温暖化の酷暑...でも久し振りの山作業
今年の酷暑で8月は中止していた”木こりの会”の山での作業が9月は再開です。しかし、8月に比べ少しは涼しくなる予想は外れ、9月中旬としては異常に暑い中での作業となり、少し無理をすると熱中症になりそうな状態でした。作業はミツバツツジを植林した場所の下草刈りでした。このツツジは僕が参加する以前、多分4, 5年前にメンバーが植えたものですが、春になると派手ではないですがきれいな花が咲きます。
以前報告したコナラの植林よりは生存率が高いのははっきりしていますが、メンバーの方々は相当数が立ち枯れていて心配されていました。植えた当初は日当たりのいい場所がいいだろうと考えて植林したそうですが、昨年や今年の暑い夏に耐え切れなかった株も多いようです。
しっかり数えたわけではないですが、特に日当たりのいい場所に植えた苗は生存率が低く、逆に周囲の木陰で影になりやすい場所の株は元気でした。しかし、ほとんど枯れた(ように見えた)株から新しい芽が出ているものもあって少しほっとしました。
枯れた原因は直射日光による高温そのものが原因か、高温で土が乾燥し易かったのか、判然としませんが、いずれにしても身近になった温暖化の影響だと思います。個人的には乾燥(大げさに言えば旱魃)の可能性が高いと感じています。
植物もそれぞれ個性があり、気温や乾燥の影響の受けやすさも大きく違うので、一概には言えませんが、今回の下草刈りで、下草である雑草も春先に比べ思ったほどのびていなかったのと、単一の草の種類だけが目立ったのが印象的でした。
このような夏が今後も続けば、この地方の植物も暑さ、乾燥に強いものに代わってしまうのでしょう。海では水温の上昇で、魚の種類が変化しているとの事ですが、植物相もこの状況に適合してすでに大きく変化しているのではないかと思います。「今年の雨量は集中豪雨などの形で増えている」と聞いた事があり、温暖化は単に乾燥するだけではないので複雑です。
ただ、植物全体が温暖化で死滅するかと言えば、自然はそれほど脆弱ではないと思います。皮肉な事に化石燃料と言われる石炭、石油、天然ガスの元となる植物や動物性プランクトンは白亜紀を中心とした時代に膨大な量が繁茂したものが長い間に地中で変化したものですが、この植物が繁茂した時期は今よりはるかに気温が高く、大気中CO2濃度が高かったと聞きました。
今回の下草刈りで実感するのは「温暖化で植物の種類が大きく変化する可能性があるようだ」という事で、明らかに元気のない草もある一方、特定の草は極めて元気でした。
あらゆる生物の源であるCO2、水、太陽光の豊富な条件は生物全体としては適している面もあるのではないでしょうか。
ただし、ある特定の生物の種が、植物であれば、生えている、また動物では住んでいる土地の現状の気象条件に合わせた形で進化して来ているので、今、環境が地質学的には瞬間ともいえる期間で急激に変化する事は極めて大きい影響を生物相全体に与える可能性があるのは当然だと思います。
人間は膨大なインフラや地域に依存した、国家単位の社会構造で、さらに“命”に対する問題意識は他の生物とは大きく異なり、自然災害による問題を他生物より敏感にとらえる社会意識があると思います。その影響は場合によっては国家間の紛争など悲劇的な状況まで拡大する可能性があるとも言われています。
今回、ミツバツツジの生育を助けるために下草刈りをしましたが、急速に温暖化が進んでいる中で、これがこれまでのこの地域の気象条件に適合してきたツツジにとってうれしいのか、余計なおせっかいなのか疑問を持ちながら刈りました。草刈りをする効果があるのか、草が地面を覆っていた方が水分の蒸発が防げるのか、蒸れてしまうのか??ツツジに聞きましたが答えてくれません。
ちなみにこの原稿を書いている今日は昨日までの酷暑とは打って変わって朝は涼しく、最高温度も30℃程度で過ごしやすい一日です。ずいぶん唐突に秋が来で、ススキも咲きかけています。