野で独り取り残されたような青い孤独と
業火で燃える火山に飛び込んだような赤い無念が
胸に広がり指が震える
声はのどから出てこない
心の中でまとまりのない音声が反響する
楽しそうにうたう鳥たち
静かに吹きつづける風
世界の中で唯一人
静かに呼吸をしていた
うつむいていた顔は
徐々に地平線の方を向いていく
そう
自分の戦いは始まったばかり
森林の中で野宿するような黒い不安を
胸の奥底に押しとどめて
心を鼓舞する太鼓を鳴らすうちに
太陽はまた空に上がり始める
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