第2回「ポスト申請主義について考える会」実施報告/調査メンバー募集


2019年1月24日に第2回ポスト申請主義を考える会を開催しました。

第1回開催、追加開催の2回を開催し、そこでの参加者の議論を踏まえ、事務局で行なった議論の整理結果を、以下共有いたします。

第1回開催時の議論補助資料はこちらから


1.申請主義によって生じている問題

申請主義によって生じている課題の暫定的定義を行いました。

「制度・サービスによって課題解決・軽減につながる問題を抱えている人」が、「必要/適切なタイミング」で、「必要な制度情報を入手」し、「申請手続き」を行い、制度・サービスの利用に至ることを妨げていること。(横山)
→それによって「制度・サービスによって課題解決・軽減につながる問題を抱えている人」が制度やサービスの申請に至らず(例:捕捉率の低さ)、必要な制度・支援を活用できず、最悪の場合は生活困窮・孤独死・餓死・自殺等など生活や生命が脅かされる可能性がある。

2.上記定義を前提とした場合の、申請主義によって生じている問題への介入焦点仮説

「申請主義」によって生じている問題に対し、問題解決のための行動について議論するために、以下、4つの介入焦点仮説に分類しました。


3.問題解決の行動(ソリューション)を検討する上で援用できる理論的枠組みやヒント

上記2の介入焦点仮説に介入する際に援用できる理論的枠組みとして、以下を共有しました。(伊藤)

⑴レッシグ『コード2.0』人間の行動の規定について


⑵事例:NPO法人OVAの介入(目的:若年層自殺予防)


Archietecture:
検索エンジンで自殺方法等について調べているユーザーに対し、
検索連動広告を用いる事で「死ぬための情報」よりも「生きるための情報」を目につきやすいところに表示させるという選択アーキテクチャ(ナッジ)の手法を開発・実施。
Law:
自殺総合対策大綱に「ICTを用いたアウトリーチ」の文言が入るように働きかける。


⑶申請主義の課題を乗り越えるための介入法の整理

4.本プロジェクトの今後の進め方

上記、1-3を参加者で共有し、申請主義によって生じている問題のより精緻な構造化を行うためにリサーチを行うための議論を行い、以下の通り本プロジェクトを遂行していく方針になりました。

⑴定量調査の実施
公的扶助、社会保険、社会福祉にわけ、各社会保障制度の受給率(捕捉率)を可能な限り明らかにするための調査を行います。

以下のような意見が参加メンバーから出されました。

・制度ごと(地域ごと)の受給率の差異から見えるものがあるのではないか
・存在しない受給率データ自体も問題の社会化におけるストーリーの要素になる

⑵定性調査の実施
申請主義の問題によって引き起こされたであろう事件に関する過去の新聞記事等のリサーチ
⑶上記に合わせて問題の社会化イベントを開催(2019年5月以降順次)
質的/量的リサーチの結果を、各制度ごとに、各制度に明るい研究者やNPO団体と共にキャンペーンイベントを打つことも検討していきます。

5.調査プロジェクトメンバーを募集します

本プロジェクトの参加メンバーは、当事者団体の代表、データサイエンティスト、新聞記者、社会政策専攻の博士課程の学生、一般企業勤務のサラリーマン、行政職員、ソーシャルワーカー、NPO職員など、15,6名で構成され、各々の立ち位置から、申請主義によって生じる問題について考え、議論し、プロジェクトを推進しています。

本報告で示した調査に関わっていただける研究者の方のメンバーを募集しています。調査設計やデータの収集などについてご助言をいただけることを期待しています。


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