2021 09 07




『ユメノハナシ』



ナツが訪れようとしていた
あの日の映像。
この夢のワンシーンが、
はっきりと記憶にあるのは何故か。
時間が経っても、あの瞳が描かれる。



【雪山と列車】

大きな窓から外の景色を見ていた
列車がカーブに差し掛かる

その時、

銀世界の斜面に
真っ白な鷲が降り立つ
辺りを見渡している鷲と目が合う
何かを伝えるかのように
こちらを見ている

瞳の奥に広がる青空

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渡り鳥がカラフルな枝の木を目指して
雲一つない青空をまっすぐに飛行する

きれいな風景を見せてくれて
大切な人をそばに感じられて
寂しいを箱にしまってくれて

満月の夜がとても似合う
そんなお噺を翼にのせて
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目覚めると空は
朝日を迎えようとしていた。



【曖昧な瞬間】

空が明るくなり始めた頃の
暗闇と光。

平行して進んでいる
もう一つの世界に
触れることが出来るような
あの空気。

誰も知らないものを感じ取れる
優越感と、ちょっとした背徳感。


一瞬見えるグリーンの光
朝露に映るブルーの空
動物達のダンスの形跡
風達のクスクス笑い
雨の喧嘩とリズム


夢と現実の境目
ずっと感じていた違和感の
一つの答えなのカモ。





今日は新月の夜。