さめたの

さめたの。
言いたくなった言葉をぐうって飲み込んで君に笑顔をあげる。
好きでどうしようもなかった彼と付き合って3ヶ月とほんの少し。
慣れた。
はっきり言ってしまおう。慣れた。
彼がそばにいることが。
寂しくなくなった。
彼がいなくても。
彼が日常と非日常から、分離した。
彩度が落ちた。
彼が求める私と私がずれ始めた。
彼との違いが見え始めた。
年齢、価値観、育ち方、世界の見え方。
唐突な冷静。
(ため息×3)
好きです。今でも。
間違いなく。
さめたなんて言わないよ。
ずれ始めたシーソーは元には戻らないから。
重くなったあなた。
軽くなった私。
動かなくなったシーソー。
蹴り上げて3、2、1
さあ中間地点を探して。
もしかしたら、もしかしたら
愛されたかったのかもしれない。
家族でも兄弟になぜかいらぬ嫉妬をして両親の視線が欲しくて。
誰かから好きがもらいたかったのかもしれない。
依存した。
彼に好きをあげたら大好きをくれるから。
飲み込んで、満足した。
彼は嬉しそうだった。
大好きが積もって、いつからか満タンになった。
彼は、満ちていないみたいだった。
求められる好き。
積もっていく彼からの大好き。
もたれる。うっぷ。
さめた=好きじゃなくなったじゃないの。
冷めてないよ
覚めたの。
だからさ、
あげるね。
君が欲しがるだけたくさんの大好き。
果汁率は50%で。

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