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ロゴで感じる ホンダFITのコンセプト

1. 車名ロゴはそのクルマのイメージを決定づける

クルマ後ろに、よく車名ロゴが貼ってあるのを見ると思います。
車名ロゴはそのクルマのコンセプトを表す縮尺のようなものです。
そこに注目してこのクルマについて考えていこうと思います。

2020年の初めにモデルチェンが控えてるホンダのFIT(フィット)。
今回のモデルチェンジでは車名ロゴも刷新されるのはご存じでしょうか?

2. FITのロゴの歴史

では、今までのFITのロゴはどんなものだったのでしょうか?

明るく機能的なイメージの初代

初代FITは2001年に登場しました。
その頃は日本経済がデフレ状態にあると政府が公式に認識を示し、とても明るいと言える状況ではありませんでした。
デフレが進めば、モノを売っても売れない → モノの値段を下げる → 給料を下げる → さらにモノが売れなくなる → モノの値段を下げr…
というようにモノの値段が下がり続けてしまいます。
学校で「デフレスパイラル」という言葉を習った人も多いのではないでしょうか。

そんな時代に、10色以上のカラーバリエーションを揃え、ホンダが新開発したエンジンやトランスミッション、センタータンクレイアウトをひっさげて登場したのです。
その頃の人々にとっては経済的で明るい、走る希望のように思えたことでしょう。

そんなFITは多くの人の心をつかみ、最初の6か月で10万台を売り上げてしまいます。月間販売台数は22年間トップを守り続けたトヨタ カローラを上回るほどでした。
また、2001年のグッドデザイン賞やカー・オブ・ザ・イヤーなどを総なめにしてしまいます。まさに名車でした。

この代のFITは、まだ初代ということもあってどういったイメージで行こうか迷いがあったと思います。
そこでホンダの開発陣は上記のような世の中を元気づけたいと思ったのでしょう。
そこで、ロゴにはアクセントを入れて明るくいこうということになり、iの「・」にを強調するカタチになりました。
1.3Lグレードの「・」は赤に、1.5Lグレードは青にして、遊び心を演出しました。
また、大文字のFと小文字のitを組み合わせることで躍動感も感じます。

個人的には、このロゴを地図に見立てて、街の中を走るFIT「・」が街に活気を与えているのではないかと思っています。

走りを進化させた2代目

2007年にモデルチェンジした2代目FITは、走りに重点を置いて開発されました。
初代のずんぐりとしたフォルムから、とがりがあって軽快なフォルムに進化しています。
なんとこのFITはグランツーリスモ6のチュートリアル車にも採用されています。
現行の3代目FITもこの走りを受け継いでいます。
この代で、これからのFITの方向性を決定したといえるのではないでしょうか。

2代目のロゴはとてもシンプルです。
斜体がスポーティーなコンセプトに合っていて、一目見てかっこいいなと思います。
2代目になり、世の中にFITという名前が定着してきたということで、ブランドらしいシンプルなロゴへと進化しました。

FとTの上の部分の幅を合わせることで横方向のスムーズさを演出している
Fの真ん中のラインは少し短くしてFの軽快さを感じさせる
縦のラインの幅はF、I、Tでそれぞれ異なっている
Fの幅を基準にするとIは少し細く、Tは少し広くなっている
Iは細くスマートに、Tは太くどっしりとした印象

成熟の3代目

2013年にモデルチェンジした3代目FITは、デザインの進化が見どころです。

ホンダのブランドデザインである、
「Solid Wing Face」(ソリッドウィングフェイス)を採用し、とてもクールな印象。
サイドに刻まれた鋭利なプレスラインは圧巻です。
また、ボンネットかrルーフへの流れがまとまっていて、塊のように感じます。

これが3代目のロゴです。
ん、2代目と変わった?と思われる方も多いかもしれません。

↓2代目のロゴです。

全体的にフォントが細くなり、軽快な印象です。
FやTの右側が曲線になったので、どこかに羽ばたいていきそうにも見えます。
ただ、フォントの傾きは抑えられているので、少し落ち着いた感じがします。

デザインにこだわったということで、静的な質感が高まったので、こう落ち着いた印象のロゴデザインにしたのではないでしょうか。

続いては、お待ちかねの4代目です、、

「ココチいい」がテーマの4代目

東京オリンピックの年の2020年に発売となる4代目FIT。
東京モーターショーでも目玉として扱われ、ホンダも本気で開発したようです。皆さんの注目度も高いのではないでしょうか?

一見デザインを見て、目新しさはあまり感じません。
むしろ、初代FITを彷彿とさせるデザインです。
これにはわけがあります。
4代目FITのテーマとして掲げられたのは「ココチいいとは何か?」でした。
そうなると、今を生きる人の感性に合うデザインになるのです。

つまり、先進性を求めるのではなく、今を過ごす相棒として、身近な存在としてどういうカタチがふさわしいのかを突き詰めたわけです。
その答えが、初代FITのコンセプトに近いカタチになったということです。
もしかすると、僕たちの生活もあまり変わっていないということなのかもしれませんね。

こちらが4代目FITのロゴです。
今までのロゴとは全く違います。
フォントがまっすぐになり、角も取れて丸くなっています。
FやTの横のラインは細く、溶けて消えてしまいそうです。

美しいのはもちろんですが、見ていて落ち着くし、「ココチいい」と感じるのではないでしょうか。

3.全FITのロゴを見てみて

どれも個性的でその代のコンセプトをよく表しています。
歴代FITのロゴはクルマのロゴとしてはかなり秀逸なものです。
FITというクルマはどんなクルマなのか、ロゴを見るだけでイメージすることができます。

これから、ロゴをデザインするときはその商品がどんなものなのか確実にとらえて、ロゴのカタチやイメージに落とし込んでいければいいなと思いました。

もちろん、シンプルに伝えることを忘れずに。

引用
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