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小学物語25

チビという名前のポインターだった
白黒の大きなブチ模様で
とにかく体つきがしなやかで
美しい犬だった

それと クロ
なぜか雑種の赤犬(輝く茶色の毛)
毛並みがきれいでなでるとすべすべ


昔の小学校だったところは

現在 野外ステージになり

斜面の下の道路まで

コンクリートの長い階段が続く

40段

踊場

40段

平地に着く

広場

2車線道路 

グランド 400mトラック


であった

おらは冬はソリやミニスキーで

この急な坂を滑り降り


夏は


古タイヤを転がして



下の広場で受け止める

遊びをしていた


おらは思った

軽トラの古タイヤでなくて



トラックの大きなタイヤだったら
止められるだろうか


友達の家がタイヤを売ってるので

そこから古タイヤをもらってきた

それほど大きくないが

ゴムが硬くて重い




これは手強いぞ~



まずは踊場から落としてみる


念のため


一番前に 1人


その後ろに 1人


その後ろに 2人


1-1-2 だ





ゆっくり そろっと 落とすど~




おらはびっくりした








跳ねる 跳ねる



加速


誰かが
ターボがかかってるとか言ってる


一人目にぶつかる

はね飛ばされる



進行方向がずれる



慌てて皆がタイヤの正面へ

回り込む


全員で止めるっていうか
横にはじいた



タイヤは横にある木にぶつかって止まった


すげー

みんな腰を抜かして地べたに座ったり
タイヤに座ったりしている



みんなは良く止めたなと

お互いの機転を褒め称える

笑顔で 興奮して ほっぺが赤くなってる




誰かが一番上からやってみるか




と言う

やろう

やろう

横にずらしてやればいける

木の板持ってくる

軽トラのタイヤを持ってぶっつかってみる

アイデアがたくさん出てくる

みんな興奮してきている




燃えてくる

男をみせるべ



おらの頭の中ではドラムロールが鳴っている



2人がかりで上まで運んだ


おらは見下ろす




興奮してきて

おしっこ出そうだ




全員

まだ見ぬ

未知の世界が

開こうとしているのを感じた


鼻から胸一杯に息を吸い込む


手っていうか
腕全体が震える

体全体が震えてきた

息を吸うとビブラートがかかったみたいに
震える


もうがまんできねー
いくぞー

ころん

とん

ごろん

どん

ごろごろん

どご

ひゅっ


どっ

ひゅっ




やべー



完全に跳ねてる

いや




空を高く飛んでるよ


逃げれー 逃げれー

ぶつかる




にもかかわらず

長い板を持った奴らが

構えている


横に進行方向をずらすつもりだ

ああもうぶつかる


頼むっ




ひゅっ



どっ



ひゅっ




タイヤは跳ねて


やつらのスレスレを


飛んでいった


そのまま道路を横断して

400mトラックまで転がっていき


途中で蛇行しながら
グランドの真ん中あたりを進んでいる


おらたちは
ぼうーぜんと
タイヤの動きを見ていた


そして反省した

全然 見積もり 甘かった

完全に タイヤは飛んでいたし

とんでもないスピードだった


チビとクロが

転がり倒れ込んだタイヤに向かって
吠えている


危険だと感じているのだろう

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自分の欲求を満たそうとするとき
その影響をきっちり見積もって
行動しよう

娘へ























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