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音速のドラ猫03




〜訓練空域〜

理樹「Trello request TGT position」
〔トレロ、TGTの位置を知らせ〕

トレロ〔Altair06 TGT01 vector 060 range120 Mach0.8〕
(敵は方位060 距離120mi マッハ0.8 で接近中)

豊〔理樹、敵さんはそろそろこちらに気づく頃だ、注意しろよ〕

理樹「うん。豊、敵のミサイルに気をつけて。脅威度の高い目標から選定を頼むよ。」

豊〔おう、任せとけ〕

今日は他部隊と合同訓練を行なっている。
今回参加している部隊は千歳基地所属の
第203飛行隊 通称〔 teddy bears 〕だ。
部隊のエンブレムはテディベアで可愛らしい…
だけど、さすがは北海道一帯と北方領土の防空を担っている部隊だ…強い。

樹〔Altairリーダーから各機、敵をレーダで補足後は打ち合わせ通り二手に分かれろ。ピクシーは俺に、カナデはリトルを連れてってや。〕

玄武〔了解、先輩〕

結弦〔了解 リトルしっかり付いて来いよッ!〕

理樹「はい!」


僕達は現在、デルタ体形で飛行している。先頭を飛んでいるのはミーシャこと熊岡3佐だ。
その隣にカナデ、ピクシー そして僕は右翼端を任されている。

葉留佳〔玄武君、レンジの範囲を広げますカ?〕

玄武〔そうやな。その分、敵に見つかりやすくなるが…しゃあない。頼む〕

葉留佳〔了解♪ ポチッと〕ピッ

F-14DJトムキャットはAN/APG-71を改良した
AN/APG-72J レーダを搭載しており探知能力は従来の207kmから300kmまで伸ばす事に成功
追跡可能な機数も24機から32機に増えた。

葉留佳〔レーダー探知 125km先 機数は4ですネ〜 脅威目標αを設定っと〕

玄武「ふむ…向こうも同じデルタ体形か…葉留佳はコイツらがどう動くと思う?」

葉留佳〔私の勘では、同じように2機のエレメントで離散するかもしくは離散したと見せかけて4対2の挟み撃ち作戦で来るかのどちらかと思いますヨ〕

さすが 葉留佳 114飛行隊内でトップを争うRIO〔迎撃士官〕だ。彼女の勘と冷静な状況分析のおかげで俺は空戦では負け知らずのスペシャル様なんだよッ真人が旦那じゃなきゃ寝取ってるのに…

玄武「クソッ…」

俺は悪態をついた。

葉留佳〔どったの?また、エッチな事考えてましたカ〜?〕

玄武「んな訳あるか…」
 (当たってるけど…)

数分後…

祐介〔レーダー探知ッ 機数4 距離30mi〕

樹〔作戦は先程指示した通りだ ブレイクッ〕

全員〔了解ッ〕

こうして、僕達の闘いが始まった。

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〜114飛行隊 隊舎〜

コンコン

柊甫「副隊長 入りますッ」

隊長「お、来たか。安村3佐 報告書は読ませてもらったよ。俺の留守中に代理 助かったよ。」

柊甫「いえ、私は私の職務を全うしたまでです。褒められるような事では…」

隊長「そう謙遜するな。現にこの隊は君がいないと成り立たないよ。」

柊甫「ありがとうございます。」

114飛行隊の隊長である…

火浦 透 2等空佐 TACネーム〔ドラゴン〕

元306飛行隊副隊長で飛行教導隊にも在籍していたことがある凄腕のパイロットだ。
隊員1人1人を家族のように接する…
優しき隊長だ。
部隊のモットーは「やる時はやる」

火浦「ま、世間話はここまでにして。来月行われる戦技会についてだが…」

柊甫「いよいよですね。今年はどの隊も粒揃いと聞きますが…メンバーは?」

火浦「暫定的に決まっているのは…彼らだ」

そう言うと隊長は1枚の紙を見せてきた。
そこには…

柊甫「ん?」

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1番機 ドラゴン & レイ組

2番機 ジャック &バロン 組

3番機 ミーシャ &エルモ 組

4番機 ソード&シャロン 組

5番機 カナデ& フゥ 組

6番機 未定

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柊甫「6番機は未定…?」

火浦「あぁ、俺の中で候補は決まってるんだが、2人とも甲乙付け難いんだよな…」

柊甫「直枝と松原の2人ですか?」

火浦「うん。成績表を見たけどルーキー組の中じゃこの2人が群を抜いてる。」

柊甫「そうですね。2人とも成績は申し分ありません。日々の素行や態度も悪くないですし」

火浦「そ、だから余計に選択が難しい」

柊甫「と、なると…格闘戦ですか?」

火浦「それが1番手っ取り早いな。また、後日全員を集めて説明はするけど、彼らのバトルの日程は君が調整してくれ。」

柊甫「分かりました。 失礼します。」

火浦「おう、頼むよ。」

柊甫「了解」ガチャ

直枝か松原か…確かにどちらも甲乙付け難い。

???「副隊長」

振り返ると、1人の女性が立っていた。

柊甫「ゆりか。どうした?」

ゆり「訓練報告書です 確認をお願いします。」

柊甫「お、出来たか。」

ゆり「隊長と何を話してたんですか?」

柊甫「あぁ、来月の戦技会についてね。詳しいことは午後のブリーフィングで話すよ。」

ゆり「そうですか。」

彼女…仲村ゆり 2等空尉  TACネーム(レイ)
音無、日向と同期で空自初の女性F-14乗りで隊長のRIO担当だ。
彼女の他に114飛行隊には…

北条 沙都子3等空尉  TACネーム(シャロン)
ショートボブで特徴的な喋り方の女性だ。
お嬢様学校出身らしい。岡崎のRIOを務める

井ノ原 葉留佳 3等空尉  TACネーム(シェリー)
我が隊3人目の女性パイロットだ。
特徴的なツインテールでテンションが高い。
松原のRIOを務めている。

伊吹 風子 3等空尉  TACネーム(フゥ)
井ノ原達と同期で一人称が「風子」だ。
小動物のように警戒心が強い。

柊甫「ま、困った事があればいつでも相談しに来なさい。力になるから」

ゆり「はい、ありがとうございます。」

そう言い残すと彼女は去っていった。

柊甫「ふぅ…どうしたものかね」

今頃、彼らは203飛行隊と訓練してる頃だろうな。ええ感じに洗礼を受けてるだろうな。

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ー 訓練空域 ー

状況はこうだ、2機のうちの1機を3佐が撃墜(判定)を下し戦線を離脱させた。
しかし…

葉留佳〔ミーシャ、追われていますッ〕

玄武「マズイな…」

レーダ画面を確認すると熊岡3佐を1機のF-15が追跡している。俺は3300ft(1000m)上からその様子を見ていた。無線からは…

樹〔エルモ、敵はどの位置に居る!?〕

祐介〔後方に1機張り付いてますッ〕

樹〔チッ…ピクシーに追っ払って貰いたいけど奴にゃちょいやってもらいたい事があるんよ〕

祐介〔ん?やってもらいたい事…?あぁ、なるほどそう言う事ですか。〕

高崎1尉は何かを察したようだが…3佐は俺に何をさせるつもりなんだ?
数秒間考えた…

〔ピクシー…ピクシー!おい、玄武ッ!〕

俺が我に帰ったのは3佐からの呼びかけがあってからだ…

玄武「は、はいッ」

樹〔いま、お前が居てる位置から俺らのポジションが見渡せるか?〕

玄武「はい!見えますッ ミーシャの後方に1匹引っ付いたままです!」

樹〔コイツを追っ払ってくれ!俺はお前さんの指示に従って動く。〕

玄武「分かりました!シェリー」

葉留佳〔はいヨ〜〕

玄武「3佐と敵機はどれくらい離れている?」

葉留佳〔距離にして約500mですネ〕

玄武「この距離まで近づくって事は…ミサイルでの撃墜はやめたらしいな。どうやらお遊びらしいな撃つ気がないみたいだ。」

葉留佳〔そのようだネ…どうします?〕

玄武「よし決めた。ミーシャ hard Right turn 3second later」
(ミーシャ、3秒後に右へ急旋回してください)

樹〔roger〕

3秒後…

玄武「hard Right turn Now!」
(右へ急旋回 今ッ!)

樹〔Now〕

3佐の機体が右へ急旋回する。その瞬間…敵の機動が乱れた。

玄武「よしッ 今だ!」

俺は横滑りの要領で、敵機に接近した。
しかし 敵もそう簡単に後ろを取らせてはくれない…こうなったら

葉留佳〔ま、マジですカ〜ッ!?〕

後方で葉留佳が絶叫しているのがわかった。
なぜなら…俺の機体は背面飛行をしており
敵機の真上に居るからだ。


玄武「こんちわ〜w」ビッ

葉留佳〔今までに経験のない飛行ですネw〕

キャノピーとキャノピーの感覚は約3mぐらいだろうか?手を伸ばせば届きそうだ。
ついでに、記念に指を立てておいた。

ヒュィィィィィン

葉留佳〔敵機が去っていきます。〕

玄武「ピクシーよりミーシャへ敵は追っ払いました。」

樹〔お見事ッさすが、玄武w〕

祐介〔お前、バックトゥバックなんて高等技術どこで覚えたんだよ。〕

玄武「内緒ですw」

盛り上がって居る所にカナデ(音無2尉)から無線が入る。

結弦〔Altair04よりリーダへ〕

樹〔Altairリーダだ。結弦、そっちはどうやってん?〕

結弦〔俺が囮になり理樹に撃墜させました。〕

樹〔上出来♪ Altair各機基地に帰投するで〕

全員〔了解ッ〕

こうして203飛行隊との合同訓練は終了した。
後から、不祥事(指を立てた)事についてクレームの電話があったが結果が結果なので無いこととなった。



         続く…



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