川崎洋さんという詩人
川崎洋さんという詩人に、最初に遭遇したのは、いまはなきサンリオの雑誌「詩とメルヘン」だった。
川崎洋さんの詩に、東逸子さんの画だったと記憶している。
(反証を取っていないので間違いだったらごめんなさい)
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「喜び」
一生に一度くらいは
ありきたりのそれと違う
脳天を突き抜けるような
超弩級の喜びが
ありますように
一人一人
誰にでも皆に
悲しみは
願わずとも
数え切れぬほどですから
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あらためて、そうだよなぁ・・・と思った。振り返れば、結婚/子どもの誕生X2/娘の結婚/孫の誕生と、4回は「超」とまでは行かなくても「弩級の喜び」はあった。それに比べて、悲しみは数え切れないのは、どうしてだろう?人生とはそういう仕組みの上に成り立っているのだろうか。
ネットの記事も、喜びとは縁遠い話にあふれている。人の不幸を見て安心するのは罪なんだろうけど、やっぱり求めてしまう。だからこそ、この歩みの中で求める「喜び」が、大きいものであるように願わずにはいられない。
谷川俊太郎さんのような、著名な詩人ではないにしろ、川崎さんの詩は胸に痛く沁みわたる。岸田智志さん(今は岸田敏志さんと表記)の「重い翼」も川崎さんの詩でした。それほど多くはない川崎さんの詩集を、たまにはめくってみたくなる日があります。超弩級の喜びに邂逅することを祈って。
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上記の「喜び」は、『現代詩人8 川崎洋』に収録されていると思います。安野さんの装丁が美しい全集です。公共図書館には、収蔵されている可能性が高いと思います。もしくは、司書さんにお伺いしてみましょう。