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53話 学校見学

「皆さん、おはようございます!」教師が教室に来る前に席に着いていて欲しいと思う狭山。
「おはようございます!先生」
「ホームルームを始めます!日直、号令!」
「起立!例!おはようございます」日直の生徒が元気良く号令を掛ける。
「おはよう。それでは連絡を始めます。本日は午後から暁中学の生徒が見学に来ます。廊下ですれ違ったら挨拶するように」
「は〜い!」時間はあっという間に過ぎてお昼休みになり、売店に向かう途中で僕は2人の少女と出会った。
「君たち、何か困ってるの?」もしかしたら学校見学に来る予定の中学生かもな。
「お兄さん、誰ですか?」
「ごめんね!名前言ってなかったね。僕は相澤智樹!君たちは?」
「私は九条レスティア」
「私は九条レムです!」
「そうか!レスティアさんにレムさんね。それで何か困ったことあった?」
「私たちこの高校に学校見学に来ているんですけどクラスメイトとはぐれちゃって」
「先生にどこ集合って言われたのかな?」僕が少女と話をしていると後ろから声をかけられた。
「どうしたの?ともき」
「もみじ!実はこの学校に見学に来てる中学生なんだけど他のグループとはぐれちゃったみたいでさ。話を聞いてたとこだよ」
「そういうことね」
「あの、あなたは?」
「私は椎名紅葉!よろしくね。それで集合場所はどこなのですか?」
「多目的ホールです」
「そっか!多目的ホールはここを真っ直ぐ行って右側の廊下を曲がるとコンピュータ室があるからさらに奥に行くと多目的ホールがあるよ!」僕は2人を多目的ホールまで案内することにした。
「ありがとうございます!」
「ともき、授業に遅れないようにね」
「分かった。それじゃあ、行こうか!」もみじと別れた僕と中学生2人は多目的ホールへ向かう。
「あ、九条さんたち!今までどこにいたの?」
「すみません。他のクラスメイトとはぐれているところをこの方に助けてもらいました」
「そうなのね。うちの生徒がお世話になりました」頭を下げる担任の先生。
「頭をあげてください!いいんですよこれくらい」
「ありがとうございます」
「それじゃあ僕は授業があるのでそろそろ行きますね」
「お兄さんありがとう!」彼女たちのお礼を聞いてから僕はその場を立ち去り教室へ戻ることにした。
「相澤!中学生の少女は可愛かったか?」教室に戻ってきた僕に男子が何人か声をかけてきた。
「可愛かったと思うけど顔はよく見てないんだよね」
「そうだよな。お前には椎名さんがいるもんな!」
「うん!」この時僕は少し不安だった。アルナに椎名紅葉の監視を頼まれたからだ。
「皆さん、授業始めますよ!」先生が5限目の授業を始めてしばらく経った時、何人かが廊下から教室を見ていることに気が付いた。そこにいたのは先程、廊下で会った中学生たちだった。
「失礼します。見学させていただきます」廊下で室内を見ていた中学生一行が教室へと入ってくる。
「暁中学の方ですね!」
「はい!」
「好きなだけ見ていってください。前に来ていただいてもかまいませんよ!」
「ありがとうございます!」20分ほど中学生たちは僕たちの教室を見て次の教室へ行った。
「可愛い子多かったな」「そうだな」「来年、あの中の何人かがうちに来るんだろ?」「そうなるのかもな」「俺、良い子見つけたから入学してきたら仲良くなりたいな」
「こら、静かに!」
「はーい」
「これから会議があるので今日はこれで終わりですが最後に連絡があります」
「なんですか?」
「今月末には文化祭があるので来週から準備が始まります。学校を休まないように!」
「はい!」この日の学校は早く終わった。


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