水俣のコップ
炭火を起こし、肉を焼きながら、久しぶりにいも焼酎をロックで飲んだ。グラスは、昔、水俣を取材で訪れたときにスナックの女将にいただいたもの。手触りの感覚が何ともフィットする。飲み口の不均一さが、また味わい深い。
このグラス、元々は捨てられるはずだった焼酎ボトルの底を切って加工し、再利用したもの。
水俣は、利益優先の企業による水銀汚染と、それを許した国家の不作為によって、多くの人々の体が蝕まれた。リユース、リデュース、リサイクル。環境にやさしい町として水俣を再生しようという試みの中で、このグラスは作られた。大量消費、大量廃棄に抗うことが、水俣病から得た教訓だと地元の人に聞いた。
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