悪役令嬢の王道(?)『はめフラ』

 木曜は、私のライトノベル愛を語ります。令和5年の最後を飾る(?)のは、異世界転生物と並んで私の好きな悪役令嬢物です。
 今回紹介するのは、山口悟先生の『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』です。ライトノベルにありがちな恐ろしく長い題名なので、普通は『はめフラ』と省略されて呼ばれる事が多いようです。
 内容については題名に書いてある通りで、異世界の悪役令嬢カタリナ・クラエスに転生してしまった主人公は、破滅フラグをへし折るため努力をし、その結果、周囲の人々を幸せにして愛されるようになる…というものです。ライトノベルとしては、「悪役令嬢物」で「転生物」というジャンルに入るでしょうか。
 この作品の面白さは、カタリナが思い込みが激しくて鈍感であるため、努力の方向性が少々(かなり?)ずれているところにあります。それにも関わらず、最終的にはハッピーエンドになるのですから、かなり御都合主義と言って良いでしょう。でも、この作品は、そこが面白いのです。
 先程、カタリナを「思い込みが激しくて鈍感」と書きました。これだけだと、あまり魅力の無い人物となりますが、実際のカタリナは相当に魅力的な人物です。
 カタリナは非常に前向き(能天気?)で、相手の良い部分を見つけるのが上手で、自分が接した人物に対して思いやりがあり、努力家です。そんなカタリナが、方向性がずれているとは言え、懸命に努力している様子を読み進めていくと、段々応援したくなってきます。だから、御都合主義であろうとも、ハッピーエンドになると「良かった」と感じる訳です。
 悪役令嬢物は、主人公が努力する事でハッピーエンドになる作品が多いのですが、この『はめフラ』はその典型的な作品と言って良いでしょう。正に、悪役令嬢物の王道です。

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