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徒歩一時間までなら歩いてく

以前の職場では、徒歩で毎日通勤するには骨が折れる距離だったので、晴れた日には自転車で、雨の日には電車で通勤していた。けれど今の職場は、自転車通勤やマイカー通勤が禁じられている。とはいえ、満員電車に揺られてストレスを溜めるのも嫌だったので消去法的に、徒歩で通勤できる距離にある、家賃の割に占有面積が狭く古びた物件に住むことにした。

電車のような速度だと一瞬で風景は飛んでいってしまうけれど、徒歩だと細かな季節の変化まで肌で感じられる。その変化から気付くことや考えることも多い。タイム・イズ・マネーとはいうけれど、同じ道でもゆっくり進むことで得られる物もある。これは、大学のときにお世話になったゼミの先生の受け売りだ。先生の言っていたように、同じ道の行き来の繰り返しの中でも確かに変化があるし、それ以上に大切なのはきっと、色々と考える時間を持てることだろう。蛇足だけれど、道とは人生の比喩でもある。未だに目的地は定まっていないし、回り道や道草、後戻りや居眠りばかりだけれど、それもまた良いような気がしてくる。

今は殆どの業務をリモートワークで済ませられるし、在宅の方が高いパフォーマンスを出せるから出勤自体まれにしかないけれど、外に出かける用事がある時には、相変わらずなるべく徒歩で行くことにしている。

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