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ゴールデンカムイの謎 シャクシャインの戦いと砂金トラブル

和人の砂金採りにより
混乱するアイヌ社会

江戸時代初期、
北海道はゴールドラッシュに沸いた

それは松前城下や渡島半島のみの話ではない。
日本海沿岸各地や、太平洋沿岸の日高方面も和人の砂金採りが殺到した。
北海道日高地方における砂金採取。
主な採掘地域は沙流川上流、新冠川、静内川、三石川、元浦河など。
これらの流域は現在もアイヌ系住民が多く、アイヌ文化が脈々と受け継がれている。

さて砂金を採るには、まず川底を掘り崩して砂を流さなければならない。
当然、川は汚れ、鮭漁の妨げとなる。
アイヌの信仰では、川は鮭が昇り、水資源の源であり、舟を浮かべれば交通路となる神聖な場所。
そんな川が余所者に濁され、荒らされる
地域のアイヌと和人の砂金掘りとの間にトラブルが山積していたことは、想像に難くない。
北海道のアイヌ人口が数万だった当時、日高地方に万人単位で砂金掘りが押し寄せたのだから、
その混乱たるや押して知るべしだ。

交易レート改悪と
火山の大噴火

さて松前藩の藩財政は砂金掘りのショバ代、そしてアイヌとの交易によって成り立った。
主な交易品は、アイヌが求める鉄製品、漆器、そして米である。
アイヌも古来よりアワやヒエなど穀物を栽培していた。だが、米は北海道で栽培できない。
交易でのみ得られる米はアイヌ語でシアマㇺ(真の穀物)と呼ばれ、大変に貴重なものだった。
だが、松前藩は交易レートを
どんどん改悪していった

和人の物品を購入するにあたり、アイヌは鮭や毛皮など自身の産物で支払う。江戸時代初期には鮭100尾で米2斗だったものが、1660年代では鮭100尾で米8升。

しかも17世紀後半は、地質学的においても大変革期だった。
有珠山、駒ヶ岳、樽前山など、それまで数千年に渡って活動を休止していた火山が、
そろって大噴火したのである。
1640年、駒ヶ岳の噴火では大津波で700人が死亡、
1663年有珠山噴火、1667年樽前山の噴火では周辺地域に数メートルの火山灰が降り積もった。

以前から続く砂金掘りの水質汚濁に加え、水環境に大打撃を与えたことは想像に難くない。

抗争するアイヌ集団
やがて和人との戦いへ

当時、北海道南西部の日高地方では、アイヌの2集団・シュムクㇽ(西の衆)とメナシクㇽ(東の衆)が漁業権をめぐって抗争していた。
戦いの中でメナシクㇽの長、シャクシャインはシュムクㇽの長、オニビシを殺害する。
怒るシュムクㇽは反撃を画策し、はるばる松前藩まで出向いて「武器の譲渡」を願い出た。
だが、拒絶されて日高へ戻る道中、メンバーの一人でオニビシの身内だった者が病死してしまう。

この病死は「松前側による毒殺」と
受け止められてしまった。

そして…

以前書いた記事です

※参考文献



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