遊戯王高騰バブルの正体と崩壊の理由

2020年の夏季において今年最大級に盛り上がりを見せたのは、やはり何と言っても遊戯王カードの突発的な高騰である。

その真相について言及、または考察をしている方があまりいないように見受けるため、私がそれをしてみようと思ったのが今回の記事の作成理由の1つである。

そしてもっとも、何故価格が下がったのかという点についても言及する。

これらについて個人的に見るに、的外れな言及や考察しかしていない人たちしか現状いないと見て、この記事を作成しようと思った次第であり、また、これらについて言及や考察をしている人は現状においては2種類いると考え、1つは部分的に知っているが立場の問題においてそれを書くことができず、それらしい理由を記事にして誤魔化しているパターン、もう1つは単に的外れなことを言っているだけのパターンである。

かと言って私の考察が的外れではないとは言えない。何故なら所詮は全てを把握していない人間による外野からの憶測に過ぎないからである。ただし良い線をついているような気はする。面白い内容だとは思う。勿論それなりに的中している可能性もあり得る。是非とも楽しんでもらいたい。

1、高騰したカードの種類

これはご存知の方が多いと思うので、スルーしても良いかと思いますが、書きたがりなクセは直らないので勘弁してもらいたい、とでも言っておきましょう。

主には20thシークレットレア、ステンレス製のカード、純金、純銀の青眼の白龍、WCSの封筒系、ブルーシークレットレア、プリズマティックシークレットレア(青眼の白龍・ブラックマジシャン・プラスワン封入のカードなどの希少系)、未開封のプロモカード全般、ホログラフィックレア等。いずれにしてもここ最近に登場したカードが多くを占めていることがわかる。

2、高騰させるための手段

資金力を持っている個人とカードショップが手を組んで行う場合、カードショップ単体で行う場合、複数のカードショップが手を組んで行う場合、というようにどの道カードショップが買取価格を上げなければ高騰していると一般の多くに周知させることはできない。よって以下の方法が考えられる。

まずメルカリなどの個人間が取引を行う最大のマーケットにおいて、ターゲットに決めたカードを、ある一定の価格以下で出されているものを全て買い占めるというルールにのっとり、そこから始めます。約5000円の相場のカードであれば5000円以下を最初に枯らし、次に6000円以下、7000円以下という順序で枯らしていき、出品されているのが9000円以上しか存在しないという状況まで持っていったら、カードショップがそれに近い価格で買取を募集するのです。

とくにこの方法は出回っている数が少ないカードであればある程やり易く、同時進行で複数の種類のカードをやるのであれば、当然ながらそれなりの資金力が必要になるため、カードショップ単体でそれが難しい場合には、他のカードショップと組んだり、資金力のある個人が協力することなどが考えられます。

次の手順です。上記で説明した約5000円の相場だったカードをカードショップが10000円で買い取るとツイッターで告知したとしましょう。最初のほうに来た数枚程度だけその価格で買い取り、それ以降に来た分については何かと理由をつけ、口頭にて価格を下げ、9000円、8000円というように告知した10000円より段階的に安く買い取ります。買い取りに出しに来た人からしてみれば、元々5000円の相場だったカードなので、下げられてもどの道高いしだいたい妥協してそのまま買い取ってもらう人が多いと思われます。これらの手順でカードショップはさらなる利益を得ようとしていると考えます。

一方で10000円の買い取り告知が出たら、すぐにその周辺にいる転売ヤーたちがカードショップを周って10000円以下で販売されているそのカードを買い占めます。この頃にはおそらく既にメルカリ以外のネット上に出ている10000円以下もほとんど枯れています。

後は一般人がカードショップやメルカリ等で価格操作をされたそのカードを操作された価格で購入するようになれば、ひとまずは高騰成功。大抵の場合、高騰させたカードショップはすぐにオリパに入れ、迅速に利益を確定させたり、定期的に色んなカードを大量にまとめて購入していく大口の客、主にオリパ店や通販メインの店舗の代表者などに高騰させたカードもついでに交渉価格にて売却したり、相場維持またはさらなる価格操作のために実際に売り切れているかどうかは関係なく、売り切れたことをネット上でアピールしてから、数日以内またはすぐ次の日に入荷ツイートをしたりなど、これらのようなケースが多いのではないかと見ています。

と、ここまでが今までの日常だったとしましょう。

2020年の夏季に起きた今までにない急激な高騰劇は上記の日常を繰り返している中、突然あるフリマサイトが非常に大胆な形を持ってして価格操作を行い、その結果それに他のカードショップたちが乗っかるという形で起きたことであると私は考えているのです。

3、急騰から暴落した理由

結論から言いますと、上記のフリマサイトによる自爆テロ。要するに価格操作をしてからその相場を維持させるための能力がこのフリマサイトにはなかったのです。つまり途中で資金不足に陥ったと考えられます。これにより相場維持のための買い支えができなくなった。

急激すぎる今までにない異常な高騰の連続においてその段階では普通の一般人は抵抗を示して買おうとはせず、しばらく様子見をしようとします。よって一部の投資目的の買いしか入らず、フリマサイトによる買い支えがない状況下では、売り手がどんどん増加します。値段の下げ合いが発生し、さらなる高騰を期待して売らずに様子を見ていた人たちもその状況を見て焦って売りに出します。このように売り手が大量発生し、値段の下げ合いが加速し、唯一の買い手だった一部の投資目的の人たちも除々にこの様子を見て怖くなり買いを止めます。下がり始めている今がチャンスと捉えた一部だけが価格次第では買いのポジションを取っていましたが、圧倒的な売りの多さによってどんどん価格が下がっていき、手に負えなくなって当然のことながら暴落してしまったというのがだいたいの流れではないでしょうか。

これらのいきさつによって大胆な価格操作を率先して実行していたこのフリマサイトは文字通り爆死し、大きな損失を自ら受けることになったのです。当然このフリマサイトに乗っかっていたカードショップもそれなりに大きな損失を受けることになり、投資目的で参入していた層のほとんども損失を受けることになったと考えられます。故に私はこの一連の流れをフリマサイトによる「自爆テロ」と呼称することにした。

4、どうすれば価格は下がらなかったのか

上記でも少し説明した通り、価格操作を率先して実行していたフリマサイトが買い支えを続けていれば下がることはなかったと考えます。長期的な相場の維持=信用なのです。今までにない大規模な価格操作を目の当たりにして、普通の一般人は当然そんな急激に高騰した価格では購入せずに様子を見ます。加えて高騰している多くのカードは比較的最近のカードばかりでより違和感を感じさせるものです。最近のカードばかりであるということは、一般人が元々持っている割合も多かったと考えることもできます。よって初期の希少系カードが高騰しているのとでは話が違うのです。しかし長期的な買い支えが続くことで相場が一向に下がらないということを理解させることができれば、除々に一般人もそれが相場であると認識し始めて買い始めます。

はっきり言ってフリマサイトは何がしたかったのかがわかりません。一時的に価格を操作して売り抜けるという手法を取っていたのであれば、暴落後に大量の在庫を福袋にしてまで急いで処分することはなかったと考えられますので、やはり資金不足に陥ったと考えるのが自然だと思います。故にフリマサイトの自爆テロ説はより信憑性が高くなるのです。

と、ここで価格操作に成功し、今でも相場をある程度キープさせるどころかさらに高騰しているという現状を生み出した、遊戯王史上最も希少系カードを高騰させたとある人物の話をしましょう。その人物はこのカードは100万円であると言い続ければ100万円になると話していました。実際に青眼の白龍の初期版のシークレットレア、通称シクブルは2012年頃の4万円~5万円という相場から2014~2015年頃の10万円くらいの相場になって以降、確か2016~2018年辺りで突然高騰して100万円くらいになったと私は記憶しています。今ではカードの状態が良ければ200万円を超えると思われます。

2016~2018年辺りで全ての流れが変わりました。そのとある人物があるカードを遊戯王史上最高価格にして初の8桁という価格で売却したのです。勿論世界に数枚系のカードであり極めて希少なレアカードであるということには間違いありませんが、遊戯王カードの歴史において8桁という価格で取引されたという事例など当時は存在せず、それどころか当時の遊戯王カードの最高取引価格はカオスソルジャーのステンレスの約200万円という記録のみでした。8桁で遊戯王カードが取引されるなんて当時一体誰に想像できたでしょうか。そのとある人物が8桁でそのカードを手放す前、1億円でも売りたくないと書かれたそのカードの写真付きのツイートを固定ツイートにして長期間その状態のままだったことを何となく覚えています。

これらのことからそのとある人物によって、このカードの価値はいくらであると主張し続ければ、実際にその価値になるということが証明されたのではないでしょうか。つまりそれと同じことをすれば価格は下がらなかったと言いたいわけです。枚数が多いコレクション系カードなら1つの手段として買い支えてこのカードの価値はいくらであると主張し続ければ良かったのです。新規参入者が少ないとは言え、今いるコレクターや遊戯王全般の年齢層はまだまだ若い。ただ、一度暴落したという失った信用は拭い切れないのですぐには良い方向にいくとは考えないほうが良いでしょう。

また、2020年の夏季の高騰劇の要因は他にもあると考えられ、緊急事態宣言が発令され自粛で暇になりカードを鑑賞する機会が増えたということ、フリマサイトが率先して価格操作に乗り出している時期、遊戯王投資家を名乗るツイッターのアカウントが自分が高騰させたいカードをいくら以下なら買ったほうが良いなどとツイートして煽り、それを見た人たちに自分に代わって買い占めをしてもらうという手法、おそらくこれによって高騰したら投資家を名乗るアカウント主は売り抜けるという算段。それをオンラインサロンなどの有料会員制の場でも行われていたという噂もあります。勿論全ての遊戯王投資家を名乗るアカウントがこれをやるために活動していたわけではなさそうですが、だいたいはそんなものだったのでしょうというのが私の予想です。とくに今まったく活動していない遊戯王投資家を名乗っていたアカウントなんかは上記のような目的で使用されていた可能性が高いと思います。今も活動している遊戯王投資家を名乗るアカウントはおそらくそうではない場合がほとんどであると考えます。このように様々な要因によって高騰の引き金を引いていたと考えられるわけですが、やはりフリマサイトが率先して価格操作に乗り出したことが最も影響力が強かったのではないでしょうか。

以上私からのクリスマスプレゼントでした。

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