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46話 ベットの中で

そうね。早く登校の準備しないと遅刻しちゃうし」
「僕が朝ご飯作るよ!」
「ありがとう!なら私は先に着替えてるね」
「分かった」10分後。
「もうご飯の用意出来たの?」
「昨日の残り物がほとんどだよ」
「まぁ、いっか!いただきます」
「召し上がれ!」
「やっぱりともきの料理は美味しいな」


「もみじ、起きてる?」9月30日午前6時。
「起きてるよ!ともきはいつ起きたの?」
「1時間くらい前かな」
「まだ起きたくないよね」
「起きたくないね」
「実は、聞きたいことあったんだけどいいかな?」
「なに?聞きたいことって」
「なんで僕の告白を受けてくれたのかなって思って」
「そんなこと気になってたの?」
「うん。だって僕、モテないしさ」
「聞きたい?なんで受けたか」
「聞きたい」
「教えるのもいいけどなんで私に告白しようと思ったのかも知りたいな」
「分かった。もみじの後に話すよ」
「ありがとう」
「僕のほうこそありがとう」
「あれは確か、中2の頃だったかな」この時初めてもみじの口から過去の話が語られる。
『なぁ、椎名。俺たちと遊ぼうぜ』当時の私は毎日のようにクラスの男子から遊びに誘われていました。
『すみません。この後は、隣のクラスの友達と遊ぶ約束をしているんです』毎日誘われて毎日断る私。
『お前さ、なんで俺たちと遊んでくれないの?前誘った時も友達と遊ぶって言ってたよな』
『ねぇ、また椎名さんのこと誘ってるわよ』『なんで嫌がってるって分からないのかしら』『自分のことしか考えられないんじゃない?』『ばか、そんな大きい声で言ったら聞こえるだろうが!』
『まぁ、今日のところは諦めるけど今度こそ遊ぼうな』クラスの男子からそう言われている時、廊下には私をしつこく誘う男子達に対して声を掛けてくる人がいた。その黒髪の少年は私のもとに近ずいてきてこう言った。
『大丈夫ですか?』
『はい』誰かに心配されるのは久しぶりなのでつい照れてしまった。
『お前、誰だよ!』
『私は、愛憐中学生徒会副会長相澤智樹といいます』
『お前、男なのか?』
『えぇ、そうですよ』
『なら、なんでスカート履いてるんだよ!』
『それは、私の学校は男子がスカート、女子が学ランというふうに決まっているからです』
『そうか、お前の学校がおかしいってことだけはよく分かったよ。それで、他校の生徒会が何の用だ?』
『先程から話を聞いていたのですが、あなたは嫌がってる人を無理やり誘うのが好きなんですか?』
『あ?誰が嫌がってるって?』
『そこの女生徒ですよ』
『椎名、お前嫌だったのか?』
『えぇ、嫌でしたよ』素直に言うなんて凄いとか思われてるんでしょうね。
『素直に言うなんて凄いですね』
『え?』
『だって、こういう場合闇討は避けたいから嘘を言うのが相場じゃないですか』
『お前ら、さっきから聞いてれば失礼なことばかり言ってんじゃねえよ!』
『それをあなたが言うかな。まぁ、今後無闇に女生徒は誘わない方がいいよ』
『ちっ!分かったよ』そう言って彼は教室から出ていった。
『ありがとうございました』
『いえ、たまたま通りかかったら見てしまったので』
『ここら辺に用があったんですか?』
『えぇ、お花をつみに行きたくて』
『なるほど。トイレがどこか分からなかったんですね。案内しますよ』
『ありがとうございます』
『助けてくれたお礼です!』
『それでは、少々お待ちください』女生徒に案内してもらいトイレに来た私。
『我慢はしない方がいいな』
『お花はつめましたか?』
『ありがとうございました』
『それでは、玄関の方に案内しますね』彼女に連れられ玄関まで来た私。
『ありがとうございました。宜しければお名前を教えて貰えませんか?』
『はい。府城中学2年椎名紅葉です!』
『椎名さんですか。あなたとはまた会えそうな気がします』
『相澤くん、こんなところでいたの?』
『すみません。会長!トイレを探していたら迷ってしまって』
『もうバスが来てるから行くわよ!』
『はい!』僕は返事をするのと同時に椎名さんに手を振った。
『なに?あの子と仲良くなったの?』
『案内してもらっただけですよ』
『何はともあれ交流会、無事に終わって良かったわね』
『そうですね』
「僕ともみじは2年前に会ってたんだね!でもなんで言ってくれなかったの?」
「ともきだって分かるまで時間かかったんだよね。見た目変わってたし?」
「あぁ、確かに」
「見た目変わるのもそうだけど、何かあったの?」
「うーん、まだ言えないかな。もっと親しくなってからがいい。もみじもそういうのあるでしょ?もっと親しくなってから言いたいこと」
「確かにそうね」
「うん!」
「じゃあ、なんで告白しようとしたのか聞かせてくれる?」
「分かった。なんで告白しようと思ったのか。それは幸せにしたいと思ったからかな」
「なんでそう思ったの?」
「さっきの話にもあったけど、もみじがトラブルに合ったことがあること知ってるから、そういうのからも守りたいって思ったんだよね」
「ともきはやっぱり優しいね」
「もみじが優しいんだよ」
「まぁ、お互いのことを改めて知ったわけだけど、そろそろ起きようか」こうして2人は登校の準備を始めた。

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