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朝靄に溶ける ガチ考察

この曲を紐解くと出てくるキーワードは
「白昼夢」 「朝靄」「冬枯れ」「3月」「オリオン」 「太陽」 「雨」「雪溶け」 「白息」「2月」

まず曲名の「朝靄」とは何か?
靄(もや)」とは霧(きり)」と似ているものだ。
「霧」=地面や海面に接した気層中で水蒸気が凝結し、無数の微小な水滴となって大気中に浮遊し、煙のように見えるもの。
気象観測上では、水平視程が1km未満の場合が「霧」
1km以上は「靄」である。

要するに、遠くまで見通せないくらい濃いものが「霧」であり、見通しのいいものが「靄」である。


それでは、歌詞を解説していきます。
歌詞

空っぽのワンルーム
もう行かなくちゃ
大きめのマフラーが
後ろ髪を引くんだ

・後ろ髪を引く=未練が残って前に進むことができない
→彼女が家から出て行って1人取り残されたワンルーム。茫然と立ち尽くし、未練が残って前に進むことができない。

手作りのカーテンと
ぶら下がったライト
寝具で精一杯の
あの部屋で僕ら
何度も何度も笑い合って涙して
身勝手な言葉で君を傷つけた

→部屋にあったものを思い出して、君との日々を回想している。

君の匂いで目が覚めて
夢現にそっとキスをして
寝ぼけ眼微笑むのを
横目に見てたんだ

・夢現=夢か現実か区別がつかない状態
・寝ぼけ眼=寝て起きてすぐのぼんやりとした目つき
→白昼夢?
・白昼夢=日中、目を覚ましたままで空想や想像を夢のように映像として見ていること。また、そのような非現実的な幻想にふけること

なんでもないような毎日が
苦しくなるほど愛しくて
朝靄に溶ける東京に
重ねてる冬枯れの日

・冬枯れ=雪で草木が枯れて寂しい景色
・冬枯れの日=2月
・東京=今の家から見える都会の景色

→2月、冬枯れの日、雪で草木が枯れている中、君が家から出て去っていく情景と朝靄がかかった東京の景色が似て見える、重ねてる。

朝靄に溶ける東京

冬枯れの日

2番の歌詞

ドア開けば香る
フリージアとウッド

・フリージア=3月の花
→冬枯れ、2月の1カ月後
→「君」は「僕」と対照的で少し進んでいる
→私はあなたよりも気持ちの整理はできているけど、まだ部屋を開けると当時の甘酸っぱい記憶が甦る。

胸が詰まるのは
ここで息をしていたから
埃が積もっている
おもちゃの花々
永遠と思っていたわ
それなら同じね

・おもちゃの花々=ドライフラワーなど、枯れない花
→永遠に咲いてる花
→私もあなたと同じように永遠に続くと思っていた。

ずっとずっとそばにいたくて思いは余って
未完成でもいいよね なんて甘えてた

・思いは余る=どうしようもなくなる、悩みが絶えなくなる
→不安定だった
→未完成でもいいよね なんて甘えてた

君の主成分は愛だ
1ミリも手放せなくて泣いた
不細工な日も綺麗な日も
世界一だったんだ

→君は愛でできている人だ。愛とは全てを超越するもの。だから不細工でも綺麗でも関係ない。絶対的に世界一。1ミリも手放せる理由がなくて泣いた。

二人でよく見た南の空に
いつも通りみたいに光ってる
オリオンに想いを託し
ここを去ろう
さぁ行くよ

オリオン〖Ōrīōn〗は、ギリシャ神話に登場する巨人で美男の狩人。恋に関する神話が多く残されている。リスナーやファンの皆さんの「冬」に寄り添い、別れや分岐が多くなる「冬の終わり」に向かった楽曲。(神サイHPより引用)

・星=遥か昔に消えてなくなっているのに、その光が遅れて空に輝いて見えるもの
→姿形なくなっても残り続ける
→「illumination」では自分たちの音楽がそうなってほしいと歌った
→「朝靄に溶ける」では、二人の記憶、想いをオリオンに託しても残り続けると願い、さぁ行くよと別れを告げている。

まだ眠っていたいのに君が
無理やりに僕の手を引くから
僕が月なら君は太陽みたいで

→ここから柳田1人で歌っている。「僕」の心情。まだ眠っていたいのに、僕はずっと引きずっていたいのに君がさあ行くよと手を引く。
→まだ君の事を忘れたくはないのに、君は僕が過去を引きずらないように前を向かせようとするんだ。だから僕は月だけど、君は前向きで明るい太陽みたいだ。
あとで解説しますが、この曲において「太陽」には意味が込められている。

粉雪混じりの雨に紛れ
二人の記憶はやがて町へ
溶けだしていく
遠くなってく

→粉雪は雨に紛れ、やがて二人の記憶は町へ溶け出していく、遠くなってゆく
→二人の記憶は町に、日々に溶け込んでいき、だんだんと薄れてゆく

君の匂いで目が覚めて
夢現にそっとキスをして
寝ぼけ眼微笑むのを
横目に見てたんだ

→ここから柳田が1人で歌ってる。僕が白昼夢を見ているから。さっき薄れてた記憶をまた白昼夢を見ることで取り戻していってる気がする。

なんでもないような毎日が
苦しくなるほど愛しくて

→ここからまた2人で歌い出す。もう一回君との記憶を思い出したら、やはり君が愛しいと再認識した気がする。

白息に溶けてく君を眺めてる
それじゃ、またね

→君が家から出て行き、雪で寒い中、白息を吐きながら去っていく。だんだん君の姿と白息が同化して見えなくなっていく情景をひとりぼんやり眺めてる。
→君が去る情景を思い出して、前半は未練が残っていたが、ここでは「それじゃ、またね」と別れを告げることができている。
なぜか?

ここで雪、太陽、雨、朝靄の関係性を考えてみる。
→「雪」は「太陽」によって溶けると「雨」になる。「雨」は町に落ちていく。
その地表の液体は急激に冷やされ、時間が経つと水蒸気、「朝靄」に変わって空気中を漂う。

・雪=二人の記憶
・太陽=君
の比喩
・二人の記憶はやがて町へ 溶け出していく
遠くなっていく

これらを踏まえると

「二人の記憶」は「君」によって溶けて、町に流れ出していく。だんだんと薄れてゆくけど、時間が経つと「朝靄」になって空気中を漂い続ける。

→形が変わっても二人の記憶は残り続ける
→だから僕は最後に「それじゃ、またね」と別れを告げることができた。

(朝靄に溶ける
曲の紹介文章より引用)
「朝靄に溶ける」は、神サイ単独楽曲の全作詞、作曲を担当する柳田からの強い希望で、asmiへのコラボレーションを打診。快諾された後、asmiと歌うことをイメージしてーからデモ制作をスタートさせた。物語はふたりの男女に別れが訪れるようなシーンから始まり、最後には、もういつ会えるかも分からない中、まるで明日にでも会えるような言葉を交わす。楽しかったこと、楽しくなかったこと、何の変哲もなかったこと。日々の記憶を探りながら、別れても一緒にいた日々の意味は残り続ける。そんな男女の目線それぞれの角度から描かれたコラボレーションならではの楽曲となっている。

→「別れても一緒にいた日々の意味は残り続ける」
→形が変わっても二人の記憶は残り続ける
→答え合わせ完了

さらに、
雪→雨→朝靄
→固体から液体になる
→ここからプラトニック・ラブのMVのメッセージを連想できる
→黒い塊、氷がだんだんと溶けていくMV


→自分の「後悔」は時間が経っても、形が変わって残り続ける というメッセージ

→「朝靄に溶ける」では雪から朝靄に形を変えても君との「愛しい記憶」は残り続ける
→君との記憶の解釈が「後悔」から「愛しいもの」になっている。
→過去の肯定ができるように成長している。

追記
他の曲との関連性について
新しい繋がりに気がつきました。

「朝靄に溶ける」の歌詞にでてくる「冬枯れ」
→雪で草木が枯れていて寂しい景色

これ「徒夢の中で」のジャケットとも同じだと気がつきました。

ついでにこのジャケットの意味も考察してみましょう。

・枯れた草木が人の形をしていて空を見上げている
・頭の部分だけ花が咲いている
・空は夕方みたい
・歌詞にある
「どこか遠くでじっと春を待ち侘びて」

・「命の煌めきに匙を投げるには少し早いと憂うあなたの声」

・「あなたがそこで僕を見守りながら今日も
生き抜いてよと流す涙が雨となり花を咲かす」

・「夢の中ならそばに感じられる戻れないのに」

・「色鮮やかに咲いた花も」
いずれは散りゆくと知りながら
また種を蒔いて芽吹く時を待つの」

これらを踏まえてこう解釈しました。

「命の煌めきに匙を投げたくなる時に限って、あなたとの記憶、冬枯れの日の夢を見る。そこでは、あなたが僕にまだ生き抜いてほしいと涙を流してくれる。その涙は僕にとってまるで雨みたいだ。僕の乾いた心、枯れた草木である体に花を咲かす。だから、夕方の空を見上げながら夜にあなたと夢の中で会えることを待ち侘びている。」

柳田周作 セルフライナーノーツ

「時折夢を見る
あなたは僕に優しく微笑みながら手を握ってくれて
それから少しずつ見えなくなるまで遠ざかっていく
行かないでとあなたの名前を呼ぼうとしても
名前が思い出せない
きっとこの世界の何よりも誰よりも大切な人なはずなのに
握ってくれた手の温もりだけを残してその人は姿を消した
必ずそこで目が覚める悪い夢を僕は徒夢と名付け
そしてまたあなたの優しさに触れる為に
あなたに会いにいく為に音に残した」


最後に
柳田周作は「とける」という言葉に今までいろんな意味を込めてきたことに気がついた。
「とける」には3種類の漢字がある。

・「溶ける」
「溶」は熟語として「溶液・水溶」のように用いられ、「固体が液体になることや、液体に他の物質がまざって同化すること」を表します。「同化する」という意味は、もっと広い場合にも使われるようになり、比喩的に「新しい職場に溶け込む」「子供たちの中に溶け込む」などといった言い方にも使われます。

・「融ける」
熟語で「融化・融雪」と用いられるように、「固体が液化した状態で、消える」という意です。「日光で雪が融ける」「グラスの氷が融ける」などと用いられます。

・「解ける」
「解」は、「結ばれていたり、固まっていたり、不明だったりしたものが、ゆるめほぐれた状態になる」という意です。
....比喩的に「疑いが解ける」「誤解が解ける
....「通行禁止が解ける」「謹慎処分が解ける」…束縛などが除かれる
....「答が解ける」「問題が解ける」


これらを当てはめてみよう。

・「朝靄に溶ける」
→溶けるは「同化する」という意味もある。
→「朝靄と2人の記憶が同化する」

(神サイHPより引用
「朝靄に溶ける」柳田周作のコメント)
◎コメント
<柳田周作>
透明なガラスの中で甘酸っぱさがゆらゆら揺れ
ているような、唯一無二の、彼女にしかない天性の声に一耳惚れをしてしまいました。そんなasmiさんと共に詞を書き、歌に命を吹き込んでいく時間は最高の経験になりました。それぞれの記憶を辿りながら、それぞれの過去と対峙する。この楽曲が、多くの人の心に溶けていく様を楽しみにしています。

→「この楽曲が多くの人の心に溶けていく様」
→多くの人の心と「同化」していく様


・「白に融ける」(インディーズ時代のアルバムsubimの曲)
→融けるは「消える」の意味もある。
・歌詞の最後に
「君とならまたやり直せるって思ってたこの常世総て未来ごと消し去って」
とある。
→白に消える
→「白紙にする」って意味かも。


・「雪融けを願う飛行船」
これは2023年のZeppツアーのタイトルだ。この「とける」には3つの意味を込めていると思った。

→「雪融け」の場合
→雪が「消える」

「雪溶け」の場合
→雪と「同化する」
→雪は「神サイの曲」の比喩

「雪解け」の場合
→雪が「ほぐれてゆく」
→雪は「コロナによる声出しできない問題」の比喩
→コロナがだんだん緩和されて、声出しできない問題がほぐれてゆくこと。

そして、雪が融ける時期、2月にあるのは
ツアーファイナル「Zepp Haneda」
→Zeppの由来=飛行船

これらを踏まえて
こんなメッセージだと僕は解釈しました。

「雪が融けていき、声出しできない問題がだんだんほぐれてゆく2月Zepp Hanedaツアーファイナル。神サイの曲がたくさんの人の心に溶け、同化していき、みんなの声でファンと神サイが一つになる情景を夢見ている。」

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