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まほろばの朱(あかり)生育記録(4)【農薬は使用するか否かよりどう向き合うかが大事/予防と節約】

『吉田農園まほら』代表の眞﨑です。12月に『まほろばの朱🍓』ができるまでの生育を記録しています。今回は病害虫防除における農薬について思うことを触れておきたいと思います。

今月まで半年間にわたる苺の収穫期間が終わり、今は、9月に畑に植える苗を育てる育苗期間が始まっています。この育苗期で大切になってくるのが、病害虫の被害を抑える防除です(育苗期以外も大切ですが・・・)。
防除には主に炭疽病・萎黄病・輪斑病・疫病などを抑える《殺菌剤》の使用、アブラムシ・ハダニ・ヨコバイ・コガネムシ・ヨトウムシなどを抑える《殺虫剤》の使用があり、深刻な被害を及ぼす病害虫から苺苗を守ってあげなければなりません。
使用方法としては主に霧状にして葉っぱに噴霧する(スプレーする)葉面散布と言われる方法が一般的です。
夏場の育苗で特に恐ろしいのが、炭疽(たんそ)病と言われる病気です。苺はこの病気にかかるとほぼ枯死します。しかも炭疽病は伝染するため下手をすると全滅してしまいます。
野菜は品目によっては無農薬栽培でも、ある程度栽培出来る品目もありますが、こと苺に関しての無農薬栽培(化学成分のある農薬不使用)は、ほぼムリだと思っています(私見です)。ここでは農薬の必要性とか使用術とかの説明ではなく、『吉田農園まほら』としての農薬に対する付き合い方、考え方、スタイルを触れておきたいと思っています。

気門封鎖剤等の化学成分の入っていない薬剤を多く使用

繰り返しになりますが、農薬不使用の苺栽培は現状ではほぼ不可能だと思っています。ではどのように農薬の使用と向き合っているのか?と言いますと、一言で言えば【予防と節約】ということになります。
❶ 予防防除とは、予めその病気や虫の被害を予測し防ぐために防除を行うことで、歯磨きと同じです。ただそれには予測する経験と勘(勉強)?が必要になってきますね。逆に虫歯になってから対策することが対処療法的な防除になります。後者では農薬の使用回数がどうしても増えてしまいますので、予防に力を入れての農薬使用を心がけています。
❷ 節約という観点から言えば、化学成分が入ったものをいかに減らしていくかということです。IPM防除(統合防除)という定義があり、化学成分が入った殺菌殺虫剤だけではない天敵、物理的、BT(生物)、共存共栄等を組み合わせた防除を実践しているところです。治療薬ばかりに頼らず、普段の食生活・サプリメントや日々の運動、ストレス緩和で健康で丈夫なカラダを作りましょう!ということと全く同じです。
ここ数年、農薬に対するこの【予防と節約】のスタイルを実践しているところ、病気の発生が抑えられている実感があります。実際に農薬の使用回数で年間2割程度の削減(対慣行レベル)ができています。これはジムに通い、食生活を改善し、今までの仕事の働き方を変えることでカラダの調子が整っていき、薬の服用が減ってきたということだと思っています。
次回はこれに関連し、微生物を活かす『太陽熱養生処理』について書きたいと思います。

最後にルール厳守について一言だけ。農薬は
適正に利用すれば、人体が一生摂取し続けても健康に影響のない薄さよりさらに安全性を期した極薄さで散布していることになるそうです。
その使用については使用品目、濃度や回数等には細かい決まりがあり、これを厳守するというのは当たり前なので敢えて触れませんでしたが、《厳守するという行為》自体も最近の農薬の多様性や複雑性により、日々勉強しないと結構ハードルが高いものだと実感する今日この頃です。

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