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リビングの壁をキャンバスに

物心ついた頃、実家のリビングの壁はキャンバスだった。クレヨンや油性マジックで思いつくまま、壁一面に一心不乱に描いていた。

両親は止めなかったのか、止めたのに言うことを聞かないから諦めたのかは覚えていないけれど、何回か悪戯描きの上に新しい壁紙を貼っていたから、良い気はしていなかったのだろう。

キャンバスが真っさらになると、その上に新たな作品を描いていた。しかし、五歳になる頃には、リビングの壁には戸棚が置かれキャンバスに手が届かなくなってしまった。今ではどんな絵を描いていたか憶えていないし、数年前には実家を建て替えてしまったから、どんな手を尽くしても確認できない。

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