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脚と手、加速と減速。

世の中にある九割九分の自転車は、ペダルを漕いで進んで、ブレーキを握って止まる。みんな当たり前のように乗っているけれど、恐ろしいとは思わないのだろうか。

脚力は握力より強い。したがって自転車は設計上、加速に比べ減速は不向きだ。しかも制動力は、手 → ブレーキレバー → ケーブルまたはオイル → ブレーキキャリパーと介して伝わる。この経路のどこかに不具合があると事故に繋がる。例えば、急ブレーキを掛けた時、ケーブルが錆びていて張力が耐えきれずに破断、自転車を減速できずに追突、横転する、というような。

一方で、固定ギアの自転車では駆動系と制動系が共通になっているので、一般的な自転車が採用しているフリーギアのようなブレーキトラブルは起こり得ない。制動系の故障は、そのまま駆動系の故障なので、そもそも自転車は進まない。また、自分の脚で出した力で加速し、減速時にはその力を自分の脚を使って受け止めるので制御がしやすい。あるいは、自分で制御可能な範囲内の力しか出さないように走る。

力を行使する方にばかり夢中になりがちだが、それを自らの制御下に置けていなければ、いつか必ず事故が起きる。

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