見出し画像

多摩川の生き物とヒト その218 番外 埼玉県立自然の博物館へ  ‘24/4/20

埼玉県長瀞近くを流れている荒川沿いに埼玉県立自然の博物館がある。ここで「入間川流域の自然遺産調査から見えたこと」と言う企画展が行われているという事で、見学に行った。
寄居経由で眼下に秩父鉄道の線路を見ながら長瀞へ。途中で石灰石を満載した貨物列車とすれ違う。貨車が10両と多く、しかも、荷物が満載で嬉しいが、荷物が武甲山を壊した石灰石という事でやや複雑。
長瀞駅の駅前の蕎麦屋さんで昼食。ハードなソバで天ぷらもおいしかった。
線路沿いを進んだら自然の博物館に出会った。入り口付近にはカツラなどの樹々があり、新緑が美しい。入ると、カルカロドン メガドロンと言う巨大なサメが出迎えてくれる。このサメは秩父で見つかったサメで、骨格やあごや歯の化石などから大きさを推定し、10mもの巨大なサメである。秩父付近が昔、海だった事の証明にもなっている。

入り口付近にあるカツラ。新緑が美しい。
カルカロドン。2800万から258万年前の新生代に出現。体長13mもの巨大なサメ。
カルカロドン。現在のホオジロザメの祖先と考えられる。色や塗分けはもちろん、現在のサメを参照と思う。
深谷市の荒川でカルカロドンの歯の化石が見つかった。

左手に進むと、地学展示ホールがあり、様々な鉱物が展示されている。秩父はまた、地層が古く、変性を受けているので、黄鉄鉱などのさまざまの鉱物がある。
次のブースでは中生代などのジオラマがあった。ウミユリや三葉虫の化石が秩父で多く見つかり、それに基づいたもの。現在では中生代の海はウミユリ以外にもアノマロカリスなどの多くの生き物がいて、にぎやかだったということが分かってきた。もう少し、秩父産の化石と区別しながら、ジオラマを新しくした方が良いだろう。めぐっていくと、目玉のパレオパラドキシアの骨格やアケボノゾウの足跡の化石もあり、興味深かった。化石の歩幅を測定したり行けば、さらに面白い結果が出るだろう。今、話題の恐竜ではなく、哺乳類だが、このようなマナティみたいな哺乳類がいた事を思うと考え深い。そういえば、パレオパラドキシアはなんとなく、ムーミンに似ている。埼玉県宮沢湖やトーベヤンソンあけぼの子どもの森公園など、ムーミン関係施設が埼玉県に多い事と何か関係があるかもしれない。
「入間川流域の自然遺産調査」は2018年から5年間に渡って、上流から荒川との合流点までの任意に選んだ3か所の調査結果を展示したもの。捕虫網を出したり、クイズ用紙を配ったりと、色々と工夫している。なお、捕虫網は県のが7mで、私の知り合いは10mで、知り合いが勝っている。

ウミユリのジオラマ。4,9億年前のオルドビス紀に繫茂。アンモナイトなどもいて、もっとにぎやかだと思うが。有名なハルキゲニアやアノマロカリスなどはそれよりも古いカンブリア紀。秩父はカンブリアよりも新しい事が言える。それでも、1億年もの差が出来る。
サンゴと思う。間違えたら誰かが指摘して欲しい。
秩父からとれる鉱石。多くの鉱石が採れる。
亜鉛、金、など多くの元素が採れた。
これも忘れた。プレートと一緒に撮っておけばよかった。
菊花石など、面白い鉱石が採れている。
岩石を削り、切片を作る。偏光(鉱物)顕微鏡で検鏡すると、独特の模様などが出てくる。こんな実習はもうやっていないだろう。
アンモナイトも古生代から中世代にかけてよく出てくる化石。その、ジオラマ。これも、もっと多くの生き物がいたはず。
アンモナイトの化石。大きさもヒトぐらいのもあり、多様。今日のオウムガイに近い。
ヤスリツノガイ。アサリなどと同じ軟体類。今日でも生息。

もう少し、貴重種が見つかったなどの成果を出してもいいだろう。研究者は控えめの傾向になっているが、もっと、アピールしてもいいだろう。
ヒトが少なく、展示物や企画展はゆっくりと見られた。また、200円と、入館料も格安である。このため、地元、埼玉にも、多くの生き物がいて、面白い生き物や自然がある事を成果とともにアピールしてもいいだろう。

この骨格も忘れた。
アケボノゾウの全身骨格の化石。日本にはゾウの仲間が多くいた。東京都羽村市ではステゴノドン、八王子市ではハチオウジゾウが、顎や全身骨格の化石が見つかっている。
アケボノゾウの足跡の化石。狭山市の入間川で発見。この化石と同じように、パレオが見つかった化石の先には神流川と言う恐竜が見つかった所があり、岩肌に恐竜の足跡の化石がある。
アケボノゾウ。ゾウの横の木はメタセコイア。メタコは中生代(2億5217万年前)に出現。トリケラトプスなどは見ていて、葉等を食べていたはずだ。
パレオパラドキシアの化石。ここではないが、上野の科博ではパレオの化石を展示している。
中央の脊椎に欠けている所がある。かじられた跡らしい。大型のサメのカルカロドンなどに襲われていたらしい。
秩父の山を表したジオラマ。生き物が解るような工夫が欲しい。
企画展の説明。元号ではなく、西暦で表して欲しい。時代を遡れない。いい加減、このような時代遅れのお役所仕事を改めて欲しい。
入間川流域の説明。源流域の大持山にも行ってみたい。
調査で採集した昆虫類。今後、大切な物となる。100年後、見つかったニホンオオカミみたいな例がある。
採った場所が明記され、同定され、今後に課される。DNAに変わるものが出てくるのか。また、100年後に期待したい。
腊葉(さくよう)標本。ツクバネガシやヤマアイなどで飯能で新しい分布の種が見つかった。
昆虫などを採取した器具や方法を展示。

館周囲に植えられているカエデの森に向かう。ムクロジ科カエデ属27種中、20種を植栽しているので、少し枯れた物やプレートなどによる説明がないものもある。逆に、メタセコイアは日本に来た経緯がよくわかり、アメリカからの挿し木により、増やしたものが来たそう。植えてから、60年余りで巨木になっている。家に植えたが、途中で切ってよかったとこの木を見てつくづくと思う。

北アメリカから来たメタセコイア。1941年に三木博士により、後の意味のメタセコイアが化石として見つかり、1943年に中国で実在に生えている事が確認された。イチョウと並び、生きた化石。という事は全てクローンか。大阪や東京都八王子市浅川などで化石としてある。
カエデの森に植えられているカエデの一つ、カジカエデ。
竹筒などを置いておくと、ハチが来る。
植えているわけではないが、アカネが玄関前の植裁にあった。染色などで良い教材になる。

玄関前にパレオの模型が置いてあった。帰りはいつもの秩父駅を経由し、飯能を抜け、戻った。

ここ長瀞は日本地学の発祥の地。その碑もある。岩も置いてあり、面白い。
パレオパラドキシアの模型。これが良く似ているとの事。体色は推定。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?