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YCSJ2024レポ

 はじめまして。デュエリストもやっている門松と申します。普段はTwitter(現X)でアホなこと垂れ流したりしています。
 ゴールデンウィークに開催された”YCSJ(Yu-Gi-Oh! Championship Series Japan)Tokyo 2024”が終わり早一ヶ月と二週間、疲れも興奮も落ち着いた頃ということで、今回の記事を書いてみようと思い立ちました。レポートとは書いていますが、反省や分析よりも日記的な感覚です。なので構築やプレイングの参考にはあまりならないかと思います。悪しからず。

〈YCSJって?〉
 「Yu-Gi-Oh! Championship Series Japan」の略称、つまり遊戯王の日本一を決める公式大会。今回は10回目の開催でした。遊戯王OCGも25周年ということで、約8,000人という過去最大の規模での開催となりました。
 予選はAブロックとBブロックに分けられ、2回敗北した時点で敗退シングル戦を最大8回まで行います。
 「こんな記事読む奴で知らん奴おらんやろ」? それはそう。けどまあ一応の説明ということで。

〈準備~大会前日まで〉
 参加抽選の当選メールが来たのは3月の初め。そこから約2ヶ月間は連日デッキの選定や構築の見直し、ショップ大会に出ての練習を重ねていきました。
 普段私は【幻影騎士団】【ドラゴンメイド】【相剣】などの、「一時期環境入りしていたけれど今はそこまで名前を見ない」デッキを中心に使用しているのですが、今回は自分が使ってきた中で未だ大きな結果を残せていない【相剣】を持って行くことにしました。
↓デッキレシピ


 それとデッキケース作って塗装もしていました。バンダイが販売しているプラモと言う名のただの箱、「黄金櫃」を水性塗料で下手なりに筆塗り。

……ムラあるけどまあええやろ。

 全ての調整と準備を終え、東京に向かったのは開催日の前日。秋葉原で新弾を買ったり、友達と壮行会も兼ねてご飯に行ったりと、楽しい前日入り……ん? 新弾? そう、4月27日は遊戯王のレギュラーパック「INFINITE FORBIDDEN」の発売日でした。そして大会は翌日の4月28日。この事実には以前から気がついていましたが、宿泊先のホテルで私はワクワク半分、怒り半分の状態でパックを開封していました。 新テーマの登場はもちろん、既存テーマの強化や汎用カードの収録がされるこの商品。そんなものを大会前日に出すとどうなるでしょうか? 少なくとも私はキレました。事前に収録カードが発表されるとはいえ、実物に触れたりそれらの入ったデッキと対峙できるのは大会当日も含めて二日間だけ。いきなり知らんカード出てきて「何ですこれ?」「テキスト確認いいですか?」×n回 となる可能性もあるわけです。もうそんな地獄のことを考えたら緊張で寝られない―― 諦めて11時に寝ました。そんなこと考えるよりコンディションを整える方がよっぽど大事じゃい。

〈大会当日〉
 朝7時に起きてホテルのバイキングへ。昼はあまり食べられないかもしれないので、しっかり摂っておきました。
 朝食後すぐに電車に乗って会場、東京ビッグサイトへ。9時すぎくらいに到着したので、トイレに行く余裕もあるほど。大阪や名古屋だと逆にここまでの余裕はなかった気がします。 受付を済ませ、リストバンドを付けて会場に入り、案内された席で待機。周りのざわつきが気になるので精神統一とリラックスのために音楽を聴きながらデッキの確認をしました。
 コミケなどのイベントで場所の雰囲気には慣れていても、大会のために来るのは初めて。どうしても独特の緊張感があります。けれど同時に「これこれ、この感じ」と懐かしさも感じていました。
 そうこうしているうちに、マッチアップの発表がされ、席の移動が始まりました。
 着席し、対面の相手を確認してから、ルールの説明と開会式が始まります。名倉氏の進行のもと、ギネス記録測定のための撮影。決闘者全員が腕を突き挙げる景色の中に自分がいるという実感は、闘いとは別の高揚感がありました。
 そして、大型モニターに映される風間俊介氏。”デュエルモンスターズ”のはじまりからずっと、決闘王として決闘者たちの心に刻まれている”彼”の声が、ついに告げます。
『3……2……1……』

「「「デュエル!!」」」

【1回戦】
 ジャンケンは負け。初手の妨害は〈無限泡影〉のみ。相手の使用デッキは【罪宝炎王スネークアイ】。それが分かった時点で考えることはガルドニクスの効果を止めることのみ。これを止められれば何とかなる。通ってしまえば負け濃厚。
「ガルドニクスの効果発動は」
「チェーン、無限泡影で」
 少し動きが止まる相手。抹殺があるか。
「……チェーンありません」
 止まった。これなら勝ちの目がある。
 一枚セットで相手はターンをこちらに渡します。さらに運が良いことに、こちらは初動の莫耶に加えて〈簡易融合〉が揃っていました。〈沼地のドロゴン〉を簡易融合で出した後に莫耶を召喚。効果を発動しようとしたところ、
「チェーン、無限泡影」
 予想通り、相手は莫耶の効果を無効にしようとします。しかしこの状況、対象に取ることのできるモンスターはいません。それを相手に説明した上でジャッジを呼びました。まさか初戦から時間を使うとは思わなかった。
 ジャッジからは無限泡影の発動ができないため、カードをセットし、チェーン1まで戻る処理を言い渡されました。若干気まずく、お互い苦笑でデュエル再開。
 流れも情報アドバンテージも得られた状態で、こちらはほぼフルに展開。相手のリソースを削り、競り勝ちました。

【2回戦】
 ジャンケンは負け。しかし相手はカードを三枚伏せてターンエンド。事故ったのか? それともラビュリンスなどの罠ビート?
 様子見も兼ねてこちらはエクレシアを通常召喚してダイレクトアタック。何も発動しません。これは手札事故と見ていいか。メイン2でエクレシア効果を発動し、莫耶にアクセス。しかし莫耶に無限泡影を発動されます。特にできることもなくターンエンド。
 次の相手ターン。流石にそろそろ動かれるか。
「……一枚伏せてターンエンド」
 マジで? ありがたいけど逆に信じられません。友達とのフリーだったら確実に煽っていると思うほどです。
 その後も無限泡影や〈ドラグマ・パニッシュメント〉で妨害されましたが、相手は事故り続けたため押し切って勝利。
 結局何のデッキか分からなかったので聞いてみると、デッキトップに眠っていた〈超融合〉を見せて「何だと思います?」と逆に訊かれました。
 恐らく罠系のデッキではなく、超融合とドラグマが両立する、エクストラ依存度の低いデッキ。
「……ユベルですか?」
 答えはしませんでしたが、相手は驚いて目を見開いていました。当たりだったのかもしれません。
「絶対勝ってくださいよ!」
 悔しそうに、けど笑顔で私に言ってくれる相手。
「はい! 任せといてください!」
 こちらも笑顔で返し、席を立ちました。

【3回戦】
 結論から言うと負けました。即墜ち2コマ漫画かよ。
 ジャンケンはまたも負け。相手は【エクソシスター】で、こちらの妨害は〈エフェクト・ヴェーラー〉一枚のみ。
 最強カードマルファからスタートされ、なけなしのヴェーラーも軽々乗り越えられ、こちらのターンでも捲り札は引けず、普通に負けました。2回戦での約束を秒で破っていくう。
 ここまで運に恵まれていたので、初の黒星に少し動揺します。けれど競技では切り替えが大事。ちょうどお昼時なこともあって、一旦会場外のベンチに行き、買っておいたおにぎりを食べました。デュエル飯(九十九並感)。何度も言いますが、コンディションを整えることは、競技に臨むにあたって一番大事なこと。メンタルもある程度整い、次の卓へ向かいます。

【4回戦】
 ここで負ければ終了。さすがにそろそろジャンケンにも勝て――
 負けました。今日ジャンケン運なさすぎん?
 しかし相手は後攻を選択。その瞬間、一気に思考が加速しました。
 カードゲーム全般に言えることですが、手番は基本的に先攻の方が有利です。特定のデッキを除いては。
 2024年4月現在、遊戯王には後攻ワンターンキルを可能とするデッキが多く存在します。中でも環境入り――主流となっているのは【天盃龍】。ギミックがコンパクトかつ再現性が高く、自由枠も多いデッキです。ショップ大会でも何度か当たり、コテンパンにやられてきました。
 だからこそ、ここで相手が【天盃龍】かもしれないという情報を得られたのは逆に大きなアドバンテージ。今日までイメージしてきた対策を実行します。
 盤面に並べるのは〈相剣大師ー赤霄〉と〈相剣大邪-七星龍淵〉。レベル10シンクロは〈フルール・ド・バロネス〉が最も便利ですが、今回は七星龍淵の方が正解と判断しました。
 七星龍淵は相手の魔法・罠の効果発動に反応して、そのカードを除外し1200ダメージを与える効果と、相手がモンスターを特殊召喚した際にそのモンスターを除外し1200ダメージを与える効果を持っています。【天盃龍】は専用フィールド魔法から動いたり、二体以上モンスターを並べて連続召喚・連続攻撃を狙うデッキです。仮に読みが外れていたとしても、今の遊戯王ではフィールド魔法や永続魔法・罠を使わないデッキの方が少ないため、無駄になりにくい効果です。
 相手にターンを渡し、メインフェイズ1。さてどう動いてくる――
燦幻荘発動します。そのままサーチ効果発動――」
 来た。専用フィールド魔法の〈盃満ちる燦幻荘〉です。サーチ効果とメインフェイズ1の間、炎ドラゴンに耐性を付与する強力な効果を持っています。
「チェーン2で七星龍淵効果発動。除外して1200バーンは?」
 ここで〈禁じられた一滴〉などがあればキツいが……
「……チェーンありません。通ります」
 よし! こちらの妨害を無効にするようなカードはない。なら後は展開を止めていくだけです。
 その後、相手は速攻魔法〈燦幻開門〉や〈天盃龍パイドラ〉で連続召喚を狙ってきますが、七星龍淵と赤宵で動きを止め、何もさせずにターンが返ってきました。というか、【天盃龍】は何かまともに通るだけでほぼ致命傷です。
 合計4800のダメージを与えた状態で、向こうに妨害はなし。遠慮無く総攻撃をかけて勝利しました。
 これは個人的に今日一番の大金星でした。今まで負けてきたデッキ相手に、シミュレーションしてきた戦法が綺麗に決まったのですから、滅茶苦茶嬉しかったです。
 取り戻した勢いのまま、次の卓へと向かいました。

【5回戦】
 予選も折り返しとなり、参加者もかなり減って周囲の席に空きが目立つようになりました。敗退した人たちは物販やデュエリストフェスティバルに行っていて、メインイベントのはずのこちらが寂しく感じます。
 ここまで来たら7回戦まで勝ち残りたい。他の参加者は余裕があるのか和やかな雰囲気で、持ってきた黄金櫃を見て貰ったりと開始前から楽しかったです。
 さて、時間になりいよいよ5回戦開始。ジャンケンは今日初めての勝ち。当然先攻を選びます。
 盤面は先程とほぼ同じ展開に。後続は残していない上、相手のデッキは確定していませんが、3妨害に加えて〈灰流うらら〉があるため、そう簡単に捲られないでしょう。
 返しのターン。相手は渋い顔をしながら発動を宣言します。
「〈金満で謙虚な壺〉発動。コストは6枚で」
 EXデッキを6枚除外して、その枚数分デッキトップを捲り、その中から1枚を加える魔法カード。上記のコストに加え、使用したターンはこちらのダメージが全て半減します。
 うららで止めることも考えましたが、相手のデッキが分からない以上、様子見を決めました。
「チェーンなしで。どうぞ」
 表を向くカードたちを互いに注視します。その中には天盃龍と……〈ライトニング・ストーム〉。
 まずい。ライストは攻撃表示の相手モンスターを全て破壊するか、相手の魔法罠を全て破壊できます。今こちらのモンスターは全て攻撃表示。このターンにキルされる可能性が低いとはいえ、全除去のケアを失念していました。
 相手は渋い顔のまま、ライストを取るか他の天盃龍を取るか悩み……
「ライストにします」
 そしてそのまま発動。せめてもの抵抗に、七星龍淵でダメージを与えます。さらにバトルフェイズに入って〈燦幻開門〉を発動されますが、そこはうららで止めます。
 その後、確かにキルは取られませんでしたが、メイン2に〈月華竜ブラック・ローズ〉を立てられます。ターンが返ってきても大型モンスターを通すことができず、そのままターンエンド。
 そして、できることもなく相手の総攻撃を受け試合終了。
 負けた。これでYCSJは敗退。連続で同じテーマと当たったのに負けたことがとても悔しく、けれどどこか満足感もありました。
 一種の虚脱感に見舞われている私に、ふと周りから声がかかりました。
「すごくいい試合でしたね!」
「相剣使われているんですね。久しぶりに見ました!」
「結果出されている方なんですか?」
 先に終わっていた他の卓の人たちが、ギャラリーになっていました。私も対面の天盃龍使いの方も、健闘を讃えてくれる声に笑顔と礼で応えました。
 負けた。けれど、気持ち良く負けることができました。反省する点はあっても後悔はありません。
 私は名前も知らない決闘者たちに頭を下げて、卓を後にしました。

 それからは物販に並んでパックを買ったり、少しだけデュエリストフェスティバルにも出たりしました。というか、既に夕方を回っていたので、フェスティバルはすぐに終了時間が来たという。同じビッグサイトで開催されているコミティアにも行きたかったのですが、どう考えても無理そうです。
 帰る途中、えっちらおっちら荷物を抱えて駅に向かっていると、ふと背後のビッグサイトを見上げたくなりました。


夕日に輝くビッグサイトと黄金櫃

 夕日を受けて輝く逆三角の建物は、千年パズルにそっくりでした。最後にと、黄金櫃を置いて写真を撮ります。

 楽しくて、嬉しくて、悔しくて、高揚した一日でした。こんな経験はそうそうできないでしょう。今日出会えた決闘者たちやこの場を作ってくれた人たちに感謝の一礼をして、改めて駅へと足を向けました。
 こうして私のYCSJは幕を下ろしたのでした。

〈おわりに〉 
 読み返してみるとクッソ叙情的に書いてんなコイツ(天使族)……。実際思い出に残るイベントだったので感情が乗るのは当然ですが。
 ここ一ヶ月は燃え尽きたかのように実物カードも触っていませんが、こうして振り返ってみると熱が少しずつ戻ってきたので、またショップ大会に通おうと思います。
 noteも気が向いたら書くかもしれないので、その時は「またしょーもないもの出してんな」くらいの気持ちで見てください。

 ここまで読んでくださり、誠にありがとうございました。それでは、またどこかで。

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