《現代詩》龍の鱗

おれは見たんだ
雷鳴が鳴り響く空の彼方
こちらを向いて
おれの顔をギロリと睨んだのさ

いくつもの逆光を背に負い
蠢くように宙に舞う
あの夏の日を思い出す
若き衝動

この感情は
誰も止められない
正論かざしたって
それがなんになる
曲がりくねった長い道の上
ただ走るだけ


おれは知っている
嵐の中どす黒い雲の切れ間
ほんの一瞬
極彩色に輝く龍の鱗

いつの日か忘れ去っていた
純粋なままのあの気持ち
儚く刹那に消えゆく
虹の行方

この感情は
正しいのかなんて
間違いなのかなんて
わかるわけないさ
険しく尖った高い壁の上
ただ登るだけ


曲がりくねった長い道の上
ただ走るだけ







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