何気なく入学した通信制大学から、世界がはるかに広がっていった。
2015年の年明け、私は退屈していた。
前年に仕事を辞めて、一年近くボーッとしていたが、あまりにも毎日がつまらなく、長く感じる。
だからといって、再び働く気にもなれない。
普段の生活では、家族以外と口を利くこともない。
あまりの閉塞感に、「この状況を打破したい」と思った。
そこで、「BSテレビ・ラジオ、インターネットを通じて好きな時間に学習できる」が謳い文句の通信制大学に入学した。
以前から暇なときにはテレビで、その大学が独自で持っているBSチャンネルをつけっぱなしにしていた。
そこで流れる講義を見ていると、内容を理解できなくとも少しは賢い気分になれる。そんな不純極まりない理由だった。
でも、何となくでも見ているうちに「面白い」と思う授業も出てきて、特に気になった先生の授業は、わざわざ録画して何度も見返しているほどだった。
既に大卒の資格は持っていたが、今度はただの道楽というか、あわよくば再就職するために有利な知識や資格を得られたら、と思った。
だから、健康や福祉について体系的に学べるコースを選んだ(当時は福祉関係の仕事に就こうかと漠然と考えていた)。
その後、学業と並行して就職活動をするつもりだったが、いつの間にか大学の授業の方が面白くなってきた。
そして卒業し、そのまま、大学院修士課程まで修了した。
しかも今、二度目の学部生である。
入学当時に考えていた「福祉関係の仕事に就く」という夢はとうの昔にすっ飛び、今は人文学を体系的に学べるコースで、自分の興味の赴くまま学びたいことを学んでいる。
最初に入学してから9年の歳月が流れ、いろんなことがあったが、今の大学のおかげで自分の世界ははるかに広がったと思っているし、これからもどんどん広げていきたいと考えている。
この先、今の大学にこのまま居続けるか、また他の道を見つけてそちらへ進むかどうかは分からないけれど。
尊敬する先生方や、学友の方々とも知り合えた。そして修士論文をきっかけに、大学外の方々とも新しい繋がりができた。
それだけでも、感謝の念が沸いてくる。
そして同時に、「自分、今まで本当によくやってきたな」とも思う。
仕事を辞めたこと、BSのチャンネルを何となく見ていたこと、今の大学への入学を決めたこと……何気ない選択の連続が、今の自分に繋がっている。
今の大学のおかげで、私はいつも「次の目標」を見定めることができ、それに向かって行動することができている(たまに面倒になる時もあるけど)。
この先、どこにたどり着くか分からないけれど、知的好奇心があるうちは、どんどん進んでいきたいと考えている。
もしサポートをいただければ、とても嬉しいです。自分の幸せ度を上げてくれる何かに使いたいと思います。