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宝物のような思い出・中学校での音楽〜35歳でピアノを始めたきっかけ⑤

幼稚園の年長組で「ピアノ」という楽器の魅力に取り憑かれてから早7年。
中学生になる頃には、自分が何だかグッと来るものがある曲なら、ピアノのみならず当時流行していた歌謡曲からアニメの主題歌・テレビやラジオのCMで流れるちょっとした曲にまでアンテナをはり、脳内で何度も何度も再生しては、うぅん!いいっ!!と、「何か」を感じる事が趣味のような、ある意味変な子??な私でした。

そして春、待ちに待った中学入学!
なぜ待ちに待っていたか?色々楽しみな事はたくさんあったのですが、そのうちの一つ、教科ごとに先生が変わる!という事が私にはとても新鮮で、それって一体どんな感じなんだろう?早くそんな授業を体験してみたい!!といつも思っていました。特に音楽❣️

小学校では素晴らしい合唱曲を体験出来たものの、曲のレベルが少し高いからなのか実はピアノ伴奏者がなかなか決まらず先生方は苦労していました。
結局5年次は教師が2人ペアで伴奏…1人が右手パート、もう1人が左手パート弾く、という具合です。
6年次はピアノを弾ける子が同じく2人組で伴奏、挙げ句の果ては卒業式で合唱した「巣立ちの歌」は当日イレギュラーが発生し、ほぼ右手のみの伴奏で他学年の先生が臨時で弾くという事態。今でも鮮明に覚えています。
全く弾けなかった私が言うのもなんですが、ピアノ伴奏でモチベーションを上げていた私にとっては、なかなかのモヤモヤした出来事でした…

そんな事もあり、中学校では各教科ごとにちゃんとした専門の先生がいるんだよね?じゃあ「音楽」だけの先生ももちろんいるはずだから…
と、密かに何かを期待していたのです!


入学式の翌日に学年オリエンテーションが行われ、各教科担当先生が1人ずつ自己紹介をする時間が来ました。
音楽科は後に大好きになるC先生!30代前半の、可愛らしくて明るくハキハキしたお姉さんという第一印象でした。

C先生の自己紹介で今でも忘れられないのが、「S小学校(←私の出身小学校です)から来た皆さん!S小の先生方から、音楽の歌の授業に関しては自信を持って送り出しますので期待してて下さいと言われてるから、授業で楽しみにしてますよ〜!!」という言葉です。
そう、前回投稿した5.6年次の合唱についてを、小学校の先生方から聞いてますよ、という意味なんですよね!
今思えばきっとC先生は、噂に聞いた合唱とはどの程度なのかしら?楽しみね〜!みたいな気持ちだったんでしょうね…(′ᴗ‵)
そんな先生の言葉に、あぁ!やっぱり中学校の先生って、さすが教科担任制だけあって何かが違うよなぁと、ますますワクワクしたものです!!

数日後、いよいよ中学音楽の初授業です!
教室で待機しているとC先生が入って来て、今後音楽の授業は基本的に音楽室でやるから始業前には移動しておくようにとの説明があり、初めて中学校の音楽室へ入りました。

五線譜が書いてある黒板に、YAMAHAのグランドピアノ。一段高くなっている生徒側の席はオルガンと、特に変わり映えのしない普通の音楽室…
それでも私はグランドピアノを前にワクワクしながら、C先生のさらに詳しい自己紹介を興味津々に聞いていました。
「最初のうちは教科書の内容と並行して、まずはこの中学校の校歌を少しずつ覚えましょう!私が一度通して歌ってみますから、聴いててね〜」
ということで、いよいよ黒いグランドピアノの音色が聴ける時が!
明るいノリの、若干変わった母校の校歌…覚えている限りでは、大好きな変ニ長調?だったはず!
そして!!某有名音大・声楽科出身のC先生の華麗なピアノとすごい声量!!!

♪♪*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*♪♪

「うそ!!すごい…1人でピアノ弾きながら、しかもオペラ歌手みたいに歌ってる!!!」

そりゃそうですよね…音楽科の教諭ですもの、当たり前です。
しかし中学生になったばかりの、まだまだ世の中を知らない私にはものすごい衝撃というか、その瞬間はまさに感動の嵐でした!!

その後はわずか週2コマしかない音楽の授業が、毎回本当に楽しみで仕方ありませんでした。
そして一番の思い出…

私は小学校でのあの合唱「利根川」の伴奏を、どうしてもこのC先生に弾いてみてもらいたくて、無くしてしまったあの時の楽譜を友達に持って来てもらい、授業の終わりに数人で「ねーねー先生!この曲弾いてみて!!」と、グランドピアノにカバーをかけようとしていたC先生に駆け寄りました。
先生は「え〜何?私ヘタだから弾けないよぉ」と言いながらも楽譜を手に取り、ピアノの前に座り数秒ほど楽譜をながめていました。
ニコニコしていた先生の表情がパッと変わり、あの合唱「利根川」の私が好きだった部分がらきらびやかに再現されたのです!! 

前回も紹介した、合唱「利根川」の一番盛り上がる部分!
ここから最後までを一気にC先生に弾いてもらいました。


「わぁ!懐かしい!!利根川じゃない??」
「すげ〜!!」

S小学校出身組はすぐに分かるあの懐かしいメロディが音楽室中に響きわたり、いつの間にかグランドピアノの周りにはたくさんの人が集まっていました。
弾き終わるとC先生は、「S小でやった合唱ってこの曲だったの?いい曲だね〜!」と、とてもニッコリと優しい表情で友達に楽譜を返していました。

今でもあの時の先生の笑顔を思い出すたびに、私はとても幸せな気持ちになります…
そして、何と素晴らしい初見演奏だったのだろう!と…
この出来事は、私にとって一生の宝物です!!

先生、すごいねー!!とあちこちから聞こえて来る声に、「全然すごくないよー、難しかったぁ!」と、少しホッとした表情で笑うC先生…
本当に気さくなサッパリした性格で、毎年クラス担任発表の際は、「○組、担任、C先生!」と発表されると、特に女子達からはキャーー!!!やったぁ!!!と拍手喝采が凄かったくらいの人気でした。
結局私は一度もC先生担任のクラスにはなれませんでしたが、その後高校・大学・社会人になってもほんの少し縁があった、今でも憧れの女性です!

そして、毎年秋に行われるクラス対抗合唱コンクールも、もちろん大好きだった行事の一つでした。
伴奏者・指揮者・曲決め…
伴奏者や指揮者はともかく、曲決めです!
毎年5.6曲ほどの自由曲が用意されており、全てをC先生が弾きながら歌ってくれます。

3年間の内で一番記憶に残る合唱コンは、「気球に乗ってどこまでも」を歌い、我がクラスが3位入賞した1年次!
手拍子のところがなかなか揃わず、表情も堅い!と注意されながら放課後に何度も何度も練習し、最後は感動の出来でしたが、「おおシャンゼリゼ」の合唱が被った他の2クラスの争いでの盛り上がりには及ばず…結果は3位でした。
しかし、男女ともとても仲が良くまとまりのあった素晴らしいクラスだったので、それでも喜びは大きく全員大満足の結果でした。

因みにこの気球に乗ってどこまでもは、合唱コン伴奏者など当時まず有り得なかった私が、あれから35年経った現在、何とか通して弾ける伴奏曲集の一つです。

何歳になってからでもいい!
いつか、私も合唱の伴奏をしてみたい!!

そんな思いもまた、大人になってからピアノを始める大きな原動力の一つになってくれました。

35歳からピアノを始めた、そのきっかけについての全5話シリーズは以上になります。

中学を卒業してからは、受験や就職の荒波に揉まれ、また多感な青春時代の誘惑も周囲にはたくさん…
ピアノやクラシック音楽とはちょうど20年離れます。

しかしながら私の心のどこかで、ピアノやクラシック音楽は静かに小さな炎を燃やし続けていました!

次回からは本格的に習い事としてピアノを始める事を決心した、30代前半からを綴って行きたいと思います。

今回も最後まで読んで下さり、ありがとうございましたm(_ _)m