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淵一助っ人クラブ[決]vol.3

「それが曲者なのよ。低いド、ソ、高いドは
同じ指の形。何も押さえないの。ミとラは
1と2番を押さえる同じ形よ。
だから動きだけでどの音かはわからないわ」
「そうなのか。じゃあ無理かぁ」
「ちょっと五十嵐、アンタ諦めるの早くない?
今言ったのは初見の曲を " さぁ、ここで吹いて
ごらんなさい! " って言われた時に困るんで
あって、練習する余裕はあるんでしょ?」
「そうか、そうか。ですよねェ」
俺は練習の事などすっかり忘れていた。
「で、どこで何を演ればいい?」
「どこでって…日野お前引き受けて
くれるのか?」
「うん。どういった事情か分からないけど、
面白そうじゃん!それに私の好きな野球の
匂いがなんとなくするわ」
「日野、お前中学の時から好きだった……違う!
中学の時から鋭かった?と言いたかったのだ。
あ〜焦ったぁ!」
「うん?何か今キュンとするようなワードが
あったような………まぁいいや。
早く日時と場所と演奏曲を言いなさい!」
動揺を隠せないまま五十嵐は
「日時は来週土曜日の朝6時。場所は淵野辺市民グラウンド。曲は " 狙い撃ち " 」
そう、日野が予想した通り野球の応援依頼。
女の勘を侮るなかれ……
「何だ、" 狙い撃ち " なら楽勝よ!
何ならさっきの " ジョックロック " や
" 必殺仕事人 " もやろうか?」

試合当日の朝が来た!希望の朝だ!
(小さい頃夏の間によく聞いたナ!🤭)
喫茶店 " フルタ " の前に集合となり、そこでの
挨拶などのくだりは都合により割愛させて頂きます。(謝)

所変わって市民グラウンド。
「淵野辺の奴ら、返り討ちじゃわ!」
息巻く町田商店街チーム。
「そうだ!我らには強力な応援が!」
早朝野球にブラスバンドというなんとも
迷惑千万な行為をひきいるのが、
町田吹奏楽団のドン、渡辺  忠夫
(この人もファウルチップ、かすってるゥ)
                                                                          つづく

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