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音速のドラ猫06




クドと思わぬを再会して2日が経った。
彼女の乗ってきたSu-24Rは修理が終わり駐機場に僕達の機体と一緒に並んでいた。
出発の時…

クド「それでは、お世話になりました。」

葉留佳「また、遊びに来てネ〜 クド公ならいつでも大歓迎だヨ〜」

理樹「そうだね。でも、スクランブルだけは勘弁ね…ははっ」

玄武「クドリャフカさん、またプライベートでも遊びに来なよ。」

クド「はい!ありがとうございました!」

機体に搭乗するクド、ヘルメットを被り酸素マスクを付ける…精悍な目つきになる。

キュィィィィィィィィィィン

理樹「独特なエンジン音だね」

玄武「流石はロシア機だな。」

葉留佳「寂しくなりますネ」

2人「うん…」

心なしか元気がなくなる3人であった。
数分後…

ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ

アフターバーナーを炊きフル加速で離陸し翼を左右に振る。

3人「気をつけてね(な)〜」

僕達も大きく手を振り彼女を見送る…
そして、北の空へと消えていった。

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数日後…


〜114SQ隊舎〜

柊甫「気をつけッ 礼ッ」

全員「おはようございますッ」

火浦「おはよう諸君 団対抗戦技会まで10日を切った。よって本日より戦技会に参加するメンバーはアラート待機から外れ戦技強化訓練に参加してもらう。副隊長、資料を皆に」

柊甫「分かりました。」

副隊長の安村3佐が資料を全員に配布した。

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(格闘戦競技)

1番機 ドラゴン & レイ 組

2番機 ジャック & バロン 組

3番機 ミーシャ & エルモ 組

4番機 ソード& シャロン 組

5番機 カナデ& フゥ 組

6番機 ピクシー & シェリー 組

(団対抗射撃競技)

ミーシャ & エルモ 組

ソード& シャロン 組

リトル & グリン 組


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結弦「お、ドグファイトは玄武が出場か。」

朋也「だな、その代わり射撃競技は理樹が出ることになってるな。」

結弦「あ、本当だ。朋也さんも出るんですね」

朋也「まぁな」

日向「やるじゃねぇか!理樹、玄武」

玄武「ありがとうございます。」

理樹「あ、ありがとうございます。」

葉留佳「もっと喜ぼうよ〜理樹くん!」

理樹「う、うん…」

柊甫「静かにッ、これから詳しい日程を説明する。まず、場所は新田原基地で開催される。期間は10/23から10/26の4日間、初日は移動日
競技自体は実質2日目からだ。2日目、3日目で格闘戦競技、4日目で射撃競技だ。何か質問がある者は?」

全員「無しッ」

火浦「よし、各自訓練に移ってくれ。副隊長は俺の所に来てくれ。」

柊甫「わかりました。」

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〜ブリーフィングルーム〜

ゆり「今日、行う訓練ですが…2対2の格闘戦訓練を行います。ペアはドラゴンとピクシー組 ジャックとカナデ組で行います。」

玄武「俺は隊長とか…緊張するな…」

日向「いつも通りよろしくなッ 音無」

結弦「おう。任せろ」

風子「風子、戦技会優勝のために粉砕骨折の精神で頑張りますッ…」

葉留佳「風ちゃん粉骨砕身だヨ〜」

全員「wwwwwww」

ゆり「制限時間は30分、互いの背後を取り合い先にロックオンした方が勝ちです。」

結弦「使用可能な兵装は?」

ゆり「使用可能兵装は20mmとサイドワイダーのみとします。」

玄武「副隊長と音無先輩のチームか…なかなか手強いな…」

葉留佳「ですネ〜」

玄武「ま、ベストは尽くすさ」

葉留佳「そうだね〜」

ガチャ

柊甫「お疲れさん、遅れてすまない。」

結弦「お疲れ様です。副隊長」

柊甫「で、俺はどっちのチームかいな?」

ゆり「音無君の僚機を務めてもらいます。」

柊甫「OK、それじゃ装具をつけて搭乗ッ」

全員「了解ッ」

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〜駐機場〜

ガコッ

胴体左側面部のパネルを外すとそこには20mm機関銃と弾薬を装填するための弾ベルトがある

樹「うしッ、機銃部と弾ベルト異常なし。」

祐介「先輩、今日の標的は?」

樹「302のT-4に曳いてもらう予定やな。」

キィィィィィィィィィィィィィィィィィン

隊長や柊甫その他格闘戦競技メンバーが訓練飛行のためタキシングしている。
俺たちの本来乗る機体はライトグレーとガルグレーの2色を使った塗装だが、戦技会まで10日と言うこともあり機体には専用の特別塗装(スペシャルマーキング)が施されている。

豊「にしても派手だなぁ…」

理樹「そうだね、この猫は何を意味するんだろ…?」

豊「猫と髑髏ねぇ…俺らの相手が飛行教導隊だから〔打倒コブラ〕って意味合いじゃない?」

理樹「あ〜なるほど。でも、射撃競技は確かコブラは関係無いんだよね?」

豊「言われてみればそうだな…」

祐介「今回から射撃に参加する機体もスペマを施すことになったらしい。」

豊「へぇ〜そうなんですね。」

ガコッ コンコン

理樹「よし、点検終了」

豊「行きますか」

理樹「うん!」

装備点検を終え僕らは機体に搭乗した。

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〜 E6訓練空域 〜

火浦〔よし、そろそろ始めるかッ〕

ゆり〔いつでもどうぞ、隊長〕

玄武「す〜はーッ」

俺は大きく深呼吸をした。

葉留佳〔玄武くん、用意はいい?〕

玄武「あぁ、やってやるさ…」

火浦〔よし、バトルスタートだッ〕

隊長の合図で闘いの火蓋が切られた。

玄武「ドラゴン、敵をレーダー探知後は2機で1機を追いかけます。ついて来てください。」

火浦〔了解した。レイ、シェリー、レーダーレンジの範囲を45kmに設定しておけ。〕

ゆり〔了解〕ピッ

葉留佳〔了解ですッ〕ピッ

トムキャットのレーダーがパッシブからアクティブに切り替わる、これによりレーダーレンジ内に入ってきた敵機をより正確に探知できるようになった。しかし、これには弱点がありレーダーレンジの幅を広げることで敵機に自分の位置を教えてしまうことにもなる。
よって 敵よりも先に探知しなければならない。

玄武「ジャックとカナデが相手だ…油断はできん…」

ピッピッピッピッピッピッ

葉留佳〔radar contact! vector090 2bogey
range30 Mach0.8〕
(レーダー探知、敵2 方位90° 距離30mi
マッハ0.8で接近中)

玄武「了解、ピクシーよりドラゴンへ敵は真正面から6マッハ0.8で接近しています。会敵後は手筈通りジャックの機体を追います。」

火浦〔了解 レイ、会敵まであとどのくらいだ?〕

ゆり〔現在の速度で約3分後には会敵します〕

火浦〔了解、ピクシー 腕を見せてもらおうかな。〕

玄武「り、了解ッ」

隊長の言葉に俺は少し動揺した。

葉留佳〔玄武くん、落ち着いていつも通りやればいいんですヨ〜〕

玄武「ありがとう。葉留佳 …ん?」

前方に豆粒ほどの黒い点が2つ…間違いない…
ジャックとカナデの機体だ。俺は叫んだ。

玄武「TGT tallyho !0時方向ッ 敵機散開ッ
 右のジャックを追います」 

火浦〔了解〕

俺と隊長は右に回避運動を取ったジャック(副隊長)の機体を追う。

〜結弦side〜

風子〔カナデ、ジャックが追われてますッ〕

結弦「やっぱり、ジャックを狙うか」

風子「副隊長…大丈夫でしょうか…」

結弦「心配するな。伊達に114の副隊長じゃ無いよあの人は。俺たちは副隊長の指示通り、一度レーダーレンジの外に出るぞ」

風子〔了解ですッ〕

俺は機体を空戦空域から遠ざけ、レーダーレンジから外れた。

〜玄武side〜

玄武「行けるッ」

葉留佳〔およよ…?〕

玄武「どうした?シェリー」

葉留佳〔い、いえ…何でもないヨ〕

現在、2機で挟み込む作戦で飛行している。ドラゴン(隊長)がジャックを背後から追い回し俺が待ち伏せして撃墜する形だ。

火浦〔そのまま回れ、もうちょっとだ。〕

玄武「入るッ」ドクン

火浦〔入れ〕

隊長が絶好のタイミングでジャックを目の前まで誘導した。俺は胸が高鳴るのを覚えた。
もう少しで撃墜できる…

玄武「ッ…」ブルッ

そういえばカナデ(音無2尉)が見当たらんぞ…どこや…?まさか…

突如として急な悪寒に襲われる。
狙われている?まるで蛇に睨まれたカエルの如く身がすくんだ…その時、後席の葉留佳が叫んだ

葉留佳〔敵襲ッvector180 真後ろに居ますッ〕

玄武「マジッ!?」

ピュロロロロロロロロロッ

ロックオンされた事を知らせる、後方警戒装置の警報音が鳴る。

結弦〔ピクシー kill〕
(ピクシーを撃墜)

俺が撃墜されたのは訓練開始から26分後だ…
悔しい気持ちでいっぱいだった。

火浦〔訓練終了、帰投する。〕

全員〔了解〕



基地に帰る帰路、俺は1人無言だった。
「ニ兎追うものは一兎も得ず」とはよく言ったものだ…欲張りすぎたか? 反省と自問自答…




         続く…














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