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【プチDX1】本当の電子カルテに挑戦

 開院以来十数年、「必要なのかなぁ?」と思いながらも続けていたカルテ印刷。パソコンで打ったカルテを印刷し、ファイリングして保存するというなんともムダな気がする作業です。

 「カルテ印刷やめていい?」
 「いや、カルテ保存の義務があるからダメ」
 「パソコンの中に入っているよね?バックアップも取ってるよね?」
 「パソコンのデータは改ざんできるし、なくなるかもしれないからダメ」

いやいや。。。紙で保管した方が簡単に改ざんできます。紙でも紛失はします。逆に電子保存の方が改ざんも紛失もしにくいと思います。

ということで、カルテの電子保存について調べてみました。参考にしたのが厚生労働省ホームページの「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」この中に以下の記載があります。

法的に保存義務のある文書等の電子保存の要件として、真正性、見読性及び保存性の確保の 3 つの基準が示されている。

 カルテ印刷をやめるにはこの電子保存の3基準である「真正性・見読性・保存性」を満たす必要があるようです。当院は電子保存して、いつでも確認が可能ということで見読性はすでに確保されていました。パソコン本体、外付けHDD、外部データセンターの3ヵ所でバックアップを取っているので保存性も確保されています。ということは、残るは真正性

 そこで、三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社の「DIACERTサービス」を利用しカルテに電子署名を付けます。これで、誰が何を記載したかの記録が残ります。

 さらに、株式会社モリタの「DOC-5 PROCYON3 カルテオプションⅢ」を導入し、タイムスタンプを付与することでいつ記載されたかの記録が残り、真正性が確保されます。ここまで行うとカルテはいつでも閲覧可能で改ざんすることも、紛失することもなく、わざわざ紙に印刷する必要はなくなります。いえ、紙で保管するより断然安全な状態となるわけです。これでなんちゃって電子カルテからの卒業です。

 最後に効果を確認してみましょう。

【削減費用】*患者数 40人/日、診療日数 25日/月で計算
カルテ印刷時の用紙代+インク代 年間20,000円
カルテ印刷時の人件費 年間360,000円

【追加費用】
タイムスタンプシステム費用 年間8,400円
電子証明書料金 年間6,500円

差し引いてトータル削減費用は年間約365,000円

 削減費用だけで見ると大きくはないですが、カルテ印刷に使っている時間・労力を患者さんのことを考える時間に使えるようになります。
 スタッフにはロボットのような作業ではなく、心と頭を使う仕事をやってもらいたい。そう考えると、本当の電子カルテに移行し、カルテの印刷をやめた効果は費用効果を遥かに超える価値があります。


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