見ててよ地獄、見ないで地獄
「ごめんなさい」と言いながら、ボロボロになった『人間失格』をベッドの奥底に眠らせた。人間試験に合格できなかったことが悔しかったのではない、こんなに愛していた読書を捨ててでも私は夜の世界に足を運ぶという、その馬鹿さに呆れたのだ。
ハルシオンやサイレース(睡眠導入剤)の色で発光したネオンカラーの看板の数々。知り合いの風俗嬢が「うちの店、ベロにつけたときの眠剤の色。うけるよね」と言って笑っていたことを思いした。歌舞伎町という街がここまで光っているのは、精神安定剤の効能を全てここに