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自分の使命だと信じて疑わない、それが主人公〜ハムレット(彩の国さいたま芸術劇場2024)

彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.1
『ハムレット』
彩の国さいたま芸術劇場2024年5月7日〜5月26日

観劇から随分経ってしまいましたが。
いや〜〜〜、最高でございやした。
ハムレット面白すぎる!!!

To be, or not to be,
that is the question.
が、あまりにも有名なこの戯曲。

父を亡くした悲しみ、
叔父と再婚した母への憎悪、
そして父を殺した叔父への復讐心。
それらに正しい裁きを与え、
在るべく状態にするのは自分だと信じて疑わなかったハムレット。

自分の私利私欲のためではなく、
世の中の道理や倫理を追い求め、死んでいくハムレット。

シェイクスピアの特徴として、
芝居に自覚的であるというか、
芝居の中で芝居をする、
ハムレットも初めは狂気を演じるんだけど、
そことの境が曖昧になるというのが面白い。

ハムレットはジャンプ系主人公のイメージなんだけど、その点でやはり演じられる人が限られると思っていて、
そこを主演の柿澤勇人がうま〜く演じていた。
あの熱意と狂気を浮かずに演じていて、素晴らしかった。

レアティーズの渡部豪太も良かった
常日頃「舞台は骨格!」と思っているんだけど、骨格が優勝していた。

演出もとても良くて、特に芝居のシーン。
エキゾチックでよかった。

やっぱり私はシェイクスピア劇の人の死に方が好きで、
まあ伝言ゲームの失敗が大体の死因でまじかよ???なんだけれども、
そんなことは全く気にならず、むしろまじおもしれぇなぁと見られるくらいに仕上がっていて、
それは歴代の日本語翻訳家が素晴らしい言葉を並べてくれたお陰でもあると思うんだけど、
吉田鋼太郎が決闘と盃の話をし始めた瞬間、きたーーーーー!!!とテンション上がるくらいには最高なのである。

新国立劇場のシェイクスピアは色数抑えめでその分とにかく言葉、ウィットな感じかつ笑いの畳み掛け方が好きなんだけど、
さいたま芸術劇場のシェイクスピアシリーズは相変わらず花の使い方がとても上手くて、
オフィーリアがちぎり散らかしたミモザ、
そのミモザが最後、ハムレットの亡骸を囲むようにボツボツと降ってきて、あれは天からの弔いだったし、演者への賛辞だった。

いや〜〜〜最高でございやした、ハムレット。
熱いって素晴らしい。

ちなみに私は「このままでいいのか、いけないのか」派です。
だってハムレットは誰かを殺したかったのでは無い、ただ在るべき姿にしたかっただけなのだから。

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