見出し画像

総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」第2次取りまとめ案に対するワイズ・メディアの意見と検討会の考え方を公表します

本日10月12日(木)16時より総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」が開かれ、第2次取りまとめ案に対するパブコメとそれに対する検討会の見解が公表されました。
当社(株式会社ワイズ・メディア)もパブコメを提出しました。幸い2点が主な意見に取り上げられましたが、最も肝心な公共放送ワーキンググループの取りまとめ案に対する意見は、その他に埋没してしまいました。
なので9月28日に提出した当社意見をここに公表し、それに対する検討会の返答を添え、若干の感想を足してまとめました。
(注:文中太字は筆者)
要点は以下の3点
1、通信(IP)を使った放送の代替や同時配信するなら、それは”放送”でしょ。だから放送法上”放送”と位置付けるべき。じゃなきゃインターネットでNHKと民放の2元体制なんて無理。
2、新聞協会のNHK民業圧迫はナンセンスだから、いちいち聞く必要なし
3、プラットフォームはマジで支援策考えないと、海外勢に丸ごと取られてしまう。
以下、意見書と反応、それに感想です。

意見書
株式会社ワイズ・メディア

デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第2次)[案]に対する意見

P7 第1章 1.⑵ 「認定放送持株会社の関係会社が使用するトランスポンダ数の上限を原状の0.5から4とすること」について
【ワイズ・メディア意見】
賛同します。経営の選択肢の拡大は、現在の民間放送において喫緊の課題であり、遅きに失した感があるとはいえ、規制緩和の一環として早急に実施されるべきだと考えます。
【検討会の考え方】
本案に対する賛同の御意見として承ります。

P7 第1章 2.⑵ 「ローカル5Gを活用した放送についても、総務省において技術的な検証や研究開発を行う」の文言について
【ワイズ・メディア意見】
技術的な検証や研究開発と合わせて、制度的な検証を加えるべきです。5Gという通信手段を使った伝達手段についても放送法上、著作権法上「放送」と定義するための検討を並行して進めるべきです。
【検討会の考え方】
ローカル5Gを活用した放送に関する御意見については、今後検討を進めていく上での参考とさせていただきます。

別添1 小規模中継局等のブロードバンド等による代替に関する作業チーム第2次とりまとめ(案)

P61 第3章 図3-1 伝送遅延 「低遅延プッシュ型配信(MTE等)について検討」
P61 第3章 図3-2 映像・音声・字幕等の同時性「低遅延プッシュ型配信(MTE等)について検討」
【ワイズ・メディア意見】
IPユニキャスト方式を選択して検討を実施した経緯であるにもかかわらず、IPユニキャスト方式以外の対応要件について検討していると見られる項目があり、IPユニキャスト方式を前提とするならば、機能要件の整理が必要だと考えます。
【検討会の考え方】
御意見については、今後、品質・機能要件に関する検討を進めていく上での参考とさせていただきます。

P77 第5章 今後の進め方
【ワイズ・メディア意見】
「品質・機能要件」に可能な限り準拠することを前提とするならば、ブロードバンドに限定せず、ケーブルも含めた代替手段をあわせて検討することが必要です。このまま「ブロードバンド代替に関する作業チーム」という呼称で作業チームを継続すると、あたかもIPユニキャストでないと代替手段とならないような誤解を与えかねません。令和6年に結論を得ようとするなら、作業チームの呼称を変更し、代替手段全般を検討する枠組みとすべきだと考えます。
【検討会の考え方】
小規模中継局等のブロードバンド等による代替については、ケーブルテレビによる代替も検討対象としており、作業チームの名称は「小規模中継局等のブロードバンド等による代替に関する作業チーム」としております
【塚本感想】
そうか!「等」があったか(驚

別添2 公共放送ワーキンググループ取りまとめ(案)に対する意見

P6 2.⑵ インターネットを通じて放送番組を視聴者に提供する業務を、(中略)「必須業務」として位置付けることにより(以下略)の文言について
【ワイズ・メディア意見】
賛同しますが、同業務についてはNHKの「インターネット業務」から切り離して、「放送番組提供業務」として、放送と同等の規律を課すべきです
あわせて欧州のように、インターネットにおける放送番組の提供を放送法や著作権法上も制度上、放送と同等の定義付けをすることにより、民放も含めた放送番組のインターネットにおける展開を容易にするよう法改正を検討すべきだと考えます。
【検討会の考え方】
今後の放送行政に対する御意見として承ります。

P8 2.⑵ 「公正競争に関してNHKが配慮すべき旨の義務を法定することについて、本ワーキンググループにおいて要望・指摘があったことも勘案して、今後の法制化の過程において検討すべきである。」の文言について
【ワイズ・メディア意見】
「ことも勘案して、今後の法制化の過程において検討すべきである」を削除すべきです。
二元体制とは放送という限られた情報空間の中におけるNHKと民放の併存体制を示しており、オープンなインターネットという情報空間の中においてはそもそも成立しません。要望・指摘があったことについて記述することまで否定はしませんが、法制化の過程において、インターネット空間での二元体制を検討するのは無理があると考えます。
【検討会の考え方】
本検討会としては、NHK のインターネット活用業務を必須業務化する場合において、放送の二元体制を含むメディアの多元性を維持していくことは重要であると考えています。法制化に関する御意見については、今後総務省において検討を進めていく上での参考として承ります。
【塚本感想】
今回、最後に新聞協会の意見を入れて「放送の二元体制」を一部「放送の二元体制を含むメディアの多元性」という言い方に変えたんだけど、それをここでうまいこと使われたなあ。。


P10 3.⑵ ① 「NHKの放送番組を継続的・安定的に提供することが必須業務化の意味するところであるから(以下略)」の文言について
【ワイズ・メディア意見】
「NHKの放送番組を」の後に「地方放送局発信の番組も含めた放送と同等の内容で」との文言を付加すべきです。
相応の負担をユーザーに求めるのであれば、地域における放送番組提供も必須業務に含まれるとすべきであり、そうでなければ受信料との整合性を議論するとき矛盾が生じてくると考えます。
【検討会の考え方】
今後の競争評価のプロセスを経て決定されるものではあるものの、NHKの地方局発信の番組も、同時配信の対象かどうかは別にして、必須業務の範囲に含まれると考えています。
【塚本感想】
これは貴重な回答だ。地方紙やローカル局に気を使いつつも、NHKの地域番組も必須業務だと断言したわね。もっとも同時配信については名言避けたけど。

P12 3. ⑵ ② 「もっとも、NHKによるテキスト情報等の配信を認めるにしても(中略)放送の二元体制が損なわれることがないよう、その範囲を限定して画定されるべきである。(中略)現在の理解増進情報の精度は廃止され、必須業務として提供されるテキスト情報等として再整理されるべきである。」の文言について
【ワイズ・メディア意見】
当該パラグラフごと削除すべきです。
二元体制はあくまで、放送という限られた情報空間の中でしか成立しないものであり、それを維持したからといってインターネットを含めたメディアの多元性が確保できるとは限りません。
NHKや民放などのネット上での競争相手はGAFAをはじめとする国境を超えたメディアであり、それと向き合うためにはNHKの業務範囲を限定することはかえってマイナスであり、現在の理解増進情報の制度を廃止することは適当ではないと考えます。
【検討会の考え方】
本検討会としては、NHKの設置趣旨に鑑み、国民の知る権利への奉仕という公的な側面を勘案すれば、民間放送事業者や新聞社・通信社等のほか、NHKを含めた様々な主体から、視聴者が多元的に情報を受け取ることができる環境を整えることが望ましいと考えています。
他方、メディアの多元性が損なわれることがないように、テキスト情報等の範囲を限定して画定すべきであり、NHK のインターネット活用業務を必須業務化する場合には理解増進情報の制度は廃止され、必須業務として提供されるテキスト情報等として再整理されるべきと考えています。
【塚本感想】
NHKのテキスト情報等の範囲を限定することがどうしてメディアの多元性を損なうことになるのか?構成員も新聞協会に「ファクトを示せ」と発言していたじゃないね。新聞協会の圧力に屈した典型だな。

P12 3. ⑵ ② 「ⅱ)番組表など放送番組に密接に関連する情報(以下略)」の文言について
【ワイズ・メディア意見】
ⅱ)「番組表」の後に「や放送番組の時間的制約のために載り切らなかった情報」を挿入すべきです。
上記はワーキンググループにおける報告書案に掲載されていた文言であり、新聞協会が懸念を示したことに対して、構成員間での議論もないまま座長一任となり、取りまとめ(案)でいつの間にか削除されたことは、議論の積み上げによる制度の構築というこれまでのルールをなし崩しにするものであり、健全なやり方ではありません。
【検討会の考え方】
御指摘の箇所は定性的に規定する場合の例として示したものであり、公共放送ワーキンググループでの議論を踏まえて修正したものです。放送番組の時間的制約のために載り切らなかった情報に対する御意見については、今後総務省において検討を進めていく上での参考として承ります。
【塚本感想】
どんな議論だったっけ?単に新聞協会がいちゃもんつけただけじゃなかったか。あっさり引っ込めるような例示なら最初から書くなよ。

P13 3.⑶ ① 「放送だけでなくインターネットへと情報空間が広がる中にあっても(中略)二元体制の枠組みを前提とすることが求められる。」の文言について
【ワイズ・メディア意見】
当該部分を削除すべきです。
インターネットの情報空間においてはそもそも放送の二元体制は成立しないので、損なわれるという次元ではありません。もしこの前提を維持するなら、インターネットにおけるNHKや民放の放送番組提供を制度上「配信」ではなく「放送」と制度上位置付けることが大前提となります。
【検討会の考え方】
本検討会としては、NHK のインターネット活用業務を必須業務化する場合において、放送の二元体制を含むメディアの多元性を維持していくことは重要であると考えています。

P14 3.⑶ ①
P15 同 ②、③
P21  5、⑵
P25 6
「民間放送事業者、新聞社、通信社等」の文言について
【ワイズ・メディア意見】
「新聞社、通信社」を削除するか、「新聞社、通信社、出版社、インターネットメディア事業者」とすべきです。
そもそも関係当事者であるかどうか全体のコンセンサスが得られていない新聞協会が第9回にヒアリングに登場し、以後オブザーバーとして毎回、一方的に意見を述べる当ワーキンググループの検討方法に、強い違和感を覚えました。インターネットにおける情報空間でのNHKのポジションを検討するなら、広く出版社やインターネットメディア事業者もヒアリングに加えるべきであり、新聞社、通信社だけ文言に加えるのは偏った取りまとめになると考えます。
【検討会の考え方】
御指摘の「民間放送事業者、新聞社・通信社」は、「関係者」の例として示したものです。なお、これまでのインターネット活用業務実施基準等の意見募集においても日本新聞協会メディア開発委員会は意見書を提出してきていると承知しています。
【塚本感想】
意見書なら毎回ワイズ・メディアも出しております。では我が社も関係者に加えていただけるのでしょうか?

別添4 放送業界に係るプラットフォームの在り方に関するタスクフォース取りまとめ(案)に対する意見

★主な意見☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
P5 2.⑵ <検討の方向性>
「NHK新BS2K・新BS4Kそれぞれについて、「外部制作事業者に著作権が帰属する放送番組(中略)」を対象とする新たな目標を設定する」との文言について
【ワイズ・メディア意見】
賛同します。あわせて地上波の総合テレビにおいても外部制作事業者に著作権が帰属する放送番組の割合について、新たな目標を設定することを検討項目に加えることが、放送番組制作に関わる業界全体の活性化につながると考えます。
【検討会の考え方】
本案に対する賛同の御意見として承ります。また、今後総務省において検討を進めていく上での参考として承ります。

P8 2.⑶ <検討の方向性>
「既存プラットフォーム間での連携や仮想的なプラットフォームの構築」の文言について
【ワイズ・メディア意見】
賛同します。プラットフォームという形態に限らず、ポータルのような緩やかな形式でユーザーインターフェースを確保することが、利便性を高めると考えます。また、インターフェースの事業主体についても、継続的な運営を確保するための方法論を合わせて検討すべきです。
【検討会の考え方】
本案に対する賛同の御意見として承ります。また、今後総務省において検討を進めていく上での参考として承ります。

<検討の方向性>
「インターネット接続テレビ上での(中略)技術仕様を策定すべく検討すべき」の文言について
【ワイズ・メディア意見】
技術仕様に加えて、支援策もあわせて検討すべきです。コネクテッドテレビやインターネット配信をテレビ上で可能とするドングルについて、国内放送番組に関するプロミネンスの要素を前提に、製造販売する事業者に対する支援が可能か検討を進めることが必要だと考えます。
【検討会の考え方】
今後総務省において検討を進めていく上での参考として承ります。

★主な意見☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
P12 2.⑸ ④ 財源の在り方(中略)を含め、それら課題や課題解決方策について検討を行う場を早急に設置すべき
【ワイズ・メディア意見】
賛同します。NHK国際放送については、民放含め国内放送番組を海外に発信するプラットフォームとして活用すべく、課金や広告収入など幅広い財源確保を可能とするよう検討を進めるとともに、国内スポーツの主要試合など在外邦人に特に要望が強い番組であれば、要請放送に準ずる扱いで交付金が使えないか検討すべきだと考えます。
【検討会の考え方】
本案に対する賛同の御意見として承ります。また、今後検討を進めていく上での参考として承ります。
【塚本感想】
こういうのは主な意見に取り上げてくれるんだよね。国内スポーツの重要なゲーム(日本シリーズとか、天皇杯決勝とか)は、交付金使って海外在住の邦人に見てもらうって良いアイディアだと我ながら感心しております。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?