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子どもと大人の心の守り方 児童精神科医

悲しい事件や社会の不安が強くなってしまった時の、私たちの心を守り、社会のレジリエンスを大切にする工夫や、子どもに起こりうることと関わり、子どもへの伝え方、メディアや発信、取材の工夫に関して、幾つかの団体や個人に共有したものを元に、児童精神科医でNPO法人PIECESが、noteにまとめてくれました。

◇社会に起こりうることとできること
◇子どもへの関わり、このようなことがあったときの伝え方
◇メディアの報道と取材の仕方
◇レジリエンスへの視点

【要約】 
悲しい事件が起きたときに、心が傷つくことはとても自然なこと。このことを前提に、過度に心の傷を恐れることなく、みなかったことにすることなく、痛みの後、回復していくことを知り、私たちのレジリエンスにも目を向けて、報道や、情報共有、対応を考えていくことが大切です。

事件に関わった方誰もに大きな負荷がかかり得ます。ご自身の心を守りケアを大切にしてください。

安全が喪失した時、驚いた時、怖かった時、悲しかった時、
私たちにはさまざまな心身の反応があらわれます。

深呼吸して、情報から離れてみてください。
そして、日常のルーティンを大切にしてください。

とくに子どもは、
日常の当たり前に行っていることが続くこと、
大事な人や信頼した人に体験や感情を共有し、
受け止めてもらうこと、遊びが失われないことがとても大切です。

時に無力だと感じることもあります。

これに対して、日常で、子どもの考えや意見を否定せずにず受け止められたり、それが実現できたり、選択が尊重されることを大切にしてみてください。さまざまな感情を感じること、感じないこと、気になることを聞くこと、聞かないこと、あなたのいかなる選択もあなたの今できている大切なこと、でもいつでも話を聞くよ、と伝えてください。

わからないことが多く受け止めることが難しい状況に対して、特定の集団や属性を理由とするような「スティグマ」を助長する方法で意味づけが起こることがあります。これらが特定の集団を排除したり、社会の極端な分断や暴力的な対立を生み出し、次なる傷や痛みを生み出すことがあります。暴力的な映像に何度も触れることで知らず知らずのうちに私たちの心は傷つき影響を受けます。スティグマや差別を助長する情報、誤った情報に対して、また暴力的な映像を見た時、深呼吸して、情報から離れ、拡散を保留することで、自分と他の人の心を守ることができます。

また、一部だけを切り取り、不安を高める情報や報道ではなく、起こったことの構造や、解決策、私たちに起こりうることや対応策、緊急の場合にできることやグッドプラクティスを共有することも、私たちに自分たちの持つ「レジリエンス」や、対応できる知恵や力があることを思い出させ、回復の一助となります。

さまざまな感情が湧き、深い悲しみや喪失を感じることはとても自然なことです。感情も心身のサインも自分の大切な力です。過去の自分の対処や知恵も大切にしながら、その感情を否定せず、「傷ついてたんだな。悲しかったんだな。安全じゃないと感じていたんだな」とそっと自分の感情を受け取ってみてください。

安倍元総理銃撃事件が起きた直後に、小澤先生とPIECES PRコミュニケーター藤田さんにYoutubeにお越しいただきました。お時間があるときに、ゆっくり大切な方と一緒にご視聴いただけたらと思います。

情報の受け止め方を知ってると不安が減る
 「ショックなことが起きたとき、社会の安全が失われたように感じるとき」
事実が分からないときは、先が見えなくて怖くなる。からだやこころのサインをたくさん出してくれる。柔軟に対応し回復していく力を「レジリエンス」と呼びます。

事件や事故があった時、報道は「事実」だけでなく「解釈」や「推測」を混ぜて発信している可能性があるので距離感が大切です。理由づけをして安心するための「推測」や「解釈」が、社会の痛みを増幅させる可能性があることを知っていると、少し冷静になれるかもしれません。本来、ひとりひとりが持っている乗り越え方・知恵を持っているはず。
​安全が失われた時に、安心を得たいという感情は自然なコトです。そういう時に、「自分は不安なんだな」と自覚することが大事です。​ あふれた情報から事実と決めつけることはせずに、「これは、解釈なんだな。こう捉えたいんだな。」と自覚できるとよいかもしれません。

「不安は未来への願い。恐れはトラウマ。」になることがあります。
​例えば、過去に犬に噛まれたことがあると、犬を見たら噛まれるかもしれないと怖いと感じるしし、それ自体は自然なことですよね。恐れる気持ちを受け止めて、誰かに伝えることができると良いな、と思います。
​体も緊張しているのでほぐしてあげられると良いでしょう。

コーピング:危機があった時に自分なりにとっている対処法。​
例:体を動かしてみる人。情報収拾したい人。ゲームをしてみる人。散歩したい人。ぼーっとしたい人。「お茶を飲む」という行為の中でも、お茶の種類を増やしてみると、対処のバリエーションが増えて良いかもしれません。

Q. 「楽しい事が終わるとすぐストレスがたまってしまいます」
A.​ 「いま、楽しいこと」と現実のギャップ
​しんどいことが続くと、体が緊張しているので、「楽しいこと」をするだけじゃなく、「深呼吸やお水を飲む」など少しリラックスすることを取り入れてみることも大事かもしれません。

Q. 「色んなことを感じないようにする方法はありますか?」
​A. 対処法のひとつに、いろんなことを感じないようにするというのはありますが、続けるとしんどくなることもあります。暮らしているところに選択肢を増やすことができれば、緩和されることもあります。

Q.  事件の近くに住んでいて情報をシャットダウンできない場合は?
A. 日常を崩さない事が難しい環境下でできること:小さくても普段通りの生活のスタイルを一つでも見つけていきましょう。社会が変わっていく必要があるのですが、自分ひとりでなんとかしようとしない、頑張らないことが大切です。具体的には、自分のできていることを書き出してみる。「できている自分」を発見する、例えば、​朝起きれた、歯を磨いたなど、実はできていることはたくさんあると気づくことが回復につながります。

認定NPO法人 PIECES https://www.pieces.tokyo/

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VISION
子どもたちが孤立の中で生き続ける明日よりも
優しいつながりが溢れる未来を

あなたの手元から、
優しい間が紡がれていくように。

NPO法人PIECES代表理事/ Founder /東京大学医学系研究科 客員研究員/
児童精神科医 こども家庭庁設立準備室のアドバイザー 小澤いぶき

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精神科医を経て、児童精神科医として複数の病院で勤務。トラウマ臨床、虐待臨床、発達障害臨床を専門として臨床に携わり、多数の自治体のアドバイザーを務める。さいたま市の子育てインクルーシブモデル立ち上げ・プログラム開発に参画。 2016年、ボストンのFish Family Foundationのプログラムの4名に推薦されリーダーシップ研修を受講。2017年3月、世界各国のリーダーが集まるザルツブルグカンファレンスに招待、子どものウェルビーイング達成に向けたザルツブルグステイトメント作成に参画 

PR / コミュニケーター 藤田 奈津子

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出産と東日本大震災を機に、ボランティアやさまざまな社外のコミュニティ活動に関わるようになる。大人も子どもも一人ひとりの人として育ちあうasobi基地で小澤と出会い、会社員時代はイベント参加などで緩やかに関わりを続ける。2019年PIECESに本格的に参画し、フリーランスとして複数の企業・団体のPRコミュニケーションに携わる。

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https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_62c8f49be4b0359fa47b918b?fbclid=IwAR2u2hsNvW7z5qIxxjjSp6Dltc4i27TD_HDjk9O-OJBghm2MIeQliHBQjwc

#小澤いぶき #メンタルヘルス #ひろがれPIECES

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