銀二貫 高田郁 幻冬舎時代小説文庫
NHKでドラマにもなった時代小説。高田節が心地よく、ページをめくるペースも早い。
大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。
悪人がほとんど出てこない代わりに火事は畳み掛けるようにやってくる。
大阪ではなく大坂表記なんですね~~
銀二貫がどれほどの価値があるか徐々に理解して行って最後の締めも二重三重に重ねるエピソードが素晴らしい。キャラクターにも工夫があって、全面に出て来る主人の和助や善治郎も良いが、脇の梅吉も最後に美味しい所を持って行く。泣かせる時代小説ここに有りという感じです。
丁寧な時代考証と描写、江戸の大坂を丁寧に描き読者をその世界に運ぶ。これぞ高田郁の真骨頂でしょうね。
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