政治には指導者(リーダー)が必要だと思う人は北朝鮮にでもどうぞ。

たしかに安倍晋三君は、のろまで見当外れで無責任極まりない。
在任期間中ほとんどろくな成果を残せず、株価とオリンピックだけが最後の頼りだったから、緊急事態宣言もオリンピック延期もぐずぐずぐずぐず引き延ばした。マスク不足がわかってから何ヶ月も経って、ようやく給食マスク二枚を配ると宣言し世界中の失笑を買うというみっともない有様。
一方で人気急上昇なのが大阪府知事の吉村洋文君だ。安倍晋三君やそのお友達内閣と比べればそりゃそうだ。てきぱき動いて決めていく仕事ぶりが頼りになりそうに感じられるのも無理はない。

というわけで、ニュースキャスターやコメンテーター、また市井の人びとのtwitterなんかを見ていても、「求められるリーダー」「リーダーの資質」「リーダーとして」みたいな言い回しが溢れている。

リーダーねえ…。

広辞苑を見るとこう書いてある。

リーダー【leader】
(1)指導者。先導者。首領。
(2)(印刷用語)点線。破線。また、点線用の活字。
(3)鉤素(はりす)。
(4)フィルムや磁気テープの先端部分。

まあ一般的な意味で首相や知事をリーダーと呼ぶのは、現代の日本語の使い方としては間違っていないのだろう。
だけどさあ、首相や知事は決して「指導者」「先導者」なんかではないぞ。
彼らは単なる「行政のトップ」だ

それゆえ、行政組織を「指導」することはあっても、我々が彼らに「指導」される筋合いはない。

これははっきりしておかねばならない。
「首相になりたい」「知事になりたい」という奴を、我々が選挙で選んであげたのだ。
こっちが上だ。首相も知事も我々を有り難く思わなくてはいけない。
国民のため、都道府県民のために尽くすのが彼らの任務であるから、我々は彼らがさぼったり利己的な野望を持ったりしないように監視し、ときには厳しく「指導」する必要がある。彼らには一瞬たりとも勝手なことをさせてはならぬ。

そういえば、大統領再選に向けてコロナ対策を解除し経済再開を目論むドナルド・トランプと「それよりも感染収束が大事」とするNY州クオモ知事が揉めている。
「大統領には絶対的な権限がある」と経済再開を強行しようとするトランプに、クオモ知事が述べたことば。
「この国に王様はいない。王様が要らないからこそ憲法があり、選挙で大統領を選ぶ」
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000181847.html

政治家のことを迂闊に「リーダー」と呼ぶべきではないと僕は思う。
彼らに「自分は指導者だ」「自分は王様だ」と勘違いさせてはいけないし、我々がそう思ってもいけないからだ。

朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は26日、金正恩氏について党の中央委員会の指導者との呼称を用いた。
労働新聞は金正恩氏が労働党と軍、人民の指導者だと強調している。
(Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2011-12-26/LWSFQP6K50XS01

政治には指導者が必要だと思う人は北朝鮮にでもどうぞ。

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