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『ジョン・ウィック:コンセクエンス』から考えるconsequencesのニュアンス

キアヌ・リーヴス主演の人気殺し屋映画シリーズ4作目で、昨年劇場でも観ていたのですが、Netflix配信中ということで見返しています。

Consequences...!

受験英語でも重要なconsequenceという英単語は、「結果、帰結、重要性(この意味では不加算名詞)」といった意味を持ち、本編字幕では文脈を考慮に入れて「報い」と訳されています。

邦題『ジョン・ウィック:コンセクエンス』(原題はシンプルに"John Wick: Chapter 4")の由来は、本編で複数回印象的に使われ何よりジョンがあるシーンで発する'Consequenses...'という台詞から来ているのですが、英語では語末にsがついて複数形の「コンセクエンスィーズ」となっています。日本語は名詞の単数・複数が文法に影響しないしその使い分けの意識もあまりない言語なので、カタカナ邦題を付けるときに、日本人にとって馴染みやすい単数形に変えられることはままあります(もちろん『マトリックス レザレクション』のように複数形を活かしたものもありますが)。有名な例をあげると、ピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』。この原題は"The Lord of the Rings"と複数形なのです。

映画版3部作ではあまり描かれていないけれど、原作トールキンの世界観では複数の指輪が登場するのでRingsのsは伊達についているわけではないのです。また余談ですが公開当時から、このロードは本来Lord「王、支配者」なのですが、ロード・トゥ・フランスみたいなroadのことだと勘違いされがちでしたね(笑)。

この流れでもう一つ、今度は複数形のsではなく三単現のsがカタカナ邦題で省略される事例も紹介しましょう。ティム・バートン監督のSFブラック・コメディ映画『マーズ・アタック!』。

原題は"Mars Attacks!"で動詞attackに三単現のsがついているけど、邦題では省略されています。『火星人、襲来す!』。三単現sも複数形sと同様に日本語文法には無いものです。あと、いまこの予告編を久しぶりに見ていて気づいたのですが、『セックス・アンド・ザ・シティ』で大ブレイク前のサラ・ジェシカ・パーカーとか出演していたんですねー。

ところで、ジョン・ウィックに話を戻してさらに考えてみたいのは、consequencesという語には、「成り行きゲーム」という日本の伝言ゲームのような子どもの遊びを表す意味もあるということです。以下の動画ではその遊び方や実演を見ることができます。


今回の脚本にその意図があったかはわかりませんが、シリーズ冒頭で飼い犬を殺された怒りからはじまるこのシリーズの荒唐無稽なまでの話の超展開は、ある種「成り行きゲーム」的であり、一応のシリーズの決着をみた本作にconsequencesという言葉はこの意味でも相応しいと言えそうです。

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