有利と必要

久々に会った同級生の一言は、意味がわからなかった。
「来年、新卒になれないから留年させてもらうことにしたわ」
彼は現役で大学に合格し、すでに卒業要件を満たしている。しかし、今年卒業すると、来年「新卒」の肩書がなくなり、就活に不利になるから、研究室の教授に単位を落としてもらうように、わざわざお願いするという。しかも、驚いたのは、それを大学の就職課の職員に勧められたということだ。

まず、その職員に憤りを感じる。彼には、新卒の肩書を超える魅力がないから、あと1年大学に数百万課金しろと言っているのと同じだ。なぁお前、悔しくないのか。そんな大学、さっさと卒業しようぜ。

また、彼は「高卒」でできる仕事の幅を小さく見すぎていると思った。私の高卒の友人は既に働いている。久々に電車の中で会った時、私の横にいた母と、ビシッと敬語で話しているスーツ姿の友人を見て、カッコイイと思った。税務署でアルバイトしていた時も、年下の正職員に仕事を教わった。安定がほぼ保証される公務員でさえ高卒でできるのに、第二新卒になったところで何が怖いというのだ。新卒に勝てるように、学歴以外で勝負する道をさがすべきだ。

結局、裕福な人は「有利」という言葉に弱いのだなあと思った。就活に有利という理由で、高い金払って海外留学する。貧しい人はむしろ、「必要」という言葉に弱い。街頭で、500円の割引券を受け取らないのに、はるかに安いポケットティッシュは受け取る。

「とにかく留年しないで卒業して!」と繰り返していた就職課に手のひらを返された気がした。留年させて学費を稼ごうとしている訳ではないと信じたい。

変なアドバイスをされたら、手のひらを相手に向けて、「結構です」と断ってほしい。


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今回のテーマは「手のひら」で本文は800字以内でした。普段、作詞作曲をしております。自作曲「茜」もサブスク配信も始めました。ぜひ聞いてください。よろしくお願いします!
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