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ドラマ「Shrink ~精神科医ヨワイ~」第3話で知ったパーソナリティ症

 昨夜、観てからずっと心がザワザワしている。

 「パーソナリティ症」について知ることは何度となくあったが、具体的なイメージがあまり思い浮かばず、何となく自分から遠い存在のものだと思っていた。
 だが、ドラマを観ているうち、「あの人はパーソナリティ症だったかもな」と思う過去の知り合いの顔が2、3浮かんだ。

 その顔の中には、一見、ビジュアルこそドラマに出てくる風花と真逆の女性がいた。
 お堅い職業で、普段の格好はいかにも「お堅い職業のビジネスカジュアル」的、でありながら男性関係は派手。感情の喜怒哀楽が激しく、周囲に自分と全く同じ価値観を求め、少しでも異を唱えようものなら激高し「あなたのためにやってあげているのに!」と責め立ててくる人だった。
 彼女が「友達」として周囲に寄せ集めている人間は、おとなしくて自己主張をしないタイプの人が多かった。そして私も、その中の一人になっていた。
 いろいろあった末、彼女の消息を全く聞かなくなってもう10年近く経つ。

 他にも、風花とほぼ同じビジュアルで、男性関係も派手。誰彼構わずフレンドリーに話しかけては、人の心にズカズカ踏み込んで荒らし込もうとする。その相手に拒絶されようもんなら、途端に怒り出して騒いでパニックを起こす。そんな人もいたし。
 あと、見た目もおとなしくて人間関係も安定しているように見えたけど、ターゲットを見つけたら「これでもか」というほど甘え散らかして、相手が疲れきったら「もういいです」とばかりにポイ捨てする人もいた。

 でも、そのような人たちとの付き合いを、私は選んでしまっていた。
 どの人たちにも共通して言えるのが「気がめっちゃ強い」「逆らったら何をしでかすか分からない」「一見、交友関係は広そう」という点だった。
 この人に嫌われたら、自分は他の人との付き合いも失くしてしまうんじゃないかと本気で怯えていた。だから、仕方なくその人に従い、言われるまま振り回され、心の中をぐっちゃぐちゃに荒らされてきた。
 でも、そんな付き合いでどれだけ疲れ果てても「見捨てられたくない」という気持ちが強かった。今思えば、それはドラマの中でも語られる「共依存」というものだったんだろう。

 ドラマの中で風花は弱井先生たちのサポートを受け、変化していこうと努力する。そして自分で目標を見つけ出し、新たな生活をスタートさせた。
 その過程を見て、「人は変われるんだな」と思った。
 冒頭で挙げた人たちのことは、思い出すたびにはらわたが煮えくり返って「今頃、生き地獄を味わっていればいいのに」と願うときもあった。
 でも彼女たちも、もし風花のように過去と向き合って、自分一人の力で立ち上がろうとできたなら、まず自分自身が幸せになって、他人を本当の意味で救える人になれるのかもしれない。
 そう思ったら、やっと彼女たちの幸せを祈れるようになった。
 まぁ、そう言っても万が一、どこかでバッタリ出会った際に、冷静な対応ができるか分からないが。このドラマでも、高校時代の風花を知る看護師の有里は、変化していく風花を受け容れるのに時間がかかっていたし。

 このドラマ、全三回で放送されたとのことだけど、それで終わるのは惜しい気がする。
 精神科医療について、もっといろんな人に知ってもらいたい。怖いところではない、通院しているからって偏見を持たれるようなことじゃない。それを知る人が増えるだけで、だいぶ敷居は低くなるんじゃないだろうか。
 というわけで、続編があればいいなぁ、と思う次第。

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