言葉の魔力、またはスレッズ雑感
Xでは魑魅魍魎が跋扈し、情報が欲しいのに情報に辿り着かないという如何ともしがたい状況に加え、一方では見たくない情報が目に付くという、我々は何の為にXをやってるのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか、ゴーギャンの作品タイトルに思いを馳せる日々である。
「もっと平和な地へ」と冒険を試みた結果、すぐさま次なる大陸を発見した。
スレッズである。
なんかそんなのもあった。
取り敢えず登録してみた。
文字。ほとんど文字の集合体がそこにはあった。
おや、これは楽しいかもしれない。
しかも、読書好きが多い!
思いがけない誤算に大変喜んだ私である。
知り合いに見られていない、且つ、一言スパッと辛いコメントが得意な私は、すぐさま投稿してみた。
するとですよ。
すんごいんだわ、いいねが。
致死量の関西弁ならぬ致死量のいいねに見舞われた。いいねが矢で私が武士なら0.01秒で敢えなく絶命、このように今頃呑気にアイスティーをすすりながらnoteをしゃらしゃら綴ることもなかったであろう。
この世で皆さんにお会い出来て本当に嬉しい。相変わらず文字だけですが。
後から知ったが、この事象は割と誰にでも起こるらしい。
ウォーホルの「将来的に誰でも、5分間だけ世界で有名になる日が来る」という名言が現実に迫った瞬間である。
あっという間にフォロワーが増えた。
このことは後で書くが、恋愛についての投稿は物凄く反響があった。
すると、また不思議なことが起こった。
「いい女」、「カッコいい女」等と言われ出したのである。
しかも、男女ともに。
恋愛指南書が出せそうな気がした。
熱狂的な男性ファンが数人ついた。
ハッキリ言う。
彼等は私にメロメロだった。
「〇〇ということは、私のこと好きなんですね?」と問うたら、「そうです」と思わず言質を取るかたちになってしまった。
私は顔をご披露していない。
無論、プロフィールも。
なのに、こんなにも好かれるものかと正直、愕然とした。
「凄まじい」としか言いようが無かった。
「君みたいな人はなかなかお目にかかれない」とのことだった。
確かに、個性的過ぎる故「日本人っぽくない」とよく言われる。
だから生きづらいんですが。
ところで、私がモテる理由に「決断が早い」というのがある。
買い物は特に早い。ほとんど電光石火の勢いで高い物でも平気で買う。そしてその決断力がまたカッコいいと言われる。以下、ループ。
存分にチヤホヤされたこともあり、一週間経った頃、「飽きたな」と思うようになった。
そうして「スレッズ止めるかも」と投稿した翌日、本当に削除してしまった。
ファンの男性に「お願い黙って止めないで。止める時は僕に伝えて」と懇願されて萎えた。文末に貼り付いていた土下座マークが尚更、情けなかった。
何で知り合いでもないお前に筋通さなあかんねん。
SNSなんてものは無言で去るに越したことは無い。
ただ、この人をフォローする訳ではないが、止めた理由としてもう一つ、「時間の垂れ流し」がある。
文字だけという簡素な作りが災いし、延々と際限なく読めるのである。
更に悪いのが、素人の文章という点。
大半が恋愛の愚痴でうんざりする。
且つ、私の投稿に対して反論的なコメントが来ると急戦になり、下手すると数人と絶え間なく議論することになる。お前は中飛車か。
(議論というなんかイイ感じの表現にしてるが、つまるところ言い争いである)
なお、そんな有象無象の中にもキラリと光る砂金があったのは付け加えておきたい。
柔らかでなんと美しい日本語を綴るのだろうかと感動した方がひとりだけいらした。
男性であった。
思わずインスタでご尊顔を拝見してしまった。
むっさイケメンだった。
世に蔓延るイケメンで高身長しかウリがない青年たち、こういう人には容易く負けると心得よ。
この人とはお互いの素性を知らぬまま、ただずっと言葉だけでやりとりしていたかったので、とにかく身を切られる思いだった。
気づかぬうちに、私もまた、言葉だけで惚れてしまっていたのである。
え?そうは言っても、このnoteも所詮、素人の文章でしょ、って?
グウの音も出ませんな。
時間を台無しにしてくれて、どうもありがとう。
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