父の話①

私が家の電話に出れるようになってから、我が家にあった、守らなくてはならないルールを知った。
それは、父宛ての電話は家にいてもいないことにすること。
きっと、子どもだと大人も強く出れないから父にとっては都合が良かったんだろう。
毎回決まって、何時に帰ってくるの?と聞かれたが、私は父の定時を知っていたのに、分からないとアホの子の振りをし続けた。
私が小学生の頃、DSのどうぶつの森が流行っていた。そこで私はローンと言うものがお金を借りて、返さなければならないことだと知った。父に電話をかけてくる会社の広告を、その頃初めて新聞で見つけた。○×ローンと書いてあった。子どもながらに、父はお金に困ってるのだなと感じた。
高学年になれば、アホの子では通らなくなってくるので、日によって帰る時間が違うのだとひたすら嘘をつき続けた。

そこまできっと不幸じゃない、でもそこそこきっと不幸だった。

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